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2010-01-29 鳩山首相の所信表明演説

鳩山首相の所信表明演説

1月29日、鳩山首相所信表明演説を行った。

第174回国会における鳩山内閣総理大臣施政方針演説

ここから、科学技術政策に関する部分をとりあげたい。

(人材と知恵で世界に貢献する日本)

 新しい未来を切り拓くとき、基本となるのは、人を育てる教育であり、人間の可能性を創造する科学です。

 文化の国、人間のための経済にとって必要なのは、単に数字で評価される「人格なき教育」や、結果的に人類の生存を脅かすような「人間性なき科学」ではありません。一人ひとりが地域という共同体、日本という国家、地球という生命体の一員として、より大きなものに貢献する、そんな「人格」を養う教育を目指すべきなのです。

 科学もまた、人間の叡智を結集し、人類の生存にかかわる深刻な問題の解決や、人間のための経済に大きく貢献する、そんな「人間性」ある科学でなければなりません。疾病、環境・エネルギー、食料、水といった分野では、かつての産業革命にも匹敵する、しかし全く位相の異なる革新的な技術が必要です。その母となるのが科学です。

 こうした教育や科学の役割をしっかりと見据え、真の教育者、科学者をさらに増やし、また社会全体として教育と科学に大きな資源を振り向けてまいります。それこそが、私が申し上げ続けてきた「コンクリートから人へ」という言葉の意味するところです。

 このあたり、「ブダペスト宣言」(「科学と科学的知識の利用に関する世界宣言」)の趣旨を受け継いでいると感じなくもない。

 また、科学を重視するということを明確に表明している。

 私は一定の評価をしたい。

 この演説に肉付けしていくのは、私たちの務めでもある。それが新しい公共だ。


(「新しい公共」によって支えられる日本)

 人の幸福や地域の豊かさは、企業による社会的な貢献や政治の力だけで実現できるものではありません。

 今、市民やNPOが、教育や子育て街づくり介護や福祉など身近な課題を解決するために活躍しています。昨年の所信表明演説でご紹介したチョーク工場の事例が多くの方々の共感を呼んだように、人を支えること、人の役に立つことは、それ自体が歓びとなり、生きがいともなります。こうした人々の力を、私たちは「新しい公共」と呼び、この力を支援することによって、自立と共生を基本とする人間らしい社会を築き、地域の絆を再生するとともに、肥大化した「官」をスリムにすることにつなげていきたいと考えます。

 一昨日、「新しい公共」円卓会議の初会合を開催しました。この会合を通じて、「新しい公共」の考え方をより多くの方と共有するための対話を深めます。こうした活動を担う組織のあり方や活動を支援するための寄付税制の拡充を含め、これまで「官」が独占してきた領域を「公(おおやけ)」に開き、「新しい公共」の担い手を拡大する社会制度のあり方について、五月を目途に具体的な提案をまとめてまいります。

 科学コミュニティ科学コミュニケーションも、新しい公共に関わっていくべきだろう。

2010-01-28 新しい公共をつくる市民キャビネットに期待する

新しい公共をつくる市民キャビネットに期待する。

明日、以下のような会が開催される。

「新しい公共をつくる市民キャビネット」設立協議会開催


開催日時

2010年1月29日(金) 13:00 - 16:00

開催場所

星陵会館

地下鉄有楽町線半蔵門線南北線 永田町駅下車6番出口 徒歩3分

地下鉄千代田線 国会議事堂前駅下車5番出口 徒歩5分

地下鉄南北線 溜池山王駅下車(国会議事堂前駅5番出口) 徒歩5分

地下鉄銀座線丸の内線 赤坂見附駅下車 徒歩7分


新しい公共を掲げる政権に対してNPO等の側が結集して政策提言をする機能の必要性から、昨年11月10日設立準備会を発足し、以下の設立の趣旨に基づき、来たる1月29日に新しい公共をつくる市民キャビネットを設立する運びとなりました。

とのこと。昨日、政府「新しい公共」円卓会議が第一回の会合を開いた。


「新しい公共」円卓会議とは、第173回国会における所信表明演説に基づき、「新しい公共」という考え方やその展望を市民、企業、行政などに広く浸透させるとともに、これからの日本社会の目指すべき方向性やそれを実現させる制度・政策の在り方などについて議論を行うことを目的として開催する会議。

だという。所信表明演説では、以下のように述べられている。

(「新しい公共」)

 働くこと、生活の糧を得ることは容易なことではありません。しかし、同時に、働くことによって人を支え、人の役に立つことは、人間にとって大きな喜びとなります。

 私が目指したいのは、人と人が支え合い、役に立ち合う「新しい公共」の概念です。「新しい公共」とは、人を支えるという役割を、「官」と言われる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て街づくり、防犯や防災医療や福祉などに地域でかかわっておられる方々一人ひとりにも参加していただき、それを社会全体として応援しようという新しい価値観です。

 国民生活の現場において、実は政治の役割は、それほど大きくないのかもしれません。政治ができることは、市民の皆さんやNPOが活発な活動を始めたときに、それを邪魔するような余分な規制、役所の仕事と予算を増やすためだけの規制を取り払うことだけかもしれません。しかし、そうやって市民やNPOの活動を側面から支援していくことこそが、二十一世紀の政治の役割だと私は考えています。

 新たな国づくりは、決して誰かに与えられるものではありません。政治や行政が予算を増やしさえすれば、すべての問題が解決するというものでもありません。国民一人ひとりが「自立と共生」の理念を育み発展させてこそ、社会の「絆」を再生し、人と人との信頼関係を取り戻すことができるのです。

 私は、国、地方、そして国民が一体となり、すべての人々が互いの存在をかけがえのないものだと感じあえる日本を実現するために、また、一人ひとりが「居場所と出番」を見いだすことのできる「支え合って生きていく日本」を実現するために、その先頭に立って、全力で取り組んでまいります。

こうした流れのなかで、政府には「新しい公共」円卓会議が開催された。

また、これを受けて、民主党は「『新しい公共』づくりをめざした市民と民主党の政策形成プロジェクト」を開催した。

http://www.dpj.or.jp/news/?num=17607

そして、NPO側では「新しい公共をつくる市民キャビネット」を設立することになった。

私は、この団体の設立趣旨に賛同する。

グローバル化が進み賭博的な金融為替操作など錬金術的な経済によって、お金至上主義の傾向が強まる一方、貧困層の拡大、雇用の不安定化、中小企業や地域の弱体化など、生活は経済の犠牲となり、われわれの社会は根底から崩れかねない状況に陥りました。世界と日本の趨勢、財政の危機などを考えると、この生活と社会の立て直しは、「私」と「公」をつなぎ、助け合い、協力、連携を基にする「新しい公共の創出」によってこそ行うべきではないでしょうか。

 具体的には、NPO/NGO 等の市民団体生協労働組合等の非営利組織、社会的企業等が結集し、次のことを進めます。

 1.分野別および総合的に政策提言を策定し、政府政権等と交渉・協議し、市民政策を実現する。

 2.新しい公共政策の受け皿として、新しい公共サービスを担い、これを実施する。

 3.市民的立場から広く施策行政・関連法人等を点検・評価する。

科学技術政策において、こうしたことができないか。

新しい団体では、こうした動きに加わっていけたらと考えている。

2010-01-25 知を大切にする人を表す言葉

科学、学術、研究〜我々は何者なのか

岩波書店「科学」が開設したページ、科学技術政策・議論の広場

http://www.iwanami.co.jp/kagaku/hiroba.html

に、私の書いた「お任せ科学・技術政策を超えて」 という文章が掲載された。

http://www.iwanami.co.jp/kagaku/E_Enoki20100120.pdf

その中で私は、科学技術政策を政府任せにする時代は政権交代で終わった、科学コミュニティや市民が、主体的に意見を言う必要があると述べた。

そして、その手段として、「研究者ネットワーク(仮)」の設立の必要性を説いた。

私は、サイコムジャパンのメンバーを中心に、科学技術政策を考える新団体を設立することが決まっていた中、行政刷新会議事業仕分け」があり、科学コミュニティ内にAAAS(全米科学振興協会)のような、ボトムアップの草の根研究者組織が必要だという意見が高まり、この「研究者ネットワーク(仮)」を必要しなければならないという認識に至った。

12月6日に開催された「ノーベル賞受賞者じゃない研究者の緊急討論会」で感じた、多くの人達の思いを、持続的な活動につなげていきたいという思いで新団体「サイエンス・サポート・アソシエーション(SSA)」を立ち上げた。

http://sci-support.org/

活動をする中で、大きな悩みを感じている。

これは、実は以前から感じていたことでもあるのだが、私達の活動をいったいどういう言葉で表せばよいか、ということだ。

AAASも私達も、研究者だけをメンバーにしたいとは考えていない。

非営利組織である、という点を生かし、市民、マスメディア行政、その他様々な立場の方々が集う場としたい。日本学術会議が「科学者国会」であり、市民などがかかわれないことと決定的に異なる。欧米のように科学アカデミー非営利組織の共存により、より多様な意見を科学政策に反映したいと思っている。

とすると、「研究者ネットワーク」は、その意図を表わしていないことになる。

ブロガー発声練習氏は、この点にふれており、

http://d.hatena.ne.jp/next49/20100118/p2

「科学愛好家ネットワーク」というご提案をしてくださっている。

ただ、科学という言葉が入ると、人文科学社会科学系の方々が違和感を感じるという。自然科学研究者も、人文科学社会科学が「科学の作法」で研究を行っていない、という意識を持っているという。

科学技術も同様に人文、社会科学を排除してしまう。

では、学術はどうだろう。日本学術会議というではないか…

やはりしっくりこない。学問、学者、知的労働者専門家…それもしっくりこない。

ガリレオの時代、いまでいう科学はnatural philosophyであり、科学者はnatural philosopherと呼ばれていたという。今でもアメリカの博士号はDoctor of philosophy (PhD)であり、philosophyがいちばんしっくりする言葉かもしれない。

しかし、natural philosophyはかつて窮理(きゅうり)学と訳され、いまは自然哲学とも呼ばれるが、その言葉もイメージが掴めない。

私達が何者であるか、ということを表すよい言葉がないということを痛感する。これが、医師弁護士などと異なるところだ。

悩みはつきない。アイディア、ご意見があれば、お教えいただけると幸いだ。

ただ、何かを知ろうとする営みは、どんな人にもある、人が人たる所以の行為だ。それを大切にしたい。

アフリカにょろり旅 (講談社文庫)

アフリカにょろり旅 (講談社文庫)

から一節を引用したい。

研究者なんて糞だと思います。何もできないくせに口ばっかりで!」

と教授にくってかかり、研究に疑問を持った青山氏が出会った以下の場面。


 しばらくたって、市民講座で先生の講演を聴いた。私にとっては目新しくもない「いつものウナギの話」だった。しかし、講演の後、決して豊かとは言えない身なりをした老人と、孫なのだろう、連れて来た子供が目をキラキラ輝かせ、話す声が耳に残った。

「面白かったね。ウナギはすごい所まで泳いで行くんだね。不思議だね」

 その時私は、初めて生態学研究が何も作り出さないのではなく、自分自身が作り出したものを料理できないだけだったことに気がついた。

(そうか、俺が未熟なだけだったんだ)

 一見なんの役にも立たないようだが、研究活動は立派に人々の心の糧を作り出していたのである。

 思えば、アンデスの友人たちも夜空を見上げて、星の不思議について語り合っていた。たとえ貧しくとも、人が人である限り、知的好奇心は心の栄養になっていることを知った。そして私は、博士課程への進学を決意したのだった。

2010-01-24 メルマガ1月25日号ここがポイント

1月15日発行のメルマガ ここがポイント

メルマガに掲載するニュースをごく一部ご紹介します。

★「国立大学法人の在り方」に対する意見募集:文部科学省

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/1289380.htm

重要な意見募集だと思います。

ツイッターで反響の資料

大学院の現状について 中央教育審議会大学分科会 大学院部会(第48回) H21.11.18(pdf)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2010/01/18/1287558_6.pdf

大学院の現状が分野別に出ています。ツイッターでご紹介したら、大きな話題になりました。

スーパーコンピュータに関して

今週はスパコンがらみの記事が多かったです。

●仕分け前に「世界一は困難」 次世代スパコン文科省

http://www.asahi.com/science/update/0123/TKY201001230016.html

●次世代スパコン、仕分け前に「世界一困難」評価

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100123-OYT1T00338.htm

文科省スパコン事業の「機密」を公表

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100123k0000m010084000c.html

●「スパコンは必要です」、文科省が説明会開催へ

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100121/343594/

●「次世代スパコンについて知る集い」の開催|2010年 お知らせ|理化学研究所

http://www.riken.jp/r-world/info/info/2010/100122/

富士通シンガポール科学技術庁に「PRIMERGY BX900」ベースのスパコン導入

http://www.rbbtoday.com/news/20100120/65079.html

★ハトミミはじまる

●ハトミミ.com「国民の声」 - 内閣府

http://www.cao.go.jp/sasshin/hatomimi/index.html

18日からはじまりました。これに対抗してか、自民党では

なまごえプロジェクト

http://www.jimin.jp/namagoe/index.html

始まっています。

どんどん意見を言っていきましょう。

★NSFのみた事業仕分け

NSF東京オフィス資料

●Council for Science and Technology Policy (CSTP) Reviewof S&T Programs/Projects Requested in the JFY2010 Budget

http://www.nsftokyo.org/rm09-08.pdf

●The Japanese Government Revitalization Unit (GRU)Reviewed the Science and Technology Budget Requests

http://www.nsftokyo.org/rm09-07.pdf

★第五次出入国管理政策懇談会 「新たな在留管理制度に関する提言」

http://www.moj.go.jp/NYUKAN/nyukan44-11.html

技術を持った人材についてもふれています。

★博士の現状

理系博士の就職進まず 国の「仲介」事業3年目へ

http://www.asahi.com/edu/news/TKY201001180146.html

朝日新聞の記事。

★科学技術政策・議論の広場(岩波書店 科学)

http://www.iwanami.co.jp/kagaku/hiroba.html

榎木英介「お任せ科学・技術政策を超えて」

http://www.iwanami.co.jp/kagaku/E_Enoki20100120.pdf

はじめ多数の意見が掲載されています。

2010-01-23 国立大学法人化のゆくえ

国立大学法人化、意見募集はじまる

文部科学省が意見募集開始。

「国立大学法人の在り方」に対する意見募集

(趣旨)

国立大学の法人化以降約6年が経過し、来年度から第2期中期目標期間を迎えます。

文部科学省では、引き続き、各国立大学法人が社会・地域の期待に応えつつ、継続的・安定的に教育研究を実施し、充実した学生支援を行っていくために、法人化後の教育研究活動、学内の人的・物的・財政的資源の配分、大学附属病院、大学附置研究所・研究センター等の現状分析を行い、国立大学法人化の検証を進めることとしています。

ついては、国立大学法人化の現状、成果、課題、今後改善すべき点等について、幅広く御意見をいただきたいと思います。

3月末まで。

2010-01-20 岩波科学 科学技術政策の広場

お任せ科学技術政策を超えて

岩波書店の雑誌科学が、科学技術政策・議論の広場という特設ページを開設している。

先日まで原稿を募集していたので、私も投稿した。昨日その投稿が掲載された。

「お任せ科学・技術政策を超えて」 という文章だ。

内容は、メディカルバイオ誌に書いたものと同じ趣旨だが、要は科学・技術政策が降ってくるのを待っている時代は終わり、自分たちで考え、意見を言っていかなければいけない時代にきているということだ。

研究者ネットワーク(仮)の設立についても触れた。

研究者ネットワークという名称はあまりよくない、という意見も戴いていて、いずれ変えないといけないと思うが、研究者や「憂慮する市民」の自発的な行動が求められている時代になったのだ。政権が再び変わっても、もう後戻りはできない。

そんな時代は、お上に任せていた時代よりずっといいと思う。確かにしんどい部分もあるが、様々な関心をもつ草の根の団体が多数出てきて欲しい。

新しい時代に一歩踏み出そう。

2010-01-18 重要資料、分野別大学院の状況

朝日新聞記事 理系博士の就職進まず 国の「仲介」事業3年目へ

理系博士の就職進まず 国の「仲介」事業3年目へ

早稲田大学実践的博士人材養成プログラムが取り上げられている(私のともにも資料をお送りくださっている)。

インターンシップ制度などを設けたが、あまりうまくいっていないという。その理由として、「ベンチャーの採用は増えているが、研究者側に大手志向があり、大学ポストへの未練も強い」「一部の企業に、博士は使いにくいという先入観がある」という点があげられている。

とはいうものの、ポスドクの意識もかわりつつあり、

大阪大のキャリアに関するアンケートによると、「大学以外の職に興味がある」と答えた割合は、05年の46%から08年は68%と上がっている。

という。

研究経験人材が多彩な職種で働くことは、社会にとってもプラスだ。意識改革ですべてが解決するというわけではないが、当事者、大学、そして企業や社会も含め、歩み寄り、社会への貢献という観点から解決策を探っていけたらと思う。

2010-01-14 予算の詳細出る

経産省予算

平成22年度産業技術関連予算案の概要

経産省関連の科学技術予算。政策会議第14回会議(2010年1月14日)-配布資料より

科学技術関係経費:5,389.3 億円(速報値)(21 年度:5,315.5 億円)

(参考)

うち、一般会計:1,763.9 億円(速報値)(1,856.5 億円)

うち、特別会計:3,625.4 億円(速報値)(3,459.0 億円)

うち、グリーンイノベーション関連:

2,675.8 億円(速報値)(1,834.0 億円)

科学技術振興費(一般会計):1,310.6 億円(21 年度:1,486.7 億円)

文部科学省 予算の詳細

平成22年度文部科学省 各局課別予算(案)等の発表資料一覧が公表された。おおむね既報どおり。

現時点で科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局の資料は発表されていないが、高等教育関連の予算をみてみる。

[08.平成22年度予算(案)主要事項 (PDF:526KB):title=08.平成22年度予算(案)主要事項 (PDF:526KB)]

○ 大学の教育の充実と教育の質保証1兆2,119億円

(対前年度増減▲231億円)

1.大学教育の質保証と高度な教育研究拠点の形成支援466億円

(対前年度増減▲135億円)

大学教育の内容方法の充実を図り、学生や社会からの多様なニーズに対応すると

ともに、大学教育・学生支援の質保証につながるリーディングケースや大学生の就

業力育成の向上、国際的に卓越した教育研究拠点の形成などを支援

・大学教育・学生支援推進事業92億円

(質保証のための教育改革の取組や就職支援等学生支援の取組を支援)

・大学生の就業力育成支援事業[新規] 30億円

(大学生の就業力育成の向上に対する教育改革を支援)

大学院教育改革推進事業287億円

(グローバルCOEプログラム、組織的な大学院教育改革推進プログラム

・大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム48億円等

2.国立大学法人運営費交付金の確保1兆1,585億円

(対前年度増減▲110億円)

医学部入学定員増に伴う教育環境の整備充実や授業料免除枠の拡大、地域医療

セーフティネット構築のための体制整備等を図りつつ、国立大学法人の基盤的経費

を確保

上記は既報通り。そろそろ詳細な内訳が知りたい。

○ 大学等奨学金の充実1,309億円(事業費1兆55億円)

(事業費対前年度増減+580億円)

教育の機会均等の観点から、貸与人員を拡大するなど奨学金事業を充実し、教育

費負担の軽減を図るとともに、返還金の回収強化を図り、事業の健全性を確保

・貸与人員115万人→118万人(3.5万人増)

無利子奨学金5千人増

有利子奨学金3万人増

・無利子奨学金の進学後における採用者に対する支給開始時期を7月から4月に早期化

経済的理由による返還猶予者等に対する減額返還の仕組みを導入

・返還金の回収強化を図るため、延滞者に対する法的措置の徹底、債権回収業務の民間

委託、延滞事由の要因分析、返還相談体制の強化に取り組む

 奨学金の充実に関しては、昨年の選挙での各党の公約に掲げられていたものであり、高等教育無償化とならんで気になるところではあった。貸与制までは踏み込んでいないようだ。

2010-01-11 新団体サイエンス・サポート・アソシエーションの設立

新団体サイエンス・サポート・アソシエーションの設立

行政刷新会議事業仕分け」から2ヶ月。研究者の間には安堵感が漂っているように思う。

様々な立場の研究者、市民が、科学技術政策に対して意見を言った。一部抗議や誤解のようなものも混じっていたが、それでもそれぞれが自分の意見を堂々と述べた。

これを見て、私は、科学コミュニティも変わるのではないかという期待を抱いた。政府の方向だけ見てモノを言えば事足りた時代は終わり、研究者自身が自発的に政治や社会と向き合う第一歩となるのではないかと思った。

しかし、平成22年度の予算が思った以上に縮減の影響を受けずにすみ、また成長戦略にて科学技術にGDPの4%を投じるという野心的な目標が掲げられたのがわかると、「あの騒ぎはなんだったのだろう」という声が研究者の間からあがった。

たしかに、結果だけみれば、「大山鳴動して鼠一匹」ではある。しかし、そこに、声を上げた人たちがいたことを忘れてはいけない。

「喉元過ぎれば熱さ忘れる」となってしまっては、この数カ月は意味がない。

ここで、再び「象牙の塔」に戻り、社会に背を向け、政府の庇護に頼ることは、もはやできない。科学技術の市民参加の動きは止まらないのだ。

事業仕分け以来の経験を、今後の科学・技術と社会のあり方を考える行動につなげていかなければならない。


私達NPO法人サイエンス・コミュニケーションサイコムジャパン)は、昨年9月に開かれた総会で、事業を分割し、科学・技術政策や社会のあり方を考える新団体を設立することを決めた。

団体設立の議論を進めてきたが、そこに事業仕分けという突発事態が発生した。その中で、全米科学振興協会(AAAS)やBritish Science Association、Euroscienceのような、ボトムアップ(草の根)の研究者、市民の組織を作るべきだと考え、「研究者ネットワーク準備の会」を立ち上げた。

現在、研究者ネットワーク(仮)設立に向けて準備を進めている。

http://sci-support.org/?page_id=20

ただ、本格的な組織を作るには、ある程度時間がかかる。しっかりとしたビジョン、ミッション、戦略を立て、準備をすすめていかなければならない。かと言って、議論だけしていればいいというものではない。情勢は動いているからだ。特に、科学コミュニティに安堵感が漂っている今こそ、継続的な活動を行う組織を作ることが必要だ。

そこで私達は、まずサイコムジャパンの事業の一部をもとに、小規模団体を立ち上げることにした。

それが「サイエンス・サポート・アソシエーション」(SSA)だ。

http://sci-support.org/

現在ウェブサイトを立ち上げ、サイコムジャパンの事業であるメーリングリストSNSを移管しつつある。

このメールマガジンも、9月の総会での取り決めの通り、サイエンス・サポート・アソシエーションが運営主体となるメールマガジンに移行する。

メールのタイトルや名称の一部が若干変更になるが、基本的運営方針は変わらないので、ご安心いただきたい。今月を移行期間とし、2月には名称変更するので、メールの振り分け設定等を行っている方はご注意いただきたい。

SSAは近日中に法人化する予定だ。

SSAを窓口として、研究者ネットワーク(仮)の設立準備を行っていきたい。

SSAが目指すのは、科学・技術を中心とした、人間の生み出す知を大切にし、知が人々の生命や安全、文化のために活かされる社会だ。また、社会に活かされる「知」が生み出される研究環境の実現を目指したい。

この小さな団体でどこまでできるか。挑戦ではあるが、可能な限りのことをしていきたい。そしてなにより、持続可能な団体にしていきたい。

欧米の社会の強みは、巨大なNPOとともに中規模、小規模の団体が多数存在することだ。それが、科学・技術と社会の関係に深みと広がりを与えている。日本でも、科学・技術と社会を考える団体がもっとあっていい。

SSAの活動をみて、自分たちでもできるかもしれない、と思ってもらえたら嬉しい。

私はサイコムジャパンの理事も兼ねるので、サイコムジャパンとSSAは密接な関係を保ちつつ、ともに「知を駆動力とする社会」の実現に向けて活動していきたい。

2010-01-06 問題は何も解決していない

問題は何も解決していな

 今日、別々の方から同じ内容のことを言われた。成長戦略や平成22年度の予算で、なんだかんだ言って科学技術が重視されていることが示されて、科学コミュニティが安堵してしまっているのではないか、事業仕分けが過去のものになっているのではないか、と。

 それではいけない。瞬間的に、そして感情的に反応しただけで終わってしまったら。

 まだ始まったばかりだ。政策を見つめ、人々を見つめ、社会を見つめていかなければならない。意見を聞き、情報を発信しなければならない。

 私はしつこく、あきらめず、活動してくつもりだ。

2010-01-04 本年の目標

本年の目標

本日発行のメールマガジンにて、私とともに活動している横山雅俊氏が、これまでの活動とこれからの活動を簡潔に、そして力強くまとめてくれた。

私たちが活動のベースとしていたNPO法人サイエンス・コミュニケーション(サイコムジャパン)は昨年末で創立6周年を迎えた。

横山氏が述べたように、私たちはこれまでサイコムジャパンにてにて、若手研究者のキャリア問題、科学技術政策の在り方、博士に代表される高度知識人材の能力発揮といった問題について考え、さまざまな行動をしてきた。

これら数年来の活動が、昨年の政権交代行政刷新会議事業仕分けという突発事態の中、今まで以上に多くの方々の注目を頂くにいたったのは、偶然と同時に必然でもあったかもしれない。

というのも、私たちは、博士人材の雇用の不安定化、科学技術と社会の在り方の問い直し、科学技術コミュニケーションへの注目といった時代の流れの中で問題意識を持ち、活動してきたからだ。科学技術(政策を含む)への市民参加は、世界的な流れであり、政権交代事業仕分けは、時期の問題はあれ、いずれ遭遇する出来事だったのだろう。


しかし、事態は思っていた以上に急だったのも事実だ。

サイコムジャパンは若手理系人のためのキャリアチェンジプロジェクトなど、現場に密着した課題に強みを発揮しており、科学技術政策といった大枠の課題には弱い面があったからだ。それゆえ、科学技術政策を考える新団体の設立を準備してきたが、行政刷新会議事業仕分けのような、科学技術政策の在り方を問う事態にこの時点で遭遇するのはやや予想外だったのだ。


事業仕分けにおいては、研究者ネットワーク設立準備メーリングリストの立ち上げや、「ノーベル賞受賞者じゃない研究者の緊急討論会」、声明の発表などをサイコムジャパンの枠組みで行ったが、そろそろ付け焼刃では対処が難しくなっている。


そこで、本年(2010年)は、以下のようなことを行いたいと考えている。

 活動の拠点になる、比較的小規模団体を立ち上げる。すでにウェブページを立ち上げて準備を開始した。まず、この団体に、旧サイコムジャパンの一部事業を準次移管する。

 そして、この団体をベースに、集会やミーティングの開催、メーリングリストメールマガジンの発行を行っていく。

 近日中に法人化(NPO法人もしくは一般社団法人)する予定だ。

 ミッションは、「知を活かす社会」「知を大切にする社会」を作ることだ。まだ構想中だが、サイコムジャパンのミッションを継承しつつも、それを発展させたミッションを作りたいと考えている。


 SSAでの活動を通じて、科学技術と社会の在り方や科学技術政策を考える団体を立ち上げたい。

 なぜわざわざいったん小規模な団体を作り、その後に研究者ネットワークを作るという二段構えにしたかというと、研究者ネットワークは、全米科学振興協会(AAAS)Euroscienceのようにしっかりとした団体にしなければならないと思うからだ。将来数十年、あるいはそれ以上にわたり持続可能な組織にするためには、じっくりと議論を重ねていく必要があるからだ。

 また、twitterのような新たなウェブ媒体が出現する中で、中間組織が不要な民主主義の形態の可能性もささやかれている。そのような時代の流れも見ていく必要がある。

 一方で何もしないというわけにはいかないので、小回りのきく小団体を先行で立ち上げることにしたのだ。


 サイコムジャパンでの6年間の経験を生かし、今年も活動を続けていきたい。資金面など課題も多いが、一つ一つクリアしながら、着実に前進したい。

 今年も叱咤ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げる。