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2011-04-25 「博士漂流時代」科学ジャーナリスト賞受賞

「博士漂流時代」が科学ジャーナリスト賞を受賞

(再追記)

日本科学技術ジャーナリスト会議のページに掲載されました。

科学ジャーナリスト賞2011 の受賞者が決定!

科学ジャーナリスト大賞】

日本放送協会広島放送局

  チーフプロデューサー 春原(すのはら)雄策 殿

  同

  ディレクター     松木 秀文 殿

『封印された原爆報告書』の番組に対して

・授賞理由

――原爆被災者に対して日本自らがおこなった医学的調査の報告書を、密かに米国に渡して核戦略に利用されていたという驚くべき事実を掘り起こし、スクープドキュメンタリーしてまとめあげた見事な作品。

科学ジャーナリスト賞】(順不同)

病理診断医、 任意団体サイエンス・サポート・アソシエーション代表

  榎木 英介 殿

「博士漂流時代 『余った博士』はどうなるか?」

ディスカバー・トゥエンティワン)の著作に対して

・授賞理由

――いわゆるポスドク問題、博士余剰の実態、原因、問題点などを多くのデータを示して浮き彫りにし、鋭く分析したうえ、これからどうすべきか著者なりの解決策も提言している。時宜にかなった好著。

京都大学霊長類研究所長、国際高等研究所学術参与

  松沢 哲郎 殿

『想像するちから―チンパンジーが教えてくれた人間の心』

岩波書店)の著作に対して

・授賞理由

――30年におよぶチンパンジー研究の成果を「こころ」というキーワードに凝縮して分かりやすく解説した。科学者が自らの研究内容と「科学者のこころ」を伝える優れた啓蒙書の見本ともいうべきもの。

このブログを書いた時点でウェブページには未掲載ですが(追記:毎日新聞報道されました→科学ジャーナリスト大賞:NHK広島放送局員に)、拙書

博士漂流時代  「余った博士」はどうなるか? (DISCOVERサイエンス)

博士漂流時代 「余った博士」はどうなるか? (DISCOVERサイエンス)

が、日本科学技術ジャーナリスト会議の「科学ジャーナリスト賞」を受賞することになりました。

ひとえに機会を与えてくださったディスカヴァー・トゥエンティワンの皆様、インタビューに答えてくださった橋本昌隆さん、vikingjpnさん、小林信一さん、奥井隆雄さん、そしてこれまで活動を支えてくださったすべての皆様のおかげです。心より御礼申し上げます。

震災以来、ポスドク問題や博士の問題を語るどころではない状態であり、受賞に浮かれている余裕はありません。

これからも、科学と社会のあり方を考え、活動を続けていきたいと思っています。どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。

メルマガ395号発行

メールマガジンサイコムニュース、395号を発行しました。以下目次兼記事の抜粋です。


※Science Communication Newsは科学技術政策や科学技術コミュニケーションの動向を

ウォッチするメールマガジンで、毎週月曜配信されます。

※詳しくは以下のサイトをごらんください。

http://sci-support.org/?page_id=27

※購読の登録、解除も上記サイトよりお願いします。こちらで代行はいたしませんので

※ご了承ください。

※以下でも随時情報を提供しています。

はてなブックマーク http://b.hatena.ne.jp/scicom/

twitter http://twitter.com/enodon

科学技術政策クリップ http://d.hatena.ne.jp/scicom/

★発行部数 3,021部(4月25日現在) まぐまぐ 2,609+melma!412

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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆

          No.395 2011年4月25日号

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震災関連情報へのリンクはこちらを御覧ください。

http://d.hatena.ne.jp/scicom/20110501/p1

目次

■巻頭言

 震災以降の日本のために、科学コミュニケーションが出来ることは何か?

 横山雅俊(市民科学研究室)

震災関連ニュース

SSAよりお知らせ

★博士漂流時代 「余った博士」はどうなるか? が日本科学技術ジャーナリスト会議「科学ジャーナリスト賞」受賞

★【予告】5月6日(金) 17時30分開場 大阪大学中之島センターにてワールドカフェ開催

被災地に科学書を贈るプロジェクト

http://www.facebook.com/SciBooksforAll

■ひとこと編集後記

■政治と科学

 平成23年補正予算

http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2011/hosei230422.htm

■産学民の動向

 自然科学分野で功績、「猿橋賞」に溝口紀子

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110419-OYT1T00924.htm

■科学と社会

 「中高生の科学部活動振興事業」平成23年度新規採択機関の決定について

http://www.jst.go.jp/pr/info/info794/index.html

■生きる 生命、食をめぐる問題

 国産ヒトES細胞、海外初分配=京大から米カリフォルニア大へ−文科省専門委が承認

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011042000411

■諸外国の動向

 原油流出事故から1年、メキシコ湾沿岸の今

http://jp.wsj.com/US/Economy/node_224204

■道を選ぶ

 Nature特集 THE FUTURE OF THE PHD

http://www.nature.com/news/specials/phdfuture/index.html

■読み物、エンターテイメント

 科学者vs官僚 「科学・技術」と「科学技術」違い巡り論争

http://www.nikkei.com/life/family/article/g=96958A90889DE0E4E7E7E0E2E4E2E3E3E2E6E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

■加わる

●「震災を伝える―地域を越えたコミュニケーション

日時: 2011年5月2日(月) 

会場: 東北大学医学部1号館2F セミナー

詳しくはこちら↓

http://science-in-society.blogspot.com/2011/04/52.html


科学コミュニケーション研究会 第7回関東支部勉強会

テーマ「東日本大震災科学コミュニケーション

2011年4月28日(木) 18:30-20:30

東京大学 本郷キャンパス 理学部1号館2F 207号室

詳しくはこちら↓

http://www.scicomsociety.jp/?page_id=25


以下メルマガに掲載しなかった重要記事。

科学技術政策研究所の以下の二報告が重要です。

●調査資料-195

我が国の大学・公的研究機関における研究者の独立の過程に関する分析

−研究職歴と研究権限についての大規模調査−

2011年 3月

文部科学省 科学技術政策研究所第1調査研究グループ

齋藤 経史  中務 貴之  茶山 秀一

http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/mat195j/idx195j.html

●調査資料ー196

日・米・英における国民の科学技術に関する意識の比較分析

インターネットを利用した比較調査−

2011年 3 月

文部科学省 科学技術政策研究所

第 2 調査研究グループ

栗山喬行  関口洋美

大竹洋平  茶山秀一

http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/mat196j/idx196j.html

猿橋賞が決まりました。

第31回(2011年)猿橋

第31回 猿橋賞受賞者 溝口紀子氏の研究業績要旨

受賞研究題目「爆発現象の漸近解析」

“Asymptotic analysis of blowup phenomena”

http://www.saruhashi.net/latest.html


ソフトバンク孫社長の発表が大きな話題でした。

ソフトバンク孫社長自然エネルギー財団設立科学者100人集めて政府に提言

http://www.sankeibiz.jp/business/news/110420/bsj1104201745004-n1.htm

▼「復興ビジョン」が導く日本の未来

2011年4月20日

ソフトバンク株式会社

代表取締役社長

孫 正義

http://minnade-ganbaro.jp/res/presentation/2011/0420.pdf

震災原発関連の雑誌です。

日経サイエンス 2011年 06月号 [雑誌]

日経サイエンス 2011年 06月号 [雑誌]

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2011年 06月号 [雑誌]

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2011年 06月号 [雑誌]

Newton (ニュートン) 2011年 06月号 [雑誌]

Newton (ニュートン) 2011年 06月号 [雑誌]

原発事故とコミュニケーション 神里達博さんが選ぶ本

http://book.asahi.com/column/news/TKY201104190329.html

2011-04-18 メルマガ394号〜二つの巻頭言

メルマガ394号 二つの巻頭言

メールマガジン394号を発行しました。バックナンバー等は

http://sci-support.org/?page_id=27

から御覧ください。

今回は巻頭言二つです。ひとつは科学コミュニケーションに関するもの、ひとつは、ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)474号(2011-04-12)

http://www.arg.ne.jp/

より転載しました、長神風二さんの

「ARG読者の皆様へ−震災被災地の一部・仙台からの提案

     今、アカデミア・図書館の方に考え、行動して頂きたいこと」

です。以下目次兼ニュースダイジェスト。


★発行部数 3,017部(4月18日現在) まぐまぐ 2,605+melma!412

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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆

          No.394 2011年4月18日号 Vol.1

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震災関連情報へのリンクはこちらを御覧ください。

http://d.hatena.ne.jp/scicom/20110501/p1

目次

■巻頭言

 サイエンスコミュニケーション 期待されること 菊池卓司

 震災被災地の一部・仙台からの提案 今、アカデミア・図書館の方に考え、行動し

て頂きたいこと 長神風二(サイエンスコミュニケーター)

震災関連ニュース

SSAよりお知らせ

★【予告】5月6日(金) 夕方、大阪大学中之島センターにて会合開催予定

被災地に科学書を贈るプロジェクト進捗状況

Facebookページを作成いたしました。いいね!を押していただけると助かります

http://on.fb.me/hhHRpY

■ひとこと編集後記

■政治と科学

 国立国会図書館 科学技術政策の国際的な動向

http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/document2011.html

■産学民の動向

 知の拠点爪痕深く 東北大、理科系学部中心に甚大被害

http://www.kahoku.co.jp/news/2011/04/20110416t13011.htm

■科学と社会

 北海道大学CoSTEP 緊急出版!「もっとわかる放射能放射線」を電子書籍

http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/costep/news/article/121/

■生きる 生命、食をめぐる問題

 脳死移植:15歳未満、初の臓器提供へ 脳死判定・交通事故の男子、家族が承諾

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/04/12/20110412dde001040012000c.html

■諸外国の動向

 アメリカ 予算をめぐる混乱

■道を選ぶ

 『博士研究員(ポスドク)および任期制助教ならびに任期制助手等の実態に関するアンケート調査』 https://research.medical-tribune.co.jp/a.php?act=info_form

■読み物、エンターテイメント

 月刊化学 2011年5月号 http://www.kagakudojin.co.jp/book/b88486.html

 【特集】東日本大震災科学者たちが語る被災体験と提言

■加わる

 科学コミュニケーション研究会 第7回関東支部勉強会

 http://www.scicomsociety.jp/?page_id=25

ゲスト

 田中 幹人氏(早稲田大学/SMC)

 大木 聖子氏(東京大学地震研究所)

テーマ「東日本大震災科学コミュニケーション

2011年4月28日(木) 18:30-20:30

東京大学 本郷キャンパス 理学部1号館2F 207号室

2011-04-14 震災復興、科学書を贈る

震災に遭われた方に科学書を贈る(追記:Facebookページを作りました)

追記:本企画のFacebookページを作成しました

以前書きましたが、個人的に震災に遭われた方々に科学書を贈るプロジェクトをはじめています。

以下企画書(もどき)です。

f:id:scicom:20110414113120j:image

ジュンク堂さんから10%引きで本のご提供をいただけることになりました。その他出版社からもご協力をいただいています。

第一弾として福島県の中学校の先生に放射線関係の本を贈りました。

一番重要なのは、現地のニーズを把握することで、押し付けになって自己満足することだけは避けたいと思っています。現在つてをたよって、震災に遭われた方が何を必要としているのか探っているところです。また、末永く続けることも必要だと思っています。

まだ立ち上がったばかりで、ウェブページも出来ていませんが(近日中に作ります)、こんな本を贈ったらいいのではないか、といった情報提供をしていただける方、あるいはウェブサイトの管理や企画運営に関わりたいという方がいらっしゃいましたら、ご一報いただけますと幸いです。

震災からの復興、あるいは新しい社会づくり

東日本大震災から1ヶ月が経過しました。まだ被害の大きかった地域では、感染症の恐れなど、生命の危機は続いています。行方不明になられた方々の捜索も続いています。そういう意味で、医療で言えば急性期にあたる部分は続いています。被害の全貌も見えません。原発に関しては刻一刻と状況が変わりつつありますので、まだ振り返る段階ではありません。

一方で、今後のことを考えようという動きもあります。震災直後に、今は命を救うことが優先されるべきと書きました。被害に遭われた方々のご心情を考えると早すぎなのか、それとも、もう考えるべき時期なのか、正直言って分かりません。

けれど、少しずつ、先のことを考えるためにうごきだしてもいいかもしれないと思います。今ある危機を決して忘れないようにしながら。

文部科学省の斉藤さんが、以下のようなツイートをされていました。

今後震災復興のために何回かの補正予算が組まれるはず。研究環境の復旧、震災からの復興に向けた科学技術の貢献について、具体的に考え、提案をしていく必要があると思います。具体的な窮状の訴えや今後に向けた提案を発信しているサイトを教えてもらえませんか? #f_o_s

http://twitter.com/#!/takuya3110/status/56549908647383040

民主党城井崇衆議院議員は、以下のようなツイートをされています。

東電管内の電力消費の大きい科学技術の研究施設は西日本に移したほうがいい。でないと長期的に優秀な研究者が逃げ、優れた我が国の科学技術が失われる。

http://twitter.com/#!/kiitakashi/status/55815220165218304

本日午後の文部科学部門会議に出席。電力消費の多い、あるいは継続的に電力消費が必要な研究施設のあり方について、自家発電の充実や東電管内以外への分散配置などの意見を私を含めた議員から申し上げたところ、部門会議として勉強会を持つ方向になった。盛り込まれるとしたら第2次補正予算か。

http://twitter.com/#!/kiitakashi/status/58060873377382400

私の大切な友人でもある東北大学の長神風二さんは、研究機関向け 不完全巨大地震対策マニュアルを書きはじめています。

Twitterでも以下のような声が聞かれています。

罹災研究施設の復旧はともかく、復興については震災前に議論されていた研究戦略の策定に関する諸々が重要だろう。いまこそ科学者技術者が未来へのロードマップを考える時だ。“@takuya3110: 今後震災復興のために何回かの補正予算が組まれるはず。研究環境の復旧、震 #f_o_s ”

http://twitter.com/#!/pinkkyrat/status/57305366706388992

ここで組織化も進まず有効な政策提言も何も出来ないなら、日本の科学・技術界はその程度のものという事だろう。事業仕分けの時はあれだけ雄弁だった論者達が軒並み沈黙している現状を憂える。ことこの点に関しては事情は震災前後で形が変わらないまま重要性が増しているはずだが。 #f_o_s

http://twitter.com/#!/pinkkyrat/status/57307086840803328

今次震災に関連して、喫緊と各研究者が認識する研究課題を緊急に公募・助成することを提案したい>文科省や関連ファンディング機関の中の人公募に応えて集まったテーマを概観するだけでも乗り越えるべき未知がどれほどあるか、科学界・政府部内で認識・共有するのに役立つだろう #f_o_s

http://twitter.com/#!/pinkkyrat/status/57613958676357120

現在の危機に対応するのが第一ですが、未来を忘れないことも重要なのではないかと思います。私達も考えていきたいと思います。

2011-04-11 クライシスコミュニケーションとサイエンス/リスクコミュニケーショ

クライシスコミュニケーションとサイエンス/リスクコミュニケーションに関する試論

東京工業大学大学院理工学研究科工学基礎科学講座 調麻佐志さんよりご寄稿いただきました。


クライシスコミュニケーションサイエンスリスクコミュニケーションに関する試論

調 麻佐志 (東京工業大学大学院理工学研究科工学基礎科学講座)

 サイエンスコミュニケーションと非常に近い領域として、リスクコミュニケーションおよびクライシスコミュニケーションがある。広義のサイエンスコミュニケーションは科学技術に関する科学技術者・科学技術者共同体と市民との間のコミュニケーション(あるいは、市民を含むステークホルダー間のコミュニケーション)を意味する。それに対して、リスクコミュニケーションリスクに関する知識・情報についてのステークホルダー間のコミュニケーション(とそれを通じた知識・情報の共有)として、また、クライシスコミュニケーション災害や事故、戦争など有事における事態収拾・管理のためのコミュニケーションと定義できよう*1

コミュニケーションのモード

 科学技術が社会に広がる中で、ほぼあらゆるリスク、クライシスには何らかの形で(良い意味でも悪い意味でも)科学技術が関わっており、また、仮にそうでなくとも、科学技術が関与したリスク、クライシスコミュニケーションを想定すれば、一見、これら三つの境界はかなり曖昧に見えるであろう。それでは、この三者をどのように特徴付けることができるであろうか。表1に各コミュニケーションの特徴を概略的にまとめた。

表1 各コミュニケーションの特徴*2

f:id:scicom:20110411204916j:image

注:双方向*3

 リスク内容や危機情報の科学的な内容・意味・表現のようにコミュニケーション内容には明確な重なりこそあるものの、サイエンスおよびリスクコミュニケーションと、クライシスコミュニケーションとはコミュニケーションのあり方としては異質である。クライシスコミュニケーションは優れて目的指向的であり、有事において情報が(公権力執行機関から市民へと)一方的かつ可能なかぎり効果的・効率的に伝達され、かつはその情報に応じて市民が「適切」な行動を取ることが一義に求められる。そのため、コミュニケーションの双方向性や内容の正確さ、市民の意向・ニーズ等は背景に退かざるを得ない*4。すなわち、伝達内容に虚偽や不確かなものがあっても*5、適切な方向に市民が誘導され、あるいは有事の管理がうまくさえいくならばクライシスコミュニケーションとしては成功であり、逆に「正確」な情報が市民に正しく伝わっても「適切」な行動が取られないのであれば、失敗と評価されるべきである*6。したがって、クライシスコミュニケーションにおいては、その指示的機能がゆえに権威の果たす役割は極めて重要であり、政治的権威および知的な権威(「専門性」)の伴わない情報源・発信主体からの情報は深刻な機能低下を見ざるを得ない*7。その意味では、コミュニケーションモードが全く異なる(公式の)クライシスコミュニケーションにおいて、サイエンスリスクコミュニケーションおよびそのコミュニケーターが活躍する余地は少ない。

有事に機能したサイエンスリスクコミュニケーター:非公式クライシスコミュニケーションおよび公式クライシスコミュニケーションの補完

 東日本大震災後の福島第一原子力発電所に発生した危機的事態において、原子力資料情報室の存在がクローズアップされた。単純に図式的に述べてしまえば、原発に関する市民側からのリスクコミュニケーションを目的としたこれまでの活動が、非常事態を受けて活性化するとともに、非公式クライシスコミュニケーションとしてもまた機能し始めるという興味深い転換が生じたと言える。すなわち、平時における具体的リスクに関する継続的なコミュニケーションの実績が有事に際して権威へと転換し得ることが確認されたのである。あるいは、行政監督官庁東電といった公的権威に対するカウンターメディアとして機能したにしか過ぎないと理解すべきかもしれない。たしかに、仮に原子力資料情報室が市民に対して「指示」(たとえば、原発80km圏内からの退避勧告)を出しても、市民がそれに従ったかは定かでないものの、リスクに対する継続的かつ「妥当」なコミュニケーションを予め実施することで、その主体は有事においても役割を果たす余地が生じ得る。その意味では、既存のサイエンスあるいはリスクコミュニケーション活動の多くにおいてリスクコミュニケーションを十分に行なえていなかったことについて再考する必要もある*8

 また、とりわけ「原子力村」がリスクコミュニケーションをおざなりにしてきたツケにより、原子力資料情報室の台頭を許した*9ことは、問題視されてしかるべきであろう。いずれにせよ、平時のコミュニケーションの実績に基づいてリスクコミュニケーターがクライシスコミュニケーターに転じたことは、有事におけるこれらコミュニケーターの可能性の一つを示した。

 もう一つの有事におけるコミュニケーターの重要な役割として、専門的な内容が適切に表現されていない場合*10の内容の「翻訳」や、目的志向的なクライシスコミュニケーションでは省略されがちな指示・指示的情報の背景となる知識・情報*11を整理して提供するといった公式のクライシスコミュニケーションに対しての補完機能がある。後者に関しては、たとえばSMC Japanが積極的に役割を果たそうとしている。SMC Japanの活動に関連して学術的な観点からも興味深いこととして、どのようにSMC Japanがクライシスコミュニケーションの補完機能にすら求められる権威を担保するかという問題がある。これについて、表面的には二つの方略、既存(専門家の)権威の転用と適切な編集を通じた権威の獲得が採用されており、今回の事態において十分な権威を獲得することは難しいかもしれないものの、事態終息後の検証を経て、(望ましくない事態の想定ではあるが)少なくとも次の有事の際に有効な権威を獲得する可能性はあるだろう。

 有事におけるこの二つの事例は、一方がテーマの専門家としてのサイエンスコミュニケーターの役割を示しており、他方はコミュニケーション専門家としてのサイエンスコミュニケーションの可能性を示唆しているといえる。さらに、もう一つサイエンスコミュニケーターが果たし得た役割として、クライシスコミュニケーションの現場(今回の事故においては政府東電)でのコミュニケーションデザインの支援があることを指摘しておきたい。これに関しては、サイエンスコミュニケーションにかかる教育の目的の一つとしても今後注目すべきである。

 なお、いずれの場合も、欠如モデルが前提となっていることは、当然とはいえ、ある意味皮肉かもしれない…

*1:ここでは個別企業の危機(事故、不祥事等)対応のための広報および有事の情報収集活動については定義から除外して考える。

*2:一般的ないし最大公約数的に特徴を示しているため、個別の例外は多数ある。

*3:原則、双方向的なものが望ましいとされるものの、コミュニケーションの内容による。また、双方向のコミュニケーションが志向されても、必ずしもその実現が担保されるものではない。

*4:たとえば、市民の意向やニーズを前提として、コミュニケーションの内容を変える必要はあるかもしれない。しかし、それは意向の実現や反映が目的ではなく、コミュニケーションの効率・効果を高めるための方略の一環といえる。

*5:極論すれば、確実な情報が存在する事態は、クライシスでないとさえ言える。

*6:「正確」、「適切」という言葉が意味するものが、有事と平時では異なることも意識せざるを得ない。一方で、有事を理由に情報秘匿的なコミュニケーションが実施され、そのツケを市民が払った歴史があることをも忘れてはならない。

*7:そのような発信主体からの情報が必ず無駄である、有害であるというわけではない。しかし、デマや悪意のある情報発信を含む様々なノイズの中で、適切な情報発信として抜きん出ることは極めて困難である。

*8:あらゆるサイエンスコミュニケーションリスクコミュニケーションを同時に実施しなければならないわけではない。

*9:カウンターメディアが力を持つこと自体、クライシスコミュニケーションの遂行にとっては致命的ともいえる。このことは、原子力資料情報室に問題があることを意味するものでは当然なく、原子力村の抱える問題を白日の下に晒しただけである。

*10:たとえば、ベクレルシーベルトの本質的な違いはほとんど伝わらなかった。

*11原子力村や政府コミュニケーションモードの切り替えを適切に実現できなかったため、たとえば、「直ちに健康に影響がないレベル」という発言は行動を喚起する指示内容を含まず、補完的な情報を要した。

2011-04-04 科学技術政策関連ニュース3月末〜4月初旬

科学技術政策関連ニュース、3月最終週〜4月最初の週

メルマガを発行しました。

No.392 2011年4月4日号 vol.1

No.392 2011年4月4日号 vol.2

メルマガに掲載したニュースと、載せるのを忘れてしまった(来週号に載せます)ニュースを掻い摘んで。

国立国会図書館

国立国会図書館調査及び立法考査局では、2010年度から、科学技術政策の課題を館外の専門家と連携して調査するプロジェクトを実施しています。

第一回の今年度は、「科学技術政策の国際的な動向」をテーマとして調査を行い、3月18日に調査報告書『科学技術政策の国際的な動向』(本編、資料編)を刊行しました。

科学技術政策について、諸外国と日本における近年の動向を比較し、課題を整理しています。科学技術政策に関する基本的資料として、広くご活用ください。

とのことです。

人材関係2例。

トムソン・ロイター

このランキングでは、論文の「数」で中国・日本が他国を圧倒するものの、研究の「影響力」を表す平均被引用数ではシンガポールオーストラリア・日本が上位を占めることが分かります。また、本地域が化学分野の研究論文数で他地域を圧倒しつつあり、全論文の約43%に達したことも合わせて発表されました。

文科省

英国Royal Societyから、重要な資料が出ました。

厳しい状況が続いています。