Hatena::ブログ(Diary)

科学政策ニュースクリップ このページをアンテナに追加 RSSフィード

/研究問題メーリングリスト/サイエンス・サポート・アソシエーション(SSA)/研究問題ブログ(不正問題)/
研究者ネットワーク(仮)設立準備の会
震災に遭われた方に科学書を贈るプロジェクト
facebookのサイエンス・サポート・アソシエーションページ
サイエンス・サポート・アソシエーションハッシュタグf_o_sの議論
緊急メッセージ、未来の科学ためにfaceboook 研究者ネットワーク(仮)グループ
2012年総選挙2013年参院選

2010-07-19 国立大学法人の危機

国立大学法人の危機

昨年の事業仕分けを思わせるような事態だ。

今週のメルマガ用に集めた情報の一部がこれだ。

●「運営立ちゆかない」と交付金削減反北海道内の7国立大学長が共同声明

http://sankei.jp.msn.com/life/education/100716/edc1007162306004-n1.htm

●平成23年度概算要求基準(シーリング)に関する、道内7国立大学学長による共同声明 -

http://www.hokudai.ac.jp/shinchaku.php?did=594

●「大学予算削らないで」 国立私立大学団体が共同声明

http://www.asahi.com/edu/news/TKY201007140570.html

●交付金927億円削減「国の将来危うく」 国・私立大側が共同声明

http://sankei.jp.msn.com/life/education/100714/edc1007142358001-n1.htm

●大学予算削減は致命的/国大協と私大連が共同声明

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-07-16/2010071601_02_1.html

社団法人 国立大学協会 <「新成長戦略」の原動力は「強い大学」(国大協・私大連合共同アピール)を発表(7/14)>

http://www.janu.jp/whatsnew/entry_212.html

●927億円もの交付金カット 国立大学崩壊します/学長ら緊急声明 続々

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-07-15/2010071501_03_1.html

●交付金削減は重大な影響 県に支援求め要望書

岩手大藤井学長

http://www.iwanichi.co.jp/ken/item_19313.html

●大学運営に重大な影響 交付金削減で岩手大学長要望

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100715_2

●平成23年度概算要求基準(シーリング)による

国立大学法人運営費交付金」の削減反対!!(共同声明)

http://www.tsukuba.ac.jp/up_pdf/20100713134401.pdf

●財政健全化で予算大幅減なら… 大学システム崩壊招く 「強い人材」育成に投資を 東京大学学長 浜田純一

日本経済新聞 2010年7月19日朝刊

先週号にも以下の記事を紹介している。

中国地区国立大学長が共同声明を発表

http://ds22.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~www-yu/cgi-bin/topics_event/2010/topic100709.cgi

共同声明【PDF

http://ds22.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~www-yu/cgi-bin/topics_event/2010/file/100709-1.pdf

参考資料【PDF

http://ds22.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~www-yu/cgi-bin/topics_event/2010/file/100709-2.pdf

8%の概算要求シーリング阻止のために国大協が行動開始 (東京大学職員組合)

http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/1007unneihi-siryopagehtml.htm

国立大学法人32大学理学部長会議 緊急声明

人財”養成と学術研究の中心である大学への支出

我が国の繁栄を実現するために必須

平成22年7月10日

国立大学法人32大学理学部長会議

http://www.s.u-tokyo.ac.jp/info/statement.html

何が起きているのか。

大学関係者ならいわずもがなだが、簡単に振り返りたい。

発端は、政府が6月22日に閣議決定した「財政運営戦略」

http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2010/100622_zaiseiunei-kakugikettei.pdf

だ。この中で以下のようなことが述べられた。

「財政健全化目標の達成に向けて、平成23 年度から平成25

年度において、「基礎的財政収支対象経費」(国の一般会計歳

出のうち、国債費及び決算不足補てん繰戻しを除いたもの)

について、恒久的な歳出削減を行うことにより、少なくとも

前年度当初予算の「基礎的財政収支対象経費」の規模(これ

を「歳出の大枠」とする。)を実質的に上回らないこととし、

できる限り抑制に努めることとする。」

 これを受けて、国立大学協会(国大協)が試算したところ、「政策的経費」は年率8%の減となることが明らかになった。

 これを国立大学法人の運営費交付金や私立大学等経常費補助に適応されれば、削減額は単年度で1,185億円(国立927 億円、私立258 億円)に達するという。

 国立大学法人の927億円の予算は、大阪大学九州大学の予算に匹敵し、また、小規模の大学27校分に匹敵するという。

 これを学生の授業料の上昇で賄うと考えると、学生一人あたり23万円の値上げになるという。

 まさに、高等教育の危機と呼べるような事態だ。

 この事態は大学関係者を動かした。連日のように、大学関係者から声名が発表されている。大学の学長自身の声名も多く、とても追い切れないくらいだ。

 昨年の事業仕分け直後を思わせるような事態だ。

 ところが、昨年とは違う点も多い。

 まず、動いているのが大学の学長だということだ。大学の経営にかかわらない教授や、昨年動いた学生、ポスドクなどの動きは見えない。

 また、声名の内容は、昨年以上に政府に向いている。政府の方針に対する異議であるから、それは当然なのだが、市民や一般の学生、教員がおいてきぼりにされているような感じが無きにしも非ずだ。

 これは、国立大学法人化直前に似ているように思う。

 あの時も、大学関係者が危機感を持ち、反対運動を展開したが、世論を巻き込むことができなかった。

 今回、有力大学の学長がロビイングすることによって、この危機は収まる可能性はあると思うが、それでは本質的な解決にならない。twitterなどでは、27の大学を潰してしまえ、阪大、九大を潰してしまえ、という声さえ聞かれる。

 世論を納得させられない限り、「国立大学はいらない」「民営化しろ」という声はなくならない。現に選挙自民党みんなの党東大京大民営化について触れている。

 今は政府に向けて行動する緊急事態なのかもしれないが、社会に対し、納得する説明をすることが、大学関係者に求められているのではないか。

 折しも、英国でも研究が危機に陥っている。

●'Game Over' for British Science?

http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2010/07/game-over-for-british-science.html

●Value-adding enterprise

英国では、新政権の厳しい財政再建策のもとで、研究者たちも、科学の価値を明確に示すこと

が求められる。

http://www.nature.com/nature/journal/v466/n7304/full/466296a.html

 経済危機を乗り越え、次世代に研究を引き継ぐために、関係者の独りよがりでない行動が求められている。

2010-05-27 いよいよ開始 第4期科学技術基本計画案へのパブリックコメント

「国立大学法人化後の現状と課題について(中間まとめ(案))」公表と熟議開始

今日は重要な資料が立て続けに出た。

文部科学省「国立大学法人化後の現状と課題について(中間まとめ(案))」について

文部科学省では、本年1月より「国立大学法人の在り方に係る検証」を進めてきました。

この度、本検証の中間まとめ(案)を公表するとともに、「熟議」プロセスによる議論、及び意見募集を実施することといたしましたので、お知らせします。

 本日5月27日(木曜日)より、本「中間まとめ(案)」について、「熟議」プロセスによる議論、意見募集を実施します。また、これらと並行して、関係団体からの意見聴取・交換を経て、「中間まとめ」として取りまとめ、公表する予定です。

 ※意見聴取・交換を行う関係団体及び実施日程は別途お知らせいたします。

熟議カケアイ

http://jukugi.mext.go.jp/

にて議論が開始されている。こちらもぜひ皆さんのご意見を。

2009-11-24 9大学学長の会見

9大学学長の記者会見

旧帝大+慶応義塾大、早稲田大の学長が一堂に会し記者会見を行った。

記者会見「学術・大学関連予算について」の開催【共同声明】大学の研究力と学術の未来を憂う −国力基盤衰退の轍を踏まないために−

平成21年11月24日

大学の研究力と学術の未来を憂う(共同声明)

            • 国力基盤衰退の轍を踏まないために -----

北海道大学総長  佐伯  浩

東北大学総長   井上 明久

東京大学総長   濱田 純一

名古屋大学総長  除酔@道成

京都大学総長   松本  紘

大阪大学総長   鷲田 清一

九州大学総長   有川 節夫

早稲田大学総長  白井 克彦

慶應義塾長    清家  篤

有力大学の学長が、政治に声を伝えるのに、このような共同会見しかない、というのは、いかに大学、研究者コミュニティと政治が遠かったのか、ということを示しているように思う。

これは講演でよく使う話。

Nature誌にこんな記事がでた。

科学者18名が、小泉首相宛に公開質問状 小泉内閣の科学技術政策の基本方針は、基礎研究を失速させる」

(Nature 412, 364 (2001))

記事によると、公開質問状を出したのは、科学者の意見を政府に伝える適当な手段がなかったからだという。この結果、尾見幸次科学技術大臣に15分間会談できたというが、はたして伝わったのだろうか。

また、会見の中身は、大学自身の反省がない、という意見も出るだろう。今は強く主張しなければならないというのは分かるが、社会と大学がどう向き合っていくのか、考えてく必要がある。

2009-11-04 サイエンスアゴラ2009の2企画まとめ

サイエンスアゴラ2009、大学と科学技術政策を語りつくす?

 10月31日から11月3日まで東京お台場で開催されていたサイエンスアゴラ2009で行われ、twitter中継(tsudaる)された2企画をまとめてみました。

「クローズアップ!第4期科学技術基本計画」

http://togetter.com/li/624

「本音で語る大学とは何か」

http://togetter.com/li/618

写真は「本音で語る大学とは何か」の様子です。

f:id:scicom:20091102155935j:image

2009-10-13 博士は募集停止しろ、衝撃の提言

博士は募集停止にすべき…衝撃の提言

職業としての大学教授 (中公叢書)

職業としての大学教授 (中公叢書)

著名な教育学者、潮木氏がいうのだから、説得力がある。こういうことをいう人は多かったが、大学関係者から出たところが大きい。

とにかく引用する。

日本の大学教員は我が身を守ることには懸命になるが、その後継者世代をどうやって確保するのかに対しては極めて冷淡で、その結果、博士課程は目下、いまだかつて経験したこともない危機的な状況に陥ってしまった。青春は二度と取り戻せない。ただちに博士課程の募集を一時停止してでも、全国の博士課程を持つ大学を中心に、さらには全大学を含めて、今後の大学教員育成の制度設計を見直す必要がある。

三〇歳まで「生業」につかなかった人間を受け入れる場などまったくない


現在の大学院は定員補充率を高める圧力に晒され、院生集めに懸命になり、大学院が終われば、任期付き雇用という不安定なポストを工面して、当てのないチャンスを待たせているのが現状である。(中略)ますますプレカリアートを増やすだけ

学部卒あるいは修士修了の時点で、将来大学教員・研究者としてやっていけろだけの能力とガッツを持った者だけ選び出し、彼ら彼女らに集中的に資金を投入して、次世代の大学教員・研究者を養成する方が、博士号を持ったフリーターを量産するだけの現行大学制度よりもはるかに合理的である。

 博士のキャリア問題の責任の所在を大学に求めた点で、画期的な内容と言える。関係者必読。

 はたして、この提言を大学関係者はどう受け止めるのか。

2009-06-18 財務省の大学に対する見方

財務省は大学をこう見ている

平成22年度予算編成の基本的考え方について

平成21 年6月3日

財政制度等審議会

タイトルだけピックアップします。


企業が求める能力と大学が養成している人材には乖離が見られる。

国際的に見た日本の大学の評価はおしなべて低い。

第1期の各国立大学法人の評価結果には、ほとんど差異が見られない。

国立大学の教育研究評価を行う大学評価・学位授与機構の評価委員会は、8割(30名中24名)が大学関係者。

○学生数、教員数といった外形的なものを除き、評価は定性的なものとなっており他大学との比較など客観性に欠けるのではないか。

○そもそも、中期目標の達成度に対する評価なので、中期目標自体をより具体的な内容として、客観的に評価可能なものとする必要。

各大学に競争的に配分される特別教育研究経費でも、基礎的な運営費交付金と比べて配分シェアは

それほど大きく違わない

法人化以後、毎年度多額の決算剰余金が発生。ストックベースでは、約3,000億円の積立金等が累積。

○平成16年度(2004)の法人化時、国から土地、建物等約7兆4,300億円を出資

○平成18年度(2006)から適用された減損会計だけでも約300億円の遊休資産を認識

運営費交付金は減少しているが、自己収入等の増加により、事業量は毎年度増加している。

大学の規模、財務状況等にかかわらず、授業料は全大学、全学部でほぼ同じ

これに関して、こんなニュースも。

大学運営費:「国立大に余剰金」財政審指摘は心外…文科相

2007-10-05 新刊、代表質問から

大学教授市場

 先月出た新刊。大学教授の「市場」について、歴史を追って解説している。最終章でポスドク問題、オーバードクター問題にふれている。

 気になった記述を。以下著者は筑波大講師加藤毅氏。

 それでは、大学教授職への競争激化が大学院進学希望者の減少をもたらす、という図式の市場調整メカニズムは働かなかったのだろうか。

 (中略)オーバードクターの規模にはほとんど変化がみられないにも関わらず、翌年には増加に転じる。わずか一時点の例外を除き、市場の調整メカニズムは作動しなかったのである。

 現在、優秀な学生が大学院にこなくなる、という動きがあるが、オーバードクター問題ではそうではなかったのか、と意外に思った。

 若手教員の処遇をめぐる問題状況はこれまで、すでにみてきたとおり大学の大衆化に伴う教員組織の規模拡大によって先送りされてきた。今日、大学に常勤職を得る以前の不安定な一時雇用的スタッフはすでにかなりの規模に達しているけれども、これらを吸収するような教員組織の拡大を期待することはもはやできない。「問題のすべてを若手研究者に押し付け、その部分だけ流動化させ」ることで問題を先送りする手法は、既に限界に達したと言ってよい。

最近では、研究開発のマネジメントや評価など科学技術システムの運営に関わる多様なキャリアパス(ノンアカデミック・キャリアパス)の開拓などについて論じられているけれども、おそらくこれは解決策とはならない。

社会の負託に応えて知的基盤社会の牽引車となること。この目標を達成するためには、教育機関としての大学は、既存のニーズに応えることのできる教育コンテンツを開発するとともに新たな高度専門業務を創出していかなければならない。長い時間と高いコスト、そしてなにより多くの才能を通じて社会の活力ある発展が実現することにより、はじめて大学は社会の負託に応えることができる。

 ではその高度専門業務とはいったい何なのか、気になるところだ。それが明らかにならないと困る、というのが、現場の実感。

 ともかく、ブログ上での喧々諤々の議論だけでなく、高等教育の専門家がこの問題をどうとらえているのか知る上で貴重な資料だと思う。