デジタル・カメラで文書を複写する 14 ― 二刀流


ひさしぶりにカメラを使った複写について書いてみます。

このところあまり複写に時間を使えなかったのでカメラをしまい込んでいたのですが、久しぶりに取り出したので、カメラを2台使って書籍を複写する方法について少し書きます。基本的にはつぎのような方針。

  1. クランプやアームなどでカメラを固定
  2. 本に傾きをつけることで2台のカメラで左右のページを狙う
  3. 照明は真上からあてる
  4. インターバル撮影を駆使

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クランプなどをつかってカメラを固定します。基本的には前に書いたデジタル・カメラで文書を複写する 10 ― 携帯用複写台を自作のやりかたでふたつ作ります。

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本を90度の傾きで開き、左右に45度ずつの傾きをつけます。図を見てください。お仕事をお手伝いしている研究所が生協で購入したマックブック・プロの厚紙の梱包材がよいかんじでした。ちょうど同じころに生協でマックブック・プロを買った友達がいたので、その梱包材をもらってきました。みなさんもぜひ複写のためにマックブック・プロを生協で買いましょう(ぼくは買いません)。イギリスの国立文書館では、ゴムのような材質で断面が1:1:√2のブロックがたくさん置いてありました。そういうものをホームセンターなどで見つけられるといいのですがなかなかありません。(求む情報)

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本は両ページとも45度の傾きがつけられているので、照明は真上から当てるとちょうど紙の面に対して45度の角度で当たります。環境を整えにくい場合は部屋の照明でも条件を満たすので便利です。

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インターバル撮影機能を駆使します。コンパクト機ならリコーのものはだいたいこの機能がついているようです。一眼なら本体についてなくてもリモコンで実現できます。

ここでポイント。左右のカメラのシャッターを切るタイミングを少しずらします。そうすることで、左右のページを交互に無反射ガラスでおさえることができます。1. 左ページにガラス置く、2. 右手のカメラのシャッター切る(自動)、3. 右ページにガラス置く、4. 左手カメラのシャッター切る、5. ページめくる。といった作業の繰り返しになります。図にあるように、右手のカメラが左ページを、左手のカメラが右ページを狙うことになります。本の状態にもよりますが、ぼくはだいたい15秒くらいのインターバルに設定することにしています。

さいごに

以上で基本的な作業の説明はおしまいです。撮影した画像はUSBケーブルでコンピュータに転送することにしています。そうすればカメラを雲台から取り外さなくてすむので、設置の手間が省けます。Eye-fiを使いたいのですが、Linux対応のプログラムがないのが困ったものです。いいかげん開発してもらいたいものです。

なお、量産品のデジタル・カメラにも、どうしても個体差は出てしまうということです。ぼくはその点についてはあきらめています。自分の目で見る分には気にならないし、ぼくの最終的な目標はきれいな画像を撮ることではなくて、OCRにかけてテキスト版を作成することだからです。カメラはリコーのGXRとA12 50mmレンズをメインで使っています。適当な大きさでしかも性能が良いので個人で行なう複写目的には、今のところこれが決定版のような気がします。