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誰かの妄想・はてな版

2015-07-29

「日本は絶対に徴兵制にはならない」と主張する論者が知らない数字

日本は絶対に徴兵制にはならないことを数字で証明してみましょう ww」とか言ってる人がいます。

この永江氏記事ですが、のっけから事実認識で誤っている上にデータの使い方がひどい。

厚生省援護局調べ。1945年8月15日時点の兵数によりますと・・・終戦当時

内地 370万人

引き上げてきた人たち

陸軍 296万3000人

海軍 38万1800人

の軍人がいました。あんなにたくさんの兵隊さんが亡くなったのに、まだ合計で700万人もいたんですよ。終戦の年の人口は7000万人強です。そりゃ徴兵でもしないと足りないよ。(略)自衛隊の人数ってどれくらいだと思いますか?

防衛省のデータです。日本の自衛隊員の数は

陸上自衛隊 13万7,850人

海上自衛隊 4万1,907人

航空自衛隊 4万2,751人

統合幕僚ほか 3,204人

合計22万5,712人

しかいないのよ・・・

http://blogos.com/article/124840/

要するに、昔の日本が徴兵制を布いていたのは、人口7000万人しかいないのに、敗戦時生存者だけで700万人の兵隊がいたからだ。現在の自衛隊は22.5万人しかいない。だから徴兵制は不要、というロジックです。多分、永江氏の脳内では、戦前日本は徴兵制を布いておらず、戦争末期になってから徴兵制に移行したことになっているのでしょう。どこの並行宇宙のことか知りませんけど。

言うまでもなく明治以降の戦前日本では徴兵制が布かれており1930年頃の兵力は約25万人(うち徴兵された兵卒は約20万人)で、現在の自衛隊の規模とほぼ同じです。

さらに言えば、総人口では戦前の方が現在よりも少ないのですが、徴兵適齢である18〜19歳男子人口で見ると戦前と現在はほぼ同数です。

年度     18歳男子19歳男子
1935年国勢調査 645,384 653,7431,299,127
2010年国勢調査 623,883 612,3461,236,229

単純に人口と兵力規模だけを見るならば、130万人の18〜19歳人口から25万人の軍隊を維持するために戦前日本は徴兵制を布いていた訳ですから、18〜19歳人口が120万人の現在において22万人の自衛隊を維持するためには徴兵制を布いてもおかしくない、とも言えてしまいますね。

実際にそうならないのは、総兵力25万人の8割である20万人が徴兵であった戦前日本に対し、現在の日本は総兵力22万人の自衛隊のうち、兵卒にあたる士がたった4万人しかいないからです。

もし、自衛隊が社員100人の会社だったら・・・

23人は課長以上の管理職(士官)です。

59人が係長(下士官)です。

平社員(兵卒)は18人しかいません。

とかそんな感じが現在の自衛隊です。社員の6割が係長の会社ってどうなんですかね。

ところで、もし、士官・下士官・兵卒の比率を1:3:6 程度にするなら、自衛官(士)を新規に20万人採用する必要が生じますが、これ徴兵制でなければ無理でしょうね。1:3:3でも6万人以上増やす必要があり、やはり徴兵制でなければ難しい状況です。

なぜ海上保安庁

しかし海上保安大学校の応募者数は

増えてます!!

倍率はいつも10倍をキープ。2010年の中国船の体当たりの翌年の2011年は、海上保安庁への志願者数(海上保安大学校じゃなくて)は前年より3000人多い8000人以上に達したというのはニュースでみなさん知っての通り。なので

http://blogos.com/article/124840/

海上保安大学校に限らず、防衛大学校だって倍率は高いんですがこれって幹部候補ですから倍率高くて当たり前です。同じく幹部候補となる国家公務員総合職の倍率だって軒並み10倍を超えていますよね。

2011年海上保安庁への志願者が増えた、とも永江氏は言ってますが、それ普通に「海猿」効果でしょう。「海猿」が映画公開された直後は毎回海保志願者が増えたと結構報道されてますよね。なぜそれを無視しますかね。

2015-07-28

フィリピンの領土に関する若干の資料

フィリピンの領土は基本的に、米西戦争講和条約である1898年のパリ条約第3条で定義されています。

Article III.

Spain cedes to the United States the archipelago known as the Philippine Islands, and comprehending the islands lying within the following line:

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2015-07-27

「日本と中国の係争地域は、「排他的経済水域が重なる場所」」←こういうデマを広げる連中が多くて困る

日本政府は中国に対してどんな要求をしているのか −東シナ海ガス田問題における日本政府のヤクザ論法−」の記事に関連して、こういうデマを述べている人がいました*1

仁ロボ @jinrobo

(1)まず、日本と中国の係争地域は、「排他的経済水域が重なる場所」(海洋法第六十三条、以下条約名省略)であって、日本主張の中間線と中国主張の境界との間に限られません。双方主張の境界線は係争地域を確定するための合意案にすぎず、合意が成立しない限り日本の(と中国)の管理権が係争地域に及んでいることは変わらないため、その管理権(60条1項(b))を無視した資源開発施設の建設は違法です。

http://togetter.com/li/852391

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自衛隊は違憲か合憲か

【メモ】憲法学者の中では「自衛隊自体が違憲」が今も多数派なことをどう考えるか(〜朝日新聞アンケート)」なるtogetterがあり、どうも、戦争法案を違憲だとする憲法学者らを揶揄する目的があるような感じです。

こういう内容は、戦争法案のごり押しを意図・支持する連中にとっては、ありがたい存在でしょうね。

「現在の自衛隊の存在は憲法違反にあたると考えますか。」

憲法違反、と答えた憲法学者は50人

憲法違反の可能性がある、は27人

憲法違反にあたらない可能性がある、は13人

憲法違反にはあたらない、は28人

上記、togetterで揶揄している連中は、基本的に個々の憲法学者の意見なんか見てもいないのがもろわかりで、カウントした数字だけ見てるようです。

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*1:丸付数字は、括弧書数字に修正。

2015-07-26

日本政府は中国に対してどんな要求をしているのか −東シナ海ガス田問題における日本政府のヤクザ論法−

東シナ海において日本と中国尖閣諸島(釣魚列島)の領有権を争っていますが、それとは別に東シナ海の日中境界についても争っています。

中国側は大陸棚の延長として沖縄トラフまでを中国側と主張していますが、日本側は日中の200海里が重複する部分の中間線までを日本側と主張しています。いずれの主張も海洋法条約に反するものではありません(中国側の大陸棚自然延長の主張は、海洋法条約第6部(第76〜85条)に沿ったもの。)。

したがって、日本側が主張する日中中間線中国側が主張する沖縄トラフに囲まれた部分が、日中間の係争領域となります。

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春暁(白樺)ガス田は日中共同開発の合意なんかしていない

安倍政権憲法違反の戦争法案を衆院強行採決しましたが、支持率の低下傾向を回避する為か、反中世論を煽るメディア工作を行なっています。

中国の脅威」に対する過剰演出危機を煽り、戦争法案への賛同者を増やそうと意図しているのでしょう。

このタイミングで、東シナ海ガス田開発を槍玉に挙げましたのはわかりやすい動きです。

政府、中国による新たなガス田開発の証拠資料を公開 フジテレビ系(FNN) 7月22日(水)20時2分配信

もともと日本が境界と主張する日中中間線中国側でのガス田開発ですから、中国が日本から抗議を受けるいわれは全くないんですけどね。

ところでこれらの報道に際して、「2008年に、日本と中国で共同開発することで合意した」云々と語られていますが、これは今回安倍政権プロパガンダとして公表したガス田とは関係ありません。

外務省サイトには、共同開発区域について以下のような範囲が明示されています。

1.以下の座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる区域を双方の共同開発区域とする。

(1)北緯29度31分東経125度53分30秒

(2)北緯29度49分東経125度53分30秒

(3)北緯30度04分東経126度03分45秒

(4)北緯30度00分東経126度10分23秒

(5)北緯30度00分東経126度20分00秒

(6)北緯29度55分東経126度26分00秒

(7)北緯29度31分東経126度26分00秒

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/higashi_shina/press.html

f:id:scopedog:20150726101402p:image

図示するとわかりやすいですが、今回公表しているガス田と2008年の共同開発区域は全く重なりませんし、距離的にも結構離れています(共同開発区域の正確な範囲の図示は末尾)。

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2015-07-23

「存立危機事態」と「重要影響事態」に関する致命的な論理矛盾

存立危機事態」は武力攻撃事態法の改正案で追加される概念で、「重要影響事態」は周辺事態法改正案で「周辺事態」から地理的制約を削除して変更された概念です。

審議開始直後からこれについてかなり揉めたのですが、修正されることなく自民党公明党による強行採決衆院通過しています。

四 存立危機事態 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう。

http://www.cas.go.jp/jp/houan/150515/siryou3.pdf

そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「重要影響事態」という。)

http://www.cas.go.jp/jp/houan/150515/siryou4.pdf

周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律

第一条

そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「周辺事態」という。)

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO060.html

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