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誰かの妄想・はてな版

2014-10-22

小樽高等商業学校軍事教練事件(小樽高商軍教事件)

最近は関東大震災の時の朝鮮人虐殺ですら否定する傾向が強くなっていますので、関連する事件を備忘的に。

日本による朝鮮支配の40年 (朝日文庫)

(P252-257)

関東大震災小樽高商事件

 日本人との連帯で忘れることのできない非常に重要な運動が、一九二五年十月の小樽高商事件です。この年はどういう年かというと、四月から学校軍事教練がはじまっており、また治安維持法もできています。つまり、ファッショ化が急速に進んだ年なのです。そういう背景があって、十月十五日に小樽高商の野外演習があった、ところがその想定は、小樽の天狗岳に地震が起こり、無政府主義者朝鮮人暴動を起こす、だから小樽高等商業学校の学生たちは、在郷軍人会と一緒になって暴動討伐をするというものなのです。ですから、一九二三年の関東大震災とまったく同じ想定です。

 当時、日本には学生社会科学研究会というものがあって、それは小樽高商にもありました。小樽高商は北海道の思想運動の中心的な役割を果たし、優秀な人材もかなり出ています。これに外部の政治研究会小樽および札幌支部や、小樽労働組合朝鮮人親睦会、北潮新報社などが呼応して、学校当局に抗議活動をする。そして小樽高商社会科学研究会の名で、全国的に「全国の学生諸君に檄す!」というアピールを出すわけです。

 このアピールを受けた日本学生社会科学連合会は、二十二日に別掲したような、「小樽高商軍事教育事件に関して」というサブタイトルのついたアピール「全日本の学生諸君に訴ふ!」を発表しました。このようにして小樽高商事件は、全国の大学、高等学校、専門学校の軍事教育反対運動に発展するのです。もちろんこれには、在日朝鮮労働総同盟をはじめとする各団体も呼応して、日本国民にその真相を訴えます。つまり、学校軍事教練はこういう目的のためじゃないかということですね。なかでも、東大新人会の林房雄さんや東北大学島木健作さんなどが非常に活躍します。それが近畿地方にも波及し、運動がはげしくなって、とくに京大同志社大学などでは最初の治安維持法違反事件として三〇名余りの逮捕者を出します。

 ところが小樽高商事件でおどろくことは、その二年前の一九二三年九月一日に関東大震災が起きたとき、日本政府の治安当局や軍部が、朝鮮人社会主義者無政府主義者に対する一般民衆の偏見や恐怖心をあおって虐殺するという、天災人災に変えたにがい経験から、何一つ教訓を引き出していないという思考パターンです。

 震災当時日本政府内務大臣は水野錬太郎、警視総監赤池濃でした。水野は三・一運動直後の一九一九年九月、斎藤実総督の政務総監としてソウル駅に降りた途端、姜宇奎の洗礼を受けた人です。赤池はその水野によって総督府警務局長に起用された人です。

 震災と同時に朝鮮人が放火する、来襲するなどの流言が伝わると、水野内相は勅令をもって戒厳令を試行して軍隊を出動させ、警察や各町内の自警団と一緒になって東京をはじめ神奈川埼玉千葉などで六〇〇〇名余りの朝鮮人を殺し、東京亀戸では純労働者組合の平沢計七、南葛労働会の川合義虎ら八名が、近衛師団騎兵第十三連隊の兵士によって殺されました。また大杉栄夫妻や六歳の甥までが憲兵大尉甘粕正彦によって殺され、中国人も約二〇〇名が軍隊に殺されています。

 この虐殺の真相については、朝鮮人側でも北星会をはじめとする青年団体朝鮮人迫害事実調査会をつくって調査していますが、日本の文化人のなかでも吉野作造、金子洋文、江口渙らが、また国会では永井柳太郎らが真相糾明に活躍しています。

 それから二年後の小樽高商事件が教えてくれた貴重な教訓は、他民族に対する偏見と離間のデマゴギーが、日本国民軍国主義化の方向に引きずっていくうえで、重要な思想動員の武器となっていること、それに対して学生たちが、学園内の軍事教育反対闘争と結びつけて闘い、社会的に広くアピールしたことではないか、と思います。

参考:小樽高商軍教事件(pdf)


関東大震災での朝鮮人虐殺という社会的経験を経てなお、わずか2年しか経っていない時点で朝鮮人による暴動を想定した軍事教練をやろうとする発想が異常です。結局、関東大震災時の虐殺を政府隠蔽し、社会が忘却しようとしたことで何の教訓も得られなかったのでしょう。

小樽高商は背景的にこういった問題にかなり敏感であったため、表面化し問題化したわけですが、表面化しなかっただけでこれと同様のことは結構あったのではないかと思います。

ちなみにほぼ同時期の1921年内務省警保局長から各都道府県(当時は、庁府県)長官に以下のような注意がだされています。

「JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A06030000200、新聞紙取締ニ関スル例規(国立公文書館)」

 大正十年十一月十二日

                  警保局長

 庁府県長官宛

近時朝鮮人に関する新聞紙の記事中往々僅少なる一部不逞の徒の言動を誇大に報道し又何等拠る所なきに拘らず朝鮮人を以て犯罪嫌疑者なる如く伝え若くは特別注意に値せざる市井の一瑣事朝鮮人に関するの故を以て特に之を掲載する等の嫌あるもの有之候処右は瞑々の中に彼等の心裡に悪影響を及ぼすこと少からず又時に外交上不利の影響を及ぼす場合も有之現に殊更に或種の浮説新聞紙法に照し処分せらるることも有之際にて場合に依り事の選択報道に就きては特に慎重の態度をとり事の真相を誤らざる様管下各社に対し厳重御注意相成度

このわずか2年後の1923年、関東大震災の混乱に乗じて多数の朝鮮人を虐殺し、さらに2年後の1925年朝鮮人暴動を起こしたという想定での軍事教練をやったわけです。

90年前の出来事ですが、今とどれほど違うでしょうかね。

2014-10-21

もはや焚書と同レベルの主張

この件。

2014.10.17 21:13更新

辞書や辞典の慰安婦強制」記述の是正を 朝日誤報受け、衆院委で議論 中には「女子挺身隊」との混同も

 一部の国語辞典などに「従軍慰安婦」の項目があり、日本軍による強制と説明していることが議論を呼んでいる。17日の衆院文部科学委員会でも取り上げられ、辞典を使う子供たちへの影響を懸念する声も上がった。下村博文文部科学相は「表現の自由は尊重されるべきだが、(誤った説明を)教育現場に持ち込むことは問題」と話している。

 現在使用されている主な国語辞典の記述では、「広辞苑・第六版」(岩波書店)が「従軍慰安婦」の項目で「日本軍によって将兵の性の対象となることを強いられた女性」と、日本軍による強制性を説明。平成11年発行の「新辞林」(三省堂・品切れ中)でも、軍需工場などに徴用された「女子挺身隊」と慰安婦とを混同して説明している。

 17日の衆院文科委では、元文科政務官義家弘介ひろゆき衆院議員が「辞書や辞典は子供たちが必ず使う教材」と指摘。朝日新聞が8月、慰安婦強制連行したとする証言が虚偽だったとして関連記事を取り消したことで、軍による強制性などの根拠が崩れたと強調し、「文科省は(学校で使われる)辞典などの記述にも注意すべきだ」と求めた。

 衆院文科委ではこのほか、朝日新聞記事取り消しを受け、教材などに書かれた慰安婦の説明の是正を求める意見も相次いだ。

 これに対し、岩波書店の担当者は産経新聞の取材に、「時期が来れば学問の進展状況を踏まえ考えていきたい」と将来的な訂正に含みを持たせている。

http://www.sankei.com/life/news/141017/lif1410170044-n1.html

時の政権にとって気に入らない記述は削除させるというやり方は、独裁国家による焚書と変わりません。

日本の有権者はこれでもまだ自民党に投票するんでしょうけどね。

この自民党議員らの姑息なやり方は、「天安門」という情報へのアクセスを制限している中共政府とどこが違うんでしょうか?

「戦時中、日本軍兵士らの性の相手を強いられた女性がいた事実を消すことはできません」

義家弘介議員には読めなかったのかも知れませんが、朝日記事にはこう書かれています。

慰安婦問題の本質 直視を

2014年8月5日05時00分

 こうした一部の不正確な報道が、慰安婦問題理解を混乱させている、との指摘もあります。しかし、そのことを理由とした「慰安婦問題は捏造」という主張や「元慰安婦に謝る理由はない」といった議論には決して同意できません。

 被害者を「売春婦」などとおとしめることで自国の名誉を守ろうとする一部の論調が、日韓両国ナショナリズムを刺激し、問題をこじらせる原因を作っているからです。見たくない過去から目を背け、感情的対立をあおる内向きの言論が広がっていることを危惧します。

 戦時中、日本軍兵士らの性の相手を強いられた女性がいた事実を消すことはできません。慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質なのです。

http://www.asahi.com/articles/ASG7X6753G7XUTIL053.html

この記述を読んでもなお「朝日新聞が8月、慰安婦強制連行したとする証言が虚偽だったとして関連記事を取り消したことで、軍による強制性などの根拠が崩れた」などと主張するのは義家弘介議員の頭が悪いのか、根性が悪いのか、多分両方なんでしょうが。

2014-10-15

「インターネット上で、日本の読者に日本語で掲載したこうした記事が名誉棄損罪にあたると言うのだろうか」と言えば、それはあたるでしょうよ。

産経新聞韓国大統領に対する性的侮辱記事を書き、韓国政府がそれを弾圧した事件についてですが、こういう意見が散見されます。

深谷隆司2014年10月10日 15:59

韓国法治国家にあらず

(略)

 セウォル号沈没事故当日の大統領の所在が様々な憶測を生んで、色々なメディアで面白おかしく書かれているが、インターネット上で、日本の読者に日本語で掲載したこうした記事が名誉棄損罪にあたると言うのだろうか。

 一応、市民団体からの告発という形をとっているが、如何にも検察側の「やらせ」であること見え見えだ。まず出国禁止にし、遂に在宅起訴、この不当な処置に、日本のみならず、アメリカ国連で、言論の自由を侵害していると批判が起こるのも当然である。

http://blogos.com/article/96305/

引用後半の批判はもっともであり、同意しますが、前半はどうでしょうか。

日本の特定個人を侮辱し名誉を毀損する記事を海外サイトに英語で書けば、名誉毀損罪は成立しないんでしょうか?日本に住む英語話者が海外サイトに深谷氏を性的に侮辱する記事を書き、それが現地で大きな話題になった場合、深谷氏はその記事を書いた在日英語話者を名誉毀損で訴えることはできないんでしょうか?

日本の法律でもそうは解釈されないと思うんですけどね。

在日外国人記者が天皇を性的に侮辱する記事を海外の言語で書いても、今の日本人は“報道表現の自由”と言って擁護できるんですかね?

以前書いた、別段天皇を批判するわけでもない「天皇こそ役に立たないんだから心置きなく静養に行けばいいと思うんだが。」という記事に対する反応を見る限り、とてもそうは思えませんけど。

それにもう忘れているのかも知れませんが、重慶青年報がきのこ雲を掲載した件で日本中が烈火のごとく怒り狂ってましたよね*1。あれは、日本語で日本人向けに書かれた記事でしたか?

産経新聞記事名誉毀損に該当すること自体は、否定できるようなものではありません。特定個人に対する性的侮辱記事を書いた産経加藤達也前ソウル支局長が名誉毀損告発を受けること自体は問題とは言えないでしょう。

この件で問題なのは、権力者に対する名誉毀損検察が容易に認めたことにあります。「検察側の「やらせ」であること見え見え」というのもその通りでしょう。これが「検察側の「やらせ」であること」を見抜く目を持ってすれば、慰安婦問題における河野談話潰しや排外差別団体による外国に対する誹謗中傷が、安倍政権による「やらせ」であることもわかるはずですけどね。

なお私は以前こう書きました。

さらに言えば、大統領に対する侮辱以外に大統領と接触したと噂を流された相手に対する侮辱であることも否定できず、その当人が「加藤支局長を強く処罰してほしい」と要請していることは、その噂が否定されたことも踏まえるとないがしろにはできないでしょう。通常の司法手続きに則る限り、起訴されて当然と言える事案ではあります。

しかしながら、権力者が絡む場合は当然とは言いがたいわけです。

司法手続き上の瑕疵が無いとしても、大統領が自身を侮辱した報道機関刑事罰を科そうとしている、という形態になる以上、そこには最大限の慎重さが求められます。権力者は一般人とは違う制約がなされるべきということですね。

私人としての行為」だという言い逃れが平気で通用するどこかの国を真似るべきではありません。権力者は自らを律する誠実さを国民に対して示す必要があります。

また、これが外国の報道機関であるということも重要な点です。

外交上の問題となることを避けることもまた政府の責任ではあり、国内法の筋だけ通せばいいというわけではありません。殺人などの重大な犯罪を見逃すわけにはいかないでしょうが、軽微なものであれば見逃すというのも現実的外交のためには必要な選択でしょう。領有権で争いのある海域での衝突事件に対し、逮捕だ起訴だ筋を通せと騒ぎ立て外交関係を著しく悪化させたどこかの国を真似るべきではありません。

国の責任者は教条的になってはならないのです。

さらに言えば、たとえ形式的には極右団体告発であり青瓦台とは関係なくとも、極右団体青瓦台の意を受けて告発したであろうというのは誰が見てもわかります。ただ、それを法的に証明できないだけに過ぎません。日本で排外主義団体が行っているヘイトスピーチが誰の意を汲んでいるか、誰でも知っているのと同じことです。

法的に証明さえされなければ何やっても構わないというのは、少なくとも政治指導者がやるべきことではありません。ただ冠を直したに過ぎないにしても、それが李下であれば責任を取るのが政治指導者のあるべき姿でしょう。

市民の政治活動を締め付ける一方で政治指導者には過剰な信教の自由を認めるどこぞの国の風潮をうらやんではいけません。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20140910/1410282867

この認識は特に変わっていません。

2014-10-13

呼びかけ文が不適切ということは、アジア女性基金は国民に対して虚偽の理由で募金を募った詐欺集団ということになりますね

この件。

外務省HPからアジア女性基金呼びかけ文削除

産経新聞 10月11日(土)7時55分配信

 外務省は10日、元慰安婦に「償い金」を支給したアジア女性基金の「拠金呼びかけ文」をホームページから削除した。文中に「10代の少女までも含む多くの女性を強制的に『慰安婦』として軍に従わせた」との記述が含まれていたためで、次世代の党の山田宏幹事長が6日の衆院予算委員会で「強制連行はなかった」「問題がある」と指摘し、岸田文雄外相が削除を検討する考えを示していた。

 削除したのは「歴史認識」の項目に掲載されていた「『女性のためのアジア平和国民基金』への拠金呼びかけ文」(平成7年7月18日)。基金の呼びかけ人が発表した文書で政府の公式文書ではないが、外務省は過去の経緯を紹介する観点から閲覧できるようにしていた。

 慰安婦強制性をめぐっては、平成19年に第1次安倍晋三内閣が「政府発見の資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を示すような記述は見当たらなかった」との答弁書閣議決定している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141011-00000093-san-pol

国会で「強制連行はなかった」「問題がある」と指摘され、政府がそれにしたがって削除したわけですから、日本政府として「10代の少女までも含む多くの女性を強制的に『慰安婦』として軍に従わせた」という事実を否定したということでしょう。

しかし、「10代の少女までも含む多くの女性を強制的に『慰安婦』として軍に従わせた」というのが事実でないとすると、以下のような呼びかけ文で国民に募金を呼びかけたアジア助成基金は、“虚偽の事実で国民を騙して、金を集めた”ということになりますね。

アジア女性基金設立にあたっての国民への呼びかけ

1995(平成7)年7月18日

(8月15日全国紙広告)

 戦争が終わってから、50年の歳月が流れました。

 この戦争は、日本国民にも諸外国、とくにアジア諸国の人々にも、甚大な惨禍をもたらしました。なかでも、十代の少女までも含む多くの女性を強制的に「慰安婦」として軍に従わせたことは、女性の根源的な尊厳を踏みにじる残酷な行為でした。こうした女性の方々が心身に負った深い傷は、いかに私たちがお詫わびしても癒すことができるものではないでしょう。

 しかし、私たちは、なんとか彼女たちの痛みを受け止め、その苦しみが少しでも緩和されるよう、最大限の力を尽くしたい、そう思います。これは、これらの方々に耐え難い犠牲を強いた日本が、どうしても今日はたさなければならない義務だと信じます。

(略)

 しかし、なによりも大切なのは、一人でも多くの日本国民犠牲者の方々の苦悩を受け止め、心からの償いの気持ちを示すことではないでしょうか。戦時中から今日まで50年以上に及ぶ彼女たちの屈辱と苦痛は、とうてい償いきれるものではないでしょう。それでも、私たち日本国民の一人一人がそれを理解しようと努め、それに基づいた具体的な償いの行動をとり、そうした心が彼女たちに届けば、癒し難い苦痛をやわらげるのに少しは役立ってくれる、私たちはそう信じております。

 「従軍慰安婦」をつくりだしたのは過去の日本の国家です。しかし、日本という国は決して政府だけのものでなく、国民の一人一人が過去を引き継ぎ、現在を生き、未来を創っていくものでしょう。戦後50年という時期に全国民的な償いをはたすことは、現在を生きる私たち自身の、犠牲者の方々への、国際社会への、そして将来の世代への責任であると信じます。

 この国民基金を通して、一人でも多くの日本の方々が償いの気持ちを示してくださるよう、切に参加と協力をお願い申し上げる次第です。

http://www.awf.or.jp/6/statement-08.html

自民党は9月19日に「いわゆる慰安婦の「強制連行」の事実は否定され、性的虐待も否定された」*1と宣言していますから、そもそも「女性の根源的な尊厳を踏みにじる残酷な行為」すらなかったということになります。

政府自民党の論理に従う限り、償うべき犠牲者など存在しないことになり、「この国民基金を通して、一人でも多くの日本の方々が償いの気持ちを示してくださるよう、切に参加と協力をお願い申し上げ」たアジア女性基金は、募金詐欺を働いたことになります。

募金に協力した人たちは、アジア女性基金に対して、騙しとられた募金の返還を求めて訴訟を起すべきでしょう。

2014-10-12

他人事然として評価するよりも、言論機関としてその問題をどう考えるのか語るべき

だと思うんですけどね。

鼻息だけは荒かった民主党在特会、うちわ疑惑」追及チーム

DAILY NOBORDER 10月12日(日)18時44分配信

 国会は8日、参院予算員会で2日間にわたる基本質疑を終えた。ハイライトは初日、民主党と女性閣僚5人とのバトルであろうか。中でも民主党が「集中口撃」の対象として照準を合わせたのは松島みどり法務相山谷えり子国家公安委員長の2人。攻める民主党蓮舫行政刷新相が質問に立ち、松島氏が経済産業副大臣だった今夏、地元のお祭りに参加した際に配布した「団扇」を掲げて得意満面に「これはうちわですよね。寄付行為に当たり、公職選挙法違反の疑いがある」と追及。これに対して松島氏は「団扇と解釈されるならうちわ、団扇のように見えるかもしれないが、議員活動を印刷した配布物であり、寄付とは認識していない」と釈明するも、どう言い逃れようとも「団扇」以外の何ものでもなく、松島氏に勝ち目はない。翌日には9月の法務相就任後にも「法務大臣」と書いた団扇の存在が発覚するに至りついに「疑念を持たれた案件なので、今後同じような形のモノの配布は取りやめる」と述べて勝負あり。と、ここまでは良かったのだが、何せ蓮舫氏と言えば民主党政権下、無駄削減の予算仕分けで「何で一番じゃなけダメなんですか」とスーパーコンピューターの開発費をやり玉に上げて失笑を買ったことが思い出される。案の定、今回も松島氏の「団扇」を追及したその舌の根乾かぬ間にご自分の「団扇」の配布疑惑が浮上してしまうのである。

 これについて蓮舫氏はフェイスブック上で「個人ビラとして届出の上、使用することについては各選管の承認を得ており、公選法上の寄付に抵触しないと考えます」と疑惑を否定するも、2人の「団扇」を見比べれば柄の有無し。それこそ目クソ鼻クソなのである。

 追及するネタの下らなさもさることながらのオチまでついては、白熱した論戦を期待した国民有権者の落胆ぶりは如何ばかりであろうか。

 しかも松島氏と並び民主党がメインイベントと位置付け、徹底追及の構えを見せていた国家公安委員長山谷氏と在日韓国人朝鮮人の排斥を主張する「在日特権を許さない市民の会」(在特会)幹部との関係についても新しい材料があるわけではなく、逆に傍聴席から飛び出した民主党野田国義議員セクハラヤジで謝罪に追い込まれる始末。先行き思いやられる民主党の有様であった。猛省を促したい。

藤本 順一

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141012-00010000-noborder-pol

しかし、よく見れば藤本氏がそれぞれの問題をどう考えているのか、一応書いてありますね。公職選挙法違反については「追及するネタの下らなさ」と書かれていますから藤本氏あるいはDAILY NOBORDERにとっては下らない話題ということでしょう。選管の承認の有無を「目クソ鼻クソ」程度にみなしていることもわかります。

排外差別団体との癒着も「傍聴席から飛び出した民主党野田国義議員セクハラヤジで謝罪に追い込まれる始末」と書かれていることから、差別団体と公安委員長の癒着は、野次と同程度かそれ以下という認識なのでしょう。

まあ、民主党に猛省を促すのも結構ですが、メディアとしてそれぞれの問題をどう考えているのかを示すべきではないんでしょうか。それとも、差別団体と公安委員長の癒着などセクハラヤジで相殺されてしまう程度なんでしょうかね。

セクハラセクハラとして批判するが、それとは別に差別団体との関係はしっかりと追及する”というメディアは、日本には存在しないのかも知れません。

途絶える山谷・在特会癒着の追及、途絶えない韓国での産経訴追に対する非難

山谷国家公安委員長が排外差別団体と癒着していたことに対する批判的な報道は10月7日の野次以来、見かけなくなりました。

山谷国家公安委員長と排外差別団体との関係がメディアで表面化したのは、2014年9月17日頃です*1山谷氏や世耕氏が記者会見で釈明したため、その時に少し報道されました。

(朝日)

山谷氏の写真「問題ない」 官房副長官(2014/09/19)

その後しばらくメディアで取り上げられることなく、9月29日から始まった第187回国会中の質疑で取り上げられたことでようやく記事になりました。

(朝日)

在特会と知らず」写真問題で山谷氏答弁 やじで紛糾も(10/7)

内外メディア、反応に温度差 閣僚が在特会元幹部と写真(2014/10/08)

しかし、この時の記事タイトルにもある野次の方が、国家公安委員長と排外差別団体との関係よりも重視されるに至ります。朝日の10月8日以降の報道はこうです。

(朝日)

山谷氏、親しい関係を否定 在特会元幹部と写真撮影 参院予算委、質疑中のヤジに批判(2014/10/08)

民主「懇ろヤジ」で自民に謝罪 山谷氏に在特会の質問で(10/8)

在特会との親密さ表現」 懇ろやじの野田国義氏が釈明(10/8)

民主野田国義氏、ヤジ問題で山谷えり子氏に直接謝罪(10/10)

ざっと確認した限り、国家公安委員長と排外差別団体との関係に触れた記事は2本。これに対して野次を批判する記事は4本です。

産経新聞の方はもっと露骨です。

産経新聞国家公安委員長と排外差別団体との関係に触れた記事は見つけた限りでは1本のみ。それも記事タイトルからはほとんどそれとわかりません。

産経

女性閣僚、参院予算委答弁で明暗…「子育て」「公選法」「写真撮影」野党“集中砲火”(2014.10.8 09:21)

該当する記述は以下です。

 「在特会在日特権を許さない市民の会)の構成員がヘイトスピーチ(憎悪表現)を行っている。在特会と親しい関係にあると国家公安委員長として職責を全うできない」

 民主党小川敏夫法相は、山谷氏が在特会関係者との写真撮影に応じていたことを問題視。山谷氏は「政治家なのでさまざまな場所でさまざまな方とお会いする。写真を求められれば撮る。在特会のメンバーであるとは全く存じあげなかった」と説明したが、小川氏は納得しなかった。

http://www.sankei.com/politics/news/141008/plt1410080014-n2.html

これに対し、野次を批判する記事は見つけた限りでは以下の17本。

官房長官激怒! 山谷氏への「懇ろだった」やじに 2014.10.7 17:18

「聞くに堪えない侮辱的で下品なやじ」と安倍首相 2014.10.7 19:17

山谷公安委員長に「懇ろの関係じゃねえか」 民主議員セクハラやじ 差別追及の矢先… 2014.10.8 00:47

山谷氏への「懇ろ」やじ、民主が謝罪…発言者は明かさず 2014.10.8 11:27

「名乗り出ろ!」山谷氏への「懇ろ」やじ問題で自民・高村氏 2014.10.8 11:29

山谷氏に「懇ろ」やじ問題】「セクハラ発言の最たるものだ」菅官房長官民主党を批判 2014.10.8 11:57

山谷氏への「懇ろ」やじ】やじは民主野田国義氏、発言認め釈明 2014.10.8 14:14

山谷氏への「懇ろ」やじ】民主枝野幹事長報道による間接報告のみ」 2014.10.8 15:17

山谷氏への「懇ろ」やじ】民主・野田議員釈明詳報「九州ではよく使う」 2014.10.8 16:56

山谷氏への「懇ろ」やじ】菅官房長官「野田氏は謝罪を」 2014.10.8 17:00

山谷氏への「懇ろ」やじ】民主・野田氏「セクハラ」否定 執行部逃げに終始 自民も徹底追及せず 2014.10.8 20:06

山谷氏への「懇ろ」やじ】「懇ろ」やじに逃げの一手 問われる民主党品格 2014.10.9 07:30

山谷氏への「懇ろ」やじ】釈明「『懇ろ』はよく使う言葉」に「ちょっと待て」と麻生副総理 2014.10.9 13:06

山谷氏への「懇ろ」やじ】「許せないセクハラやじだ」 自民・稲田政調会長発言民主・野田氏を批判 2014.10.9 17:07

山谷氏への「懇ろ」やじ】山谷氏「国会は品位のある場。非常に残念」 2014.10.10 12:15

山谷氏への「懇ろ」やじ】「セクハラの要素あり」 みんな浅尾代表 民主に適切対処要求 2014.10.10 16:04

山谷氏への「懇ろ」やじ】「誤解招いた」 民主・野田参院議員が謝罪 2014.10.10 19:33

わずか4日間に17本もの記事をあげています。産経新聞にとって、国家公安委員長と排外差別団体の癒着よりも野次の方が重大事であることがわかります。もちろん、朝日新聞にしても、国家公安委員長と排外差別団体の関連記事2本*2に対して、野次批判記事は4本ですから、やはり野次の方が重要なのでしょう。

日本社会にとって、国家公安委員長と排外差別団体の関連などは旬の過ぎた終わった話題、ということなのでしょう。あるいは日本社会がセクハラにとても敏感な、意識の高い国ということかも知れません。

しかし、後者だとすれば、産経新聞による韓国大統領を侮辱する記事セクハラだと非難されてるのをあまり見かけないのが不思議です。権力者に対するセクハラであっても許されるべきではないという意見もありますが、それは日本人に限定されているのか、あるいは韓国人だけは除外されるのか、よくわかりません。

ちなみに産経新聞山谷国家公安委員長に対する野次があった当日の10月7日、おそらく野次の直前に書かれたと思われる記事で、次のようなことを書いています。

 多様な生き方を希求し、また、認められるべきなのは論をまたない。とはいえ、おせっかいな近所の人や親族に、「そろそろ結婚したら」と言われて、それを十把一絡げに「セクハラだ」としてしまうことには違和感がつきまとう。

(略)

 やじが減り、静かになった都議会本会議場は、どこか議論が低調になった印象を受ける。いい質問や不十分や答弁に対して「議会の華」だったやじが、「言わぬが花」になったから、そう感じてしまうのは、気のせいだろうか。

http://www.sankei.com/politics/news/141007/plt1410070002-n4.html

産経新聞は、10月7日昼頃に突如として、セクハラに対する意識が高くなったようです。

そして10月11日、産経新聞は、国家公安委員長と排外差別団体の関連をつく野党の攻撃に対して「うまく防御している」と評するかのような記事を出しています。

 ▼国会論戦で、野党は5人の女性閣僚に攻撃の的を絞っている。大半はうまく防御しているが、朝日新聞出身である松島みどり法相の旗色が悪い。どう見てもうちわにしかみえないものを「討議資料」と言い張ったり、東京都内に住みながら特例で認められた赤坂の議員宿舎に帰らなかったり…。

http://www.sankei.com/column/news/141011/clm1410110004-n1.html

実際、国家公安委員長と排外差別団体の関連については上手く防御されていると私も思います。