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誰かの妄想・はてな版

2015-04-12

日本軍による華北での虐殺事件一覧

事件発生日  省  事件名          被害規模
1937年 8月27日察哈爾万全虐殺事件       虐殺被害者数: 300人超
1937年 9月 9日山西 陽高虐殺事件       虐殺被害者数:1000人超
1937年 9月12日山西 天鎮城“八八”虐殺事件  虐殺被害者数:2200人余
1937年 9月  山西 霊丘虐殺事件       虐殺被害者数:1200人余
1937年 9月15日河北 保定虐殺事件       虐殺被害者数:2000人
1937年 9月15日河北 固安虐殺事件       虐殺被害者数:1500人超、負傷者数:200人余
1937年 9月24日河北 保定虐殺事件       虐殺被害者数: 500人
1937年 9月28日山西 朔県城虐殺事件      虐殺被害者数:4000人
1937年10月 2日山西 寧武城大虐殺事件     虐殺被害者数:4800人
1937年10月 8日山西 崞県城虐殺事件      虐殺被害者数:2000人
1937年10月12日河北 藁城県梅花鎮虐殺事件   虐殺被害者数: 700人余
1937年10月12日河北 寧武城大虐殺事件     虐殺被害者数:1547人
1937年10月13日山西 忻口南懐化村虐殺事件   虐殺被害者数: 700人余
1937年10月24日河北 成安大虐殺事件      虐殺被害者数:5300人余
1937年11月13日山東 丘県虐殺事件       虐殺被害者数: 808人
1937年11月13日山東 済陽城虐殺事件      虐殺被害者数:2000人余
1938年 3月17日山東 騰県虐殺事件       虐殺被害者数:2259人
1938年 4月14日山西 陽城虐殺事件       虐殺被害者数: 700人余
1938年 4月17日山東 臨沂大虐殺事件      虐殺被害者数:2840人余
1938年11月 3日山西 五台虐殺事件       虐殺被害者数: 400人余
1939年 1月16日山東 掖県城虐殺事件      虐殺被害者数: 440人余
1939年 7月-9月山西 武郷虐殺事件       虐殺被害者数:1500人
1939年10月31日河北 望都県薛庄虐殺事件    虐殺被害者数: 299人
1940年 4月13日河北 易県常峪沟大虐殺事件   虐殺被害者数: 800人余
1940年 5月  山東 泰安県紅山毒ガス虐殺事件 虐殺被害者数: 300人超
1940年 9月 8日山西 寿陽県韓贈村大虐殺事件  虐殺被害者数: 364人
1940年11月18日山西 昔陽県西峪村虐殺事件   虐殺被害者数: 386人
1941年 1月25日河北 車潤県潘家峪大虐殺事件  虐殺被害者数:1230人
1941年 2月 4日熱河 寛城碾子峪虐殺事件    虐殺被害者数: 187人
1941年 2月11日熱河 寛城大屯村虐殺事件    虐殺被害者数: 187人
1941年 2月17日山西 応県下社虐殺事件     虐殺被害者数:1700人余
1941年 3月12日山西 绛県里冊峪虐殺事件    虐殺被害者数: 500人余
1941年 4月29日河北 故城県“四・二九”霍庄虐殺事件   虐殺被害者数:500人
1941年 9月12日河北 平山県“馿山”虐殺事件  虐殺被害者数:700人超
1941年12月  山東 臨沂留田虐殺事件     虐殺被害者数:3000人超
1942年 1月  河北 興隆県大虐殺事件     虐殺被害者数: 400人超
1942年 4月16日河北 遵化県魯家峪虐殺事件   虐殺被害者数:500人超
1942年 5月27日河北 定県北坦毒殺虐殺事件   虐殺被害者数:800人超
1942年11月23日山西 浮山県馬石山虐殺事件   虐殺被害者数:503人
1942年12月 5日河北 濼県潘家戴庄虐殺事件   虐殺被害者数:1280人
1942年12月 6日山東 荣成県糙山虐殺事件    虐殺被害者数:300人余
1943年 2月10日河北 興隆虐殺事件      虐殺被害者数:400人超
1943年 5月14日河北 易県狼牙山虐殺事件    虐殺被害者数:300人余
1943年 9月20日河北 平山県焦家庄虐殺事件   虐殺被害者数:400人超
1943年11月14日河北 井陘県老虎洞黒水坪虐殺事件虐殺被害者数:1000人超
1943年12月  察哈爾張北県狼窩沟虐殺事件   虐殺被害者数:3000人
1944年 1月23日河北 興隆虐殺事件      虐殺被害者数:500人超
1945年 3月31日山東 荏平県張家楼虐殺事件   虐殺被害者数:330人、負傷271人
1945年 5月  山東 泊里虐殺事件       虐殺被害者数: 120人余

(「中国抗日戦争史地図集」P171-172)

2015-04-10

塩田兵団が慰安婦連行を要請した文書は割と知られている文書

この件*1

慰安婦の連行に協力を」 日本軍発行の証明書を発見

中央日報日本語版 4月9日(木)8時29分配信

旧日本軍慰安婦を連行したと明示した過去の日本の記録が発見された。安倍首相慰安婦の強制動員を否認し、日本政府が中学校の教科書から慰安婦連行の絵を削除するよう指示した中で出てきた文書だ。

金文吉(キム・ムンギル)韓日文化研究所長(70)は8日、「従軍慰安婦関係資料集成」と題した報告書の写本を公開した。日本の財団法人女性のためのアジア平和国民基金」(以下、国民基金)が1997年に出版し、日本のある市立図書館が所蔵している報告書だ。

600ページ分量の報告書の152ページには、中国と戦争をした日本軍塩田塩田兵団の林義秀部隊長が1940年6月27日、部隊傘下の慰安婦所の管理者に発行した証明書が出てくる。国民基金が報告書で「外務省警察庁で確認した」とする証明書だ。証明書は「この人は当部隊付属の慰安婦所の経営者であり、今回慰安婦を連行して帰ってくる。慰安婦は当部隊に慰安をするために必要であるため、渡航に便宜を図り、問題がないようにするべき」という内容だ。

金所長は「『連行』という言葉を日本軍が直接使ったという点で、慰安婦強制動員を否定する日本政府の主張に反論できる資料」と述べた。証明書には慰安婦国籍が出ていない。金所長は「海を渡り中国に行くという内容からみて、韓国人である可能性が高い」と分析した。

その間、日本は93年の河野談話をはじめ、いくつかの裁判判決文で慰安婦動員の強制性を認めたが、日本軍が直接作成した文書で慰安婦を連行した事実が明らかになったのは初めて。

慰安婦を正しく知る教材を制作=女性家族部は8日、小中高校生と教師のための「日本軍慰安婦を正しく知る」教育教材を今月中旬に配布する計画だと発表した。生徒を対象にした慰安婦関連の初めての教育資料だ。女家部は昨年11月、教材の制作に着手した。教師からなる「韓日歴史交流会」の会員10人と教育部傘下の東北アジア歴史財団所属研究員5人が、生徒用の自習書(40ページ分量)や動画(35−45分)など5種類を準備した。教材は慰安婦被害者サイト(www.hermuseum.go.kr)と北東アジア歴史ネット(contents.nahf.or.kr)でダウンロードできるようにする。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150409-00000002-cnippou-kr

当該文書は、記事にもあるように1997年アジア女性基金から出版された資料集に含まれている史料で、WEB上でも公開されています。こういうのが新発見として扱われるのは、日韓研究者同士で情報交換が緊密にはできていない状況を感じさせますが、まあそんなもんでしょう。

困ったことに日本側でも、画像ファイルになっている史料をテキスト化してWEB上に公開するような手間のかかることをやる人はあまりいませんし、ましてその内容をちゃんと理解し、英語や中国語韓国語にするなどはほとんど見かけません。

そもそも研究者の絶対数も少ない場合、アクセスできる資料があってもその内容をちゃんと把握して他の史料との関連を検討して整理するというのは相当困難でしょう。国立公文書館アジア歴史資料センターでは結構な量の資料が公開されていますが、その中から必要な情報とちゃんと見出し他の資料、既存研究と関連付けを行うのは少数の専門家だけでは限界があると思います。

私自身、アジア歴史資料センターで「営外施設規定」を見つけてテキスト化して2013年に公表しましたが、知られていない資料だとは認識していませんでしたし、こういうのもさほど珍しくもないのかもしれません。

ちなみに、この史料アジア女性基金のサイトで公開されており、いくつかのサイトでもテキスト化されています。

証明

■■■■

当年二十二歳

右ハ当隊附属慰安所経営者ニシテ 今回 慰安婦連行ノタメ帰台セシモノナリ

就テハ 慰安婦ハ当隊ノタメ是非必要ナルモノニ付 之カ渡航ニ関シテ何分ノ便宜附与方取計相成度

証明

昭和十五年六月二十七日

南支派遣塩田兵団林部隊長 林義秀

吉見義明従軍慰安婦資料集」133頁)

http://ameblo.jp/qtaro9blog/entry-11779758678.html

内容は、当時中国に駐留していた台湾混成旅団(塩田兵団)(旅団長・塩田定七少将)に所属する台湾歩兵第1連隊(林部隊)(連隊長・林義秀)に所属する慰安所経営者慰安婦連行のために台湾に向かわせたことを示しています。当時、日本の植民地であった台湾中国を行き来するにあたっては旅券は不要でしたが、官公署の発行する証明書が必要でした*2。この事例では、台湾歩兵第1連隊が証明書を発行したということになります。

面白いのは記載内容です。内地の警察などで発行した証明書であれば、ここまで露骨な記載はしなかったと思いますが、戦地の軍人の思考回路は少しおかしかったのか、「慰安婦ハ当隊ノタメ是非必要ナルモノニ付」などと、軍の命令で慰安所経営者派遣したことを明示しています。

こんな状況でありながら日本政府は1992年まで軍関与を否定していたわけですから大した嘘つきだなと思わされますが、この史料自体は、慰安婦集めが軍の要請によるものであったことの証明です。当時の世相から、募集にあたって当然に人身売買や威圧、就業詐欺がまかり通っていたことが予想できたはずで、その意味では軍の責任は回避できません。

そうは言っても、安倍晋三信者によく見られる二次強姦魔は、強制連行の証拠ではない、と言い張ってますけどね。

「連行」という文言そのものは、必ずしも直接的な強制性を含意しませんから、そういう言葉遊び的な解釈が否認論者によってもてあそばれるわけです。

今回報道されたことの意味

金文吉韓日文化研究所長の意図したことではないでしょうが、日本では既知の史料について「連行」という語に注目して報道されたのは、直近にこんな報告書が出されていたことを踏まえると味わい深いところではあります。

2014年12月22日付けの朝日新聞第三者委員会による報告書です。なお、この報告書は、安倍談話のための有識者(笑)に名を連ねている北岡伸一氏らによるものです。この報告書には、植村氏による1991年8月11日記事*3を批判する次のような記述があります。

 しかし、植村は、記事で取り上げる女性は「だまされた」事例であることをテープ聴取により明確に理解していたにもかかわらず、同記事の前文に、「『女子挺(てい)身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』のうち、一人がソウル市内に生存していることがわかり」と記載したことは、事実は本人が女子挺身隊の名で連行されたのではないのに、「女子挺身隊」と「連行」という言葉の持つ一般的なイメージから、強制的に連行されたという印象を与えるもので、安易かつ不用意な記載であり、読者の誤解を招くものと言わざるを得ない。この点、当該記事の本文には、「十七歳の時、だまされて慰安婦にされた」との記載があり、植村も、あくまでもだまされた事案との認識であり、単に戦場に連れて行かれたという意味で「連行」という言葉を用いたに過ぎず、強制連行されたと伝えるつもりはなかった旨説明している。

 しかし、前文は一読して記事の全体像を読者に強く印象づけるものであること、「だまされた」と記載してあるとはいえ、「女子挺身隊」の名で「連行」という強い表現を用いているため強制的な事案であるとのイメージを与えることからすると、安易かつ不用意な記載である。そもそも「だまされた」ことと「連行」とは、社会通念あるいは日常の用語法からすれば両立しない。

http://www.asahi.com/shimbun/3rd/2014122201.pdf

「連行」という言葉の持つ一般的なイメージは「強制的に連行されたという印象を与えるもの」で、「「だまされた」ことと「連行」とは、社会通念あるいは日常の用語法からすれば両立しない」とはっきり言っていますね。

北岡氏らだけではなく、読売新聞も「連行」と言えば「強制連行」だと主張しています*4

北岡氏のような歴史修正主義者や読売新聞のような安倍に阿るプロパガンダ紙は、「連行」と言えば「強制連行」だといって植村氏を誹謗中傷したわけですが、その等式を採用するなら、塩田兵団林義秀発行の証明書に記載された「慰安婦連行ノタメ帰台」とは、まさに慰安婦を「強制連行」するための命令書に他ならなくなりますね。

植村氏による「連行」表現を非難していた人たちは、1940年当時公文書に使われていた「連行」表現について己の見解を弁明すべきでしょうね。匿名ブロガーにも結構見かけましたけどね、そういう人。

こういった意味で、金文吉韓日文化研究所長の「連行」記載発見の報道は興味深いものではありました。

どうせ、否認論者は都合の悪いことは見てみぬ振りでしょうけどね。

2015-04-04

おそらく安倍政権による根回し

安倍政権プロパガンダ機関産経新聞に所属する在米工作員・古森氏による勝利宣言記事。

韓国軍慰安所」 山口レポートが米に広げた波紋

週刊文春 4月2日(木)18時1分配信

?TBSワシントン支局長・山口敬之氏による本誌前号の調査報道韓国軍ベトナム人慰安婦がいた!」が、ワシントンのアメリカ政府当局者やアジア専門家たちの間で波紋を広げている。

?3月26日の国務省記者会見で「米国立公文書館の文書がベトナム駐留の韓国軍が売春宿を運営していたことを証したという日本からの報道を知っているか」という質問が出た。ラトケ報道官は「知っている」と答えた。「この事例は人身売買だが、調査する意図はないか」「この問題で韓国政府と協議するか」などという関連質問も出た。報道官は確かな答えは与えなかったが、「韓国軍慰安婦問題」が米側の国政の場で知られる結果となったのは確かだ。

?さらに、本誌報道は同26日、ワシントンアジア関連ニュースレターの「ネルソン・リポート」でもほぼ全文の英訳が掲載された。同リポートは民主党リベラル派の活動家、クリス・ネルソン氏がアジアのニュースや評論を流すネット・サービスで、米側のアジア問題関係者らが購読し、投稿する。歴史問題では中韓両国の主張を優先して、日本を糾弾することが多い。

?そんな「ネルソン・リポート」が山口氏の調査報道を全文掲載したのは、その重みゆえだろう。ネルソン氏はこの報道が事実ならば「韓国側の偽善や二重基準が証される」と述べたが、同時に「この報道日韓の歴史戦争はより醜くなる」とも記している。

?これに対して翌27日、慰安婦問題での長年の日本叩きで知られるコネチカット大学のアレクシス・ダデン教授が同リポートに「韓国も同じことをしていたという主張は日本の悪事を帳消しにはしない」という意見を寄せてきた。同教授は同リポートが本誌報道を紹介することがそもそもおかしいとも示唆していた。

?ダデン女史は安倍首相を「悪漢」とののしり、菅官房長官の言辞を「ペテン」と呼ぶほどの反日だ。今年1月には米紙ニューヨーク・タイムズ」に「尖閣諸島竹島北方領土も国際的には日本の領土ではなく、安倍政権がその領有権を主張するのは危険な膨張主義」とまで書いている。そんな人物をたじたじとさせただけでも山口氏の調査報道の意義は大きいといえよう。

週刊文春2015年4月9日号『THIS WEEK 国際』より>

古森 義久(在米ジャーナリスト

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150402-00004979-sbunshun-int

さて、ベトナム戦争中に韓国軍ベトナムで売春宿を管理していたとされる記事が週刊文春に載ったのは2015年3月26日発売の「4月2日号」です。その同日にネルソン・レポートに英訳記事が載ったわけですから、山口敬之氏が元々ネルソン・レポートへの掲載を志向していたのか、少なくとも文春掲載と同時に掲載されるように準備していたのは間違いありません。

まあ、ネルソン・レポートでの掲載記事を確認できないのですが、時系列的に古森氏の「本誌報道は同26日、ワシントンアジア関連ニュースレターの「ネルソン・リポート」でもほぼ全文の英訳が掲載された」という記載が正しいのかには疑問が残ります。少なくとも同日付であることを考慮すれば、「本誌報道」の「ほぼ全文の英訳」ではないでしょうね。

そして「3月26日の国務省記者会見で「米国立公文書館の文書がベトナム駐留の韓国軍が売春宿を運営していたことを証したという日本からの報道を知っているか」という質問が出た」というのも同じ3月26日です。

しかし、これはさすがにおかしいでしょう。3月26日に発売された週刊文春の記事を3月26日中に米国務省報道官が知っているとは思えません。実際国務省記者会見では「a few questions about this report out of Japan which is based on U.S. archival documents」と言っていて「日本からの報道」とは言っていません。ここで質問された「this report」とは「ネルソン・リポート」のことでしょう。

というわけで、実際に「ネルソン・リポート」にはどのように記載されているのかを知りたいところですね。

ちなみに、3月26日の記者会見での言及ですが、古森氏が書いているような「ワシントンのアメリカ政府当局者やアジア専門家たちの間で波紋を広げている」と言った流れではありません。

結構無理やりねじ込んだ質問で、それも質問している当人が「I’ve been asked to ask a few questions about this report 」と他人から頼まれて質問していると言及する有様で、報道官から「I think it would not be this building that’s in a position to speak to those documents.」と返される始末でした。

それが工作員・古森氏の手にかかるとこう改ざんされてしまうわけですね。

「この事例は人身売買だが、調査する意図はないか」「この問題で韓国政府と協議するか」などという関連質問も出た。報道官は確かな答えは与えなかったが、「韓国軍慰安婦問題」が米側の国政の場で知られる結果となったのは確かだ。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150402-00004979-sbunshun-int

記者会見に参加する記者に頼んで無理やり話題をねじ込み、それが全く相手にされなくても「米側の国政の場で知られる結果となったのは確かだ」とか書かれるわけですからね。

ところで文春記事を見る限り、明確に人身売買と言えるのは「貧困のために家族に売られてきた少女」という件しかありません。「この事例は人身売買だが、調査する意図はないか」という古森記事の表現も実際には「In terms of the issue that the report talks about, do you see it as an instance of human trafficking? Do you see a need to investigate it at all?」という疑問文で、「この事例は人身売買だが」などという断言調ではありません。質問に対する報道官の回答は、こんな適当な内容です。

MR. RATHKE: Well, we’re aware of the article. We don’t have any specific comment on the article. I think our policy on the trafficking of women for sexual purposes remains well-known, and so I don’t have anything to add to that.

http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2015/03/239810.htm

3月26日発売の週刊文春の記事が、英訳され3月26日にネルソン・レポートに掲載され、米国務省報道官が3月26日の記者会見で記事に関する質問を受ける、という状況

普通に考えれば、時系列的にありえませんね。

事前に根回しがあって、山口敬之氏の記事が、文春とネルソン・レポートに同時掲載されるように調整され、同日に米国務省記者会見で質問される調整した以外にありえないでしょう。産経新聞や古森氏単独で、こういった周到な根回しができるわけもなく、日本の在外公館が関与してるんだろうな、と当然予測できるところです。ODA予算を流用して慰安婦問題否認する歴史修正主義訴訟での弁護士費用を工面したり、慰安婦碑を設置した自治体大使自民党議員を送り込んで撤去するよう圧力をかけたり、とまあこんなことばかりやっていますから、今回の件も裏で官邸が動いていると考えるのは既に陰謀論とは言えなくなってきてしまいました。

ホント、この国の政府は国民として恥でしかありませんね。

2015-04-03

安倍政権が慰安婦問題を人身売買と認めたことを米国が歓迎するのは当然の話。

この件。

安倍首相「人身売買」発言を歓迎=米国務省

時事通信 4月2日(木)9時54分配信

 【ワシントン時事】米国務省の広報担当者は1日、安倍晋三首相米紙ワシントン・ポストのインタビューでいわゆる従軍慰安婦問題に関し「人身売買の犠牲」と発言したことについて、歓迎する立場を明らかにした。

 同担当者は「われわれは首相2015年に入ってから歴史問題と戦後日本の平和貢献に関して前向きなメッセージを出していることを歓迎してきた。ワシントン・ポスト紙とのインタビュー(での発言)も同じ観点で見ている」と説明した。

 韓国政府当局者は首相の「人身売買」発言について、政府の責任を否定する狙いがある可能性もあるなどとして、懐疑的な見方を示している。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150402-00000033-jij-n_ame

もともとアメリカ等の諸外国は、下院決議121号を見てもわかるとおり、慰安婦制度を人身売買の問題だと指摘してきましたから、安倍首相慰安婦問題を人身売買と認めたのなら、それを欧米メディアが歓迎するのは当然です。

一方で、韓国メディア懐疑的なのも当然な話で、ハンギョレ記事などはその理由を非常にわかりやすく書いています。

 読売新聞は「人身売買という日本語は両親や民間業者による売買を連想させる単語」である一方、「英語のヒューマントラフィキングは強制連行も含む用語であり、軍隊慰安婦問題に対する米国務省の公式見解で使われている」と指摘した。さらに「首相はこうしたニュアンスの差を念頭に置き、米国政府と同じ用語になる“人身売買”という言葉を使ったという」と伝えた。 安倍首相日本政府の強制動員の責任を希薄にさせる日本語を使いながら、英語では本音を隠せるよう意図的に単語を選択したとの分析だ。

 安倍首相が人身売買の主体について全く言及しなかった点も、同じ脈絡から議論を呼んでいる。慰安婦問題に対する日本政府の責任を否定してきた既存の立場を巧妙に強調したとみられるためだ。韓国外交部は28日、「(安倍総理の言及が)慰安婦問題の責任を民間業者に転嫁し、日本政府の関与と責任を否定しようとする意図があったとすれば、これは慰安婦問題の本質を隠そうとするものとして被害者の方々や我が政府国際社会から決して受け入れられることはできない」と明らかにした。さらに「日本政府日本軍慰安婦被害者問題の責任を認めることが問題解決の第一歩」と繰り返し強調した。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/20152.html

ところで、韓国側が懐疑的な見方をするのは別に特別なわけではありません。韓国側も観測しているであろう日本のメディア自身が、上手いことしてやったとばかりに、報道してまわっていますからね。“ただの人身売買であって強制連行ではない、故に日本政府に責任はない”と言ったプロパガンダ産経読売と言った安倍政権に買収されているメディアがやっていますし、毎日でもこういった観測を述べています。

安倍首相>「人身売買」発言認める…日米で異なる語感

毎日新聞 3月30日(月)21時31分配信

 「人身売買」との日本語は、民間業者による売買の意味合いが強い。これに対し英語の「トラフィッキング」は強制連行も含む語感がある。旧日本軍などによる強制連行という機微に触れる問題で、国内向けには強制連行を認めず、米国向けにはあいまいにする狙いがあったとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150330-00000098-mai-pol

要するに、語感の違いを利用して対欧米向けと国内向けでダブルミーニングを計った、という日本政府がよく使ってきた手法ですね。

しかし、昔ならともかく容易に海外メディアの論調に触れうる現代において、この手法がどの程度有効かというと、まあ怪しいもんだと思ってます。

慰安婦を支援する団体英語圏で主張する際に、日本政府自身が慰安婦問題を「Sex trafficking」と認めたことをもって日本政府には強制売春の責任があると主張するでしょうし、英語圏の市民もそれを当然と理解するでしょうね。

アメリカ政府は、「Sex trafficking」について以下のように説明しています。

Sex Trafficking

When an adult is coerced, forced, or deceived into prostitution – or maintained in prostitution through coercion – that person is a victim of trafficking. All of those involved in recruiting, transporting, harboring, receiving, or obtaining the person for that purpose have committed a trafficking crime. Sex trafficking can also occur within debt bondage, as women and girls are forced to continue in prostitution through the use of unlawful “debt” purportedly incurred through their transportation, recruitment, or even their crude “sale,” which exploiters insist they must pay off before they can be free.

It is critical to understand that a person’s initial consent to participate in prostitution is not legally determinative; if an individual is thereafter held in service through psychological manipulation or physical force, that person is a trafficking victim and should receive the benefits outlined in the United Nations’ Palermo Protocol and applicable laws.

http://www.state.gov/j/tip/what/

売春を強要された、売春せざるを得ない状況におかれ続けた者は性的人身売買の被害者であり、性的人身売買とは、募集(recruiting)、 輸送(transporting)、国外移送(harboring)、受領(receiving)、獲得(obtaining)を含み、それらは犯罪である。借金で拘束されていることもある、ともありますね。

アメリカ政府はこれを「What is Modern Slavery?」という表題で説明していますから、当然に慰安婦問題を人身売買と認めた安倍政権は、慰安婦が性奴隷であったことを認めたと英語圏では解されているでしょうね。

そして、慰安婦の輸送・管理・受領・強要売春の持続と日本軍が直接的に関与していることは既に明白であり、河野談話日本政府が明確に認めていることでもあります。「「人身売買」との日本語は、民間業者による売買の意味合いが強い」などと国内向けに言い訳したとしても、英語圏では、性的人身売買という犯罪行為に日本政府が関与し、その責任を認めたと解釈されているわけです。

そりゃ、アメリカ政府は歓迎しますよね。

そして韓国などの元慰安婦日本政府に対して謝罪と賠償を求める主張に対しても、どちらかと言えば好意的に対応するでしょうね。

慰安婦像にしても第二次大戦中におきた最大規模の性的人身売買の被害者たちを忘れないための記念碑として何の問題もないものという理解が進むでしょうね。日本の右翼団体が嫌がらせに来ると言う懸念が、自治体慰安婦像に対する消極的態度を惹起させるかもしれませんが、それは日本政府に対して、政府として人身売買の責任を認めたのだから日本国内での否認論者に対して明確に反論しろ、という動きになるでしょうね。

と言うわけで、私としては、安倍首相慰安婦を人身売買被害者だと認めたことについては評価しています。もう少し踏み込むべきだとも思いますけど、まあ安倍首相には無理でしょうからね。

日本メディアには、慰安婦の人身売買において日本軍がその人身売買の目的地であり消費地であったことを問題だと認識できるくらいの人権感覚を期待したいことろですが、上層部が安倍と会食して政府を顔色を伺うような有様では無理でしょうねぇ。

2015-04-02