日本が集団的自衛権行使容認したことを中国以外が歓迎するのは当たり前の話
アメリカが尖閣を日米安保の適用範囲と明言したことに対して日本政府や右派が喜んだのとほぼ同じ論理です。
フィリピンやベトナムなど中国との国境紛争を抱えている国で、日本・アメリカとのつながりが強い国では、有事における日本軍の支援が期待されることになりますから、当然歓迎されます。何より安倍政権は露骨に中国を敵視する政策を続けているわけですから、集団的自衛権行使容認=フィリピンやベトナムの後ろ盾、と理解されているわけです。
中国と直接対峙していない、あるいはそれほど対立が激化していない国にとっても、日本が介入できるようになったことは対中交渉の上でのオプションが増えるわけですから拒否感を示す必要性がありません。
中国とほとんど関係ない国にとっても、世界各地の紛争地へ軍を派遣して出血を強いられてきた国にとっては自国の負担を減らすことが期待できるわけですから歓迎します。
自称「現実主義者」のポジショントーク
the_sun_also_rises 越が米と関係が深い?どこのパラレル世界の話だ?集団的自衛権を歓迎したのは米豪比のみ。越は慎重姿勢を崩していない。産経の情勢認識は完全なポジショントーク。これも逆の立場だが同じ水準のポジショントーク。 2014/08/
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/scopedog/20140805/1407166326
なるほど、the_sun_also_rises氏の主張を信じるなら、以下のNHK報道はデマだと言う事ですね。
ベトナムに巡視船用の船舶6隻を供与
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140801/k10013473671000.html
8月1日 16時16分
(略)
さらに会談では、岸田大臣が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことなど日本の安全保障政策を説明して理解を求めたのに対し、ミン外相は「地域や世界の平和と安定のために、日本が積極的、建設的に貢献することを支持したい」と述べました。
あと、これも産経記事だし、the_sun_also_rises説を信じるならデマということになりますかね。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140801/amr14080111130003-n1.htm米下院が「ベトナムに武器供与を」 中国非難決議案に盛り込む
2014.8.1 11:13
米下院の超党派議員が7月31日、中国の東シナ海上空での防空識別圏設定や、海洋での示威行為を非難する決議案を提出した。ほぼ同様の決議は上院でも採択されているが、南シナ海で中国とベトナムの衝突が相次いだ事態を受け、ベトナムへの武器供与も新たに盛り込んだ。
下院軍事委員会のフォーブス(共和党)、ハナブサ(民主党)両議員が提出した決議案は「アジア太平洋地域の現状を変更し、不安定化させる」行為を非難した上で、中国に防空圏の運用を控え、南シナ海に拡大しないよう求めた。
沖縄県・尖閣諸島は日米安保条約の適用対象と明記、ベトナムについては国内の人権状況も勘案しながら、自衛目的の武器供与に道を開く2国間の枠組みをつくるよう米政府に促している。(共同)
まさか、the_sun_also_rises氏のポジショントークではないでしょうなぁ*1。
*1:本論に反論できず、必死で噛み付く場所を探した感たっぷりですね。
朝日新聞の従軍慰安婦関連記事
朝日新聞が、従軍慰安婦に関して割ときっちりした記事を挙げたのは評価できます。
2014年8月5日分
慰安婦問題の本質 直視を
強制連行 自由を奪われた強制性あった
〈疑問〉政府は、軍隊や警察などに人さらいのように連れていかれて無理やり慰安婦にさせられた、いわゆる「強制連行」を直接裏付ける資料はないと説明しています。強制連行はなかったのですか。
〈疑問〉日本の植民地だった朝鮮で戦争中、慰安婦にするため女性を暴力を使って無理やり連れ出したと著書や集会で証言した男性がいました。朝日新聞は80年代から90年代初めに記事で男性を取り上げましたが、証言は虚偽という指摘があります。
〈疑問〉朝日新聞が1992年1月11日朝刊1面で報じた「慰安所 軍関与示す資料」の記事について、慰安婦問題を政治問題化するために、宮沢喜一首相が訪韓する直前のタイミングを狙った「意図的な報道」などという指摘があります。
〈疑問〉朝鮮半島出身の慰安婦について朝日新聞が1990年代初めに書いた記事の一部に、「女子挺身(ていしん)隊」の名で戦場に動員された、という表現がありました。今では慰安婦と女子挺身隊が別だということは明らかですが、なぜ間違ったのですか。
〈疑問〉元朝日新聞記者の植村隆氏は、元慰安婦の証言を韓国メディアよりも早く報じました。これに対し、元慰安婦の裁判を支援する韓国人の義母との関係を利用して記事を作り、都合の悪い事実を意図的に隠したのではないかとの指摘があります。
はてブにはクズが一杯群がっていますが、それは予想通りなので驚くに値しません。
人権無視を社是とする産経新聞や捏造しての中傷行為を得意とする池田信夫氏が、自身に都合よく解釈した誹謗を継続するのも、夏は暑く冬は寒いのと同様に自明のことです。
朝日記事は内容的にはまずまともで、全国紙で慰安婦問題についてここまできっちり書いたことは評価に値すると思います。1年前にこれくらいの内容で報道していれば良かったのですがね*1。もっともかなり取材しているようですから、それなりに時間がかかっているのでしょうし、河野談話(8月4日)の翌日・翌々日という時期を狙ったのかも知れませんけど(でも狙うなら8月4日にするよなぁ)。
ところでこの一連の記事に対するブクマのつき方を見ると笑えます。お前ら「吉田清治」にしか興味ないのか、と言いたくなる状況です。拉致行為さえ外注しておけば監禁・強姦しても責任はない、と考えるのが今の日本人ですから当然かも知れませんけどね。
真偽が確認できないことを「真偽は確認できない」と報じて何か問題がある?
97年3月31日の特集記事のための取材の際、吉田氏は東京社会部記者(57)との面会を拒否。虚偽ではないかという報道があることを電話で問うと「体験をそのまま書いた」と答えた。済州島でも取材し裏付けは得られなかったが、吉田氏の証言が虚偽だという確証がなかったため、「真偽は確認できない」と表記した。その後、朝日新聞は吉田氏を取り上げていない。
http://www.asahi.com/articles/ASG7L71S2G7LUTIL05N.html
慰安婦証言に対しては裏づけが無ければ信用しない連中が、こういう場合になると確証が無くてもデマと決め付け誹謗中傷して構わない、という判断基準はダブルスタンダードとしか言いようがありませんね。「真偽は確認できない」と表記し、その後取り上げなかったのは誠実な対応だと言えますけどね。
自分たちが望む記述以外は全て拒絶って嫌韓バカの感覚は異常です。そんなに完全な“真実”を知っているなら新聞読む必要もないでしょうに。
もっとも我らが首相自体、嫌韓バカと同レベルのクズな発言をしていますからね。
しかし、自民党の安倍晋三総裁が2012年11月の日本記者クラブ主催の党首討論会で「朝日新聞の誤報による吉田清治という詐欺師のような男がつくった本がまるで事実かのように日本中に伝わって問題が大きくなった」と発言。
http://www.asahi.com/articles/ASG7L71S2G7LUTIL05N.html
むしろ「産経新聞のデマによる安倍晋三という詐欺師のような男がつくった閣議決定がまるで事実かのように日本中に伝わって問題が大きくなった」と言うほうが正しい。