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『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』から学んだこと〜イメージ〜リアル〜人間〜

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)


もう2年前の本ですが、珍しく本を読み終わったので思ったことを書きます。

キーワード

  • イメージ信念、真偽、真実、虚構、想像、創造、理想、夢、妄想
  • リアル物理的な事実とその検証、時間、コスト、科学技術
  • 人間社会、個人、心理、肉体、生命維持

イメージとリアル

人間はイメージする事によって一喜一憂するが、それはリアルを検証する事によって逆転する事もある。リアルを検証せずイメージだけで済ませている事柄は普段の生活の中でとても多い。検証するにはコスト面で困難なので、イメージで埋め合わせをしている。分からないんだから分からないままのニュートラルにしておけばいいのに、イメージをして分かった事にするらしい。
そういったありもしないイメージが、リアルとなる事もある。知らないほうが良かったこともあるかもしれないし、知って良かった事があるかもしれない。イメージのリアルを検証した先には、また新しいイメージが生まれる。

未来

近い未来で物理は科学では変えられそうに無いので従うしかないが、未来の社会は変えられる可能性がある。
対物で嘘をつくことはできないが、対人で嘘をつくことはできる。コンピューターは論理が動くが、物理的なハードウェアの上に成り立っている。木は土を侵して生ず。いくら優秀なコンピュータシステムがあっても、メンテナンスするためのドキュメントが無ければ意味が無い。いくら熱い想いがあっても、それを表現する言葉や音楽がなければ意味が無い。社会的信頼のあるもの、大手ニュース番組や有名コメンテーターや学者らが言っていることであっても、本当のこととは限らない。
100km/hのクルマが生身の自分のほうへ向かってきたとして、その未来は物理的に考えて死ぬけど、社会的に考えてだれか突き飛ばして助けてくれるかも知れない。未来がどうなるかなんて分からない。

人間と心理

ひろゆき氏はリアルを検証し過ぎている人間らしい。知りすぎた男。ドラッカー氏は未来を考えてたけど、ひろゆき氏はあんまり未来のことは考えない。
ひろゆき氏は、「べつにニコニコ動画が潰れたって死ぬわけじゃないんだから(笑)」とニコニコ生放送で話していた。いくら貧しい人間だって日本で餓死する人間は居ないじゃない。と。人体的には確かにその通りだけど。でもそれは間違いだと思う。例えばX-JAPANのhideが死んで、後追い自殺がおきたりする。リアルを以って由とする人間も居れば、イメージを以って由とする人間も居る。それでも僕はやってない。その辺が、ひろゆき氏が人間をあまり見てないなあというか、分かってるけど優先度は低いのかなとか感じるところでもある。

社会

2ちゃんねるはどれだけの社会的影響力を持っているのだろうか。その社会的影響力を持っているテレビというメディアにも取り上げられている。もし大きな社会的影響力を持っているとすると、それがなくなった場合、政府として見過ごすことはできないのではないか?というのがひろゆき氏の考えである。それは、ニコニコ動画がなくなったら悲しむ人間がたくさんいて困ったことになるかも知れないとか、NECが潰れたら職を失う人間がどれだけの数に上るのかとか、そういうのと同じ話である。
三菱鉛筆が潰れそうになった時、ぜんぜん関係ないのに三菱財閥に「同じ名前である"三菱"が潰れたなんて報道されたらイメージダウンですよ!」と持ちかけて資金援助をしてもらったりする。

技術

それほど難しいことは言っていない。当たり前の事を言っている。でも、イメージに偏重がちな多くの人間とは違い、リアルに偏重している。それがひろゆきクオリティ。
だってコストをかけてリアルを検証するより、イメージのほうがコストが安い。タモリは妄想が趣味だと言っていて、お金がかからない事をメリットだと言った。でも、リアルを検証するコストがインターネットや科学技術によって下がっているのかも知れない。一部の人間だけが可能だったリアルの検証が、より多くの人間に可能となって来ているのかも知れない。
2ちゃんねるから有用な情報だけを抽出するのは難しいけど、タクシーに備えるドライブレコーダーなんかは、まさに科学技術による事実検証の低コスト化に成功していると思う。また、世界中の言語で書かれている、誰でも閲覧可能なwikipediaの公式な方針のひとつには「検証可能性」というものがある事も。


そんなことを感じさせられました。