「喋々喃々」 小川糸

([お]5-2)喋々喃々 (ポプラ文庫)

([お]5-2)喋々喃々 (ポプラ文庫)


2連続で小川糸さん。
今日は片道2時間近い遠出をして、読み切りました。


東京・谷中でアンティークきもの店「ひめまつ屋」を営む栞。
きものを求めるお客ばかりでなく、ご近所さんもふらりと訪れる。
小さなこの店に、父とそっくりの声をした男性客がやってくる。
その人は、栞の心のなかで次第に存在感を増していき――。



谷根千て、一回ちゃんとブラブラしたいところ場所。
(ちゃんとブラブラって変な言葉だ。)
その谷中でアンティークきもの店さんとくればときめく。
谷根千界隈・上野や湯島、浅草など出てきて、
小川さんのお得意の丁寧な料理描写がてんこ盛りで。
このお店も、あのお店も行ってみたいなーと思わせてくれるのだけど。



不倫の恋が絡まっちゃって、作品の世界観が分からなくなる。


不倫だけど切なくて愛おしくてたまらないのよって言われちゃうと。
そもそも、主人公自身が母親の浮気で家庭を壊されているのに。
あれはDNAがそうさせているのだとでも言いたいのだろうか。


相手の春一郎さんも相当なズル男だよなー、ラストのあれはどっちだ。
だけど、丁寧にそして汚い部分はうまく隠してあるので、
うっかり、出会えるだけで幸せなのかもーとか言ってしまいそう(笑)
そして、主人公の名前がカブっているというのもダメですね〜。
相手まで漢字3文字、○○郎だったし、ズルいやつだったなーという、
超個人的な理由でムカついて、間違った読み方をしたかもしれない。


春一郎さんはちょっと枯れた独身のおじさんじゃだめなのか(笑)
(イメージは西炯子の「娚の一生」の海江田教授的なさ)
私はそれでいいと思うのだけど…、スリルが足らないの???
そっちの方が、穏やかで幸せじゃない。
不幸な生い立ち・不幸な恋の結末じゃなくてもいいじゃないのさ。


あと、もっと古着物に関する著述がほしかった。
多少はあったけど、そこに込められた思いとかそういうもの。
そうしたら、素敵な着物&谷根千ガイド本となるのにな。


古着物にまつわる、人情話と美味しい食事の話で誰か書いてくれないかなー(笑)
(イメージは東京バンドワゴンの着物版・もしくはビブリア古書堂の着物版)