下手な司会

ここ10日間くらいは、昨日の学部の学会の準備に追われていた。と、言うかその事の準備に時間的に追われていたと言うよりも、頭がその事から離れなかったというべきか。どこの大学でもそうだという訳ではないだろうが、内の大学は学部毎に小さな学会があって、人文学部は人文学会。昨年はシンポジウムの講師を務めたが、今年は司会を仰せつかった。
 研究発表の司会はそれなりに経験があるけれど、シンポジウムの司会はまだ4回目。実は軽く考えていたわけではないけれど、文学のシンポとは違い、中国文学・メディア論・フランス史・人類学の4研究者が、学部の新カリキュラムのために前学部長が執筆した『人文学概論』の合評シンポだったので、かなり準備が必要でした。それで、発表要旨よりも踏み込んだ概要、もしくは原稿を予め頂いておいて、紹介と進行のために読んでおいた。
 そして当日。参加者は多いとは言えないけれど、内容は充実していました。それぞれが、人文学と切り結ぶ視点で、明快に深く語ってくれました。僕は発声や、発話時の態度などにも関心がありますが、皆立派でした。聞きやすく、その内容や分野について熟知していて、余裕があり、どんな質問が来ても回答も濃い。人文学の歴史・定義、テクストの解釈、テクストを表現するメディアの変遷、西欧と東洋の支配・交流、文化の翻訳・横断・越境などなど。
 僕は司会と進行の原稿を用意したのですが、余裕がありませんでした。それでも終わってほっとして、懇親会へ。