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越境と郷愁

2018-02-10

My Back Pages 解釈(のようなもの)

08:03

Crimson flames tied through my ears, rollin' high and mighty traps

Pounced with fire on flaming roads using ideas as my maps

"We'll meet on edges, soon, " said I, proud 'neath heated brow

Ah, but I was so much older then, I'm younger than that now

冒頭の“Crimson flames tied through my ears”が難しい。結局「耳の間につなげられた」というのは、「頭の中」の事をレトリカルに表現していて、そのまま訳すと「耳の間につなげられた深紅の炎」となって分かりずらい。「僕の頭の中にある怒り狂った激情」が主語となって、”rollin'” と “using”を分詞構文として、主動詞の” Pounced”につながると考えた。

当時23歳のディランは20歳にしてフォークのプリンスとなり、業界の政治に嫌気もさし、またもうすぐフォーク・ギターをエレキ・ギターに持ち替えてロックのヒーローとなる前段階でもあった。自分のあり方への自己批判も含みつつ、先輩たち・大人たちの歴史や伝統に飲み込まれまいとするディランの心意気が分かるような気がする。そのための議論や論争を自分から仕掛けても行くように見えます。

Half-wracked prejudice leaped forth, "rip down all hate, " I screamed

Lies that life is black and white spoke from my skull, I dreamed

Romantic facts of musketeers foundationed deep, somehow

Ah, but I was so much older then, I'm younger than that now

 

1連目でキー・トーンが分かると、後は比較的分かりやすい。「憎しみを引き裂け」もまた中途半端な正論≒偏見でもある。「私の頭蓋骨が語る」は1連目の「耳の間につなげられた」と同様で、少し分かりやすい比喩。自分の考えと思っている多くの事が人からの受け売りであるという自覚、戒め、抗議として語られる。

Girls' faces formed the forward path from phony jealousy

To memorizing politics of ancient history

Flung down by corpse evangelists, unthought of, though somehow

Ah, but I was so much older then. I'm younger than that now

英語のネットでみると、Free Wheelin’のジャケットに映っていた恋人からジョーン・バエズに至る当時のディランの華やかな女性関係が反映されているとか。女性間の嫉妬は昔からあり、(男性の)福音伝道者たちの屍から発見された同様の嫉妬ややっかみを政争の道具として、歴史を作ってきたと。

A self-ordained professor's tongue too serious to fool

Spouted out that liberty is just equality in school

"Equality, " I spoke the word as if a wedding vow

Ah, but I was so much older then, I'm younger than that now

ここは一番簡単な教授・学校という権威と組織について。「平等」って正論だけど、建前だけでもある。

In a soldier's stance, I aimed my hand at the mongrel dogs who teach

Fearing not that I'd become my enemy in the instant that I preach

My existence led by confusion boats, mutiny from stern to bow

Ah, but I was so much older then, I'm younger than that now

“the mongrel dogs”自は「雑種の犬」≒まがい物、偽者。でも「自分が自分の敵になっても怖がらなくていい」というのは比較的まっとうな教えにも思える。「混乱した小船」は自分の混乱した考えでも、いろんな事をいう仲間や先輩でもいい。それによっておそらくフォークの世界、音楽業界に議論や問題を引き起こしたのでしょう。「自分が正しく、相手が間違っている」というありがちなスタンスにも疑義を呈する。

Yes, my guard stood hard when abstract threats too noble to neglect

Deceived me into thinking I had something to protect

Good and bad, I define these terms quite clear, no doubt, somehow

Ah, but I was so much older then I'm younger than that now

この「抽象的、観念的な理念」はそのまま自由な考えを脅かす「脅威」になり、それが「守るべき何かを持っている」という風に「守り」に入るという間違った方向へと人を導いて行ってしまう。「良いか悪いか」も簡単に決められればそれは楽です。でもそんなに簡単に良しあし、白黒をつけられないのが現実の世界です。

 最後の”old“は年齢的に「年をとっている」というよりも、考え方が「型にはまって、旧態依然としている」という意味で、”young”は「自由で、柔軟な」という事でしょうか。23歳の若者が20歳頃の考え方に疑問を持ち、もっと自由でいたいというマニフェストが”MY Back Pages”だと思いました。それも「表紙」ではなく「裏の頁」にそっと(でもはっきりと)綴るような。

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