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2004-03-31 読んじゃった

さびしんぼ。

本日のメインディッシュ

『ディープラブ ホスト編』を読んでみる ―第一章「絶望」―(文字サイズ「大」推奨)

「あっ、アン……ダメッ」

クチュクチュ。ジュパ。

「もう……あっイヤッ」

チュパッ。


アユ編もセックスシーンから始まるのですが、ホスト編もセックスシーンから始まります。さすが1000万人を泣かしたYoshiさん、ひとつの必勝パターンを繰り返します。




ホスト編でまず登場するのは「業界で」「知らない奴はいない」という「渋谷でも一流のホストクラブ『プラチナ』のオーナー」、拓さんです。拓さんは、タバコをくわえると必ずライターを持つ手が伸びてくるようなステレオタイプなホスト世界の「頂点」に君臨しているお方です。その権力は、「ここでは、拓は王様だ」というYoshiさんの過剰に親切にも思える説明文によってお墨付きです。




物語は拓さんの下にホスト志望の面接希望者が登場するところから始まります。面接では「犬役」(つまりはヨゴレ)として見込まれた「ブサイクなデブ」(酷い言われようです)隆さん(18才)、ジャニーズ系のギャル男である翔さん(17才)に加え、透き通るように綺麗な肌を持ちながら「恐ろしいほど死んでいる」瞳を持つ義之さんが採用されます。名前の付け方がものすごく典型的なところからも、Yoshiさんのセンスが輝いて見えます。この中で「ホスト編」のメインキャラクターになるのは最後に紹介した、いかにも「トラウマ背負ってます」な義之さん。主人公の名前に「Yoshi」をしのばせる辺り、さりげない自己主張を忘れません。村上龍の『限りなく透明に近いブルー』の主人公の名前が「リュウ」だったり、作者の名前を髣髴とさせるような小説はいくつかありますが、これほど露骨に美化されたケースをchikiは未だかつてみたことがありませんでした。




ちなみに「犬」役の隆さんは東京から出てきたばかりで、友達がいないそうです。義之さんに「ダチになってくんねえか?」と迫り、義之さんが黙っていると「じゃあ、ダチってことで、隆って呼んでくれ!俺も義之って呼ぶ。いいよな?」と自己完結します。隆さんに友達がいないのは、東京に出てきたばかりだからではなく、もっと他に原因があるんじゃないかなぁと思いました。




さて、メインキャラの義之さんですが、どうやら「女を知らない」そうです。そんな義之さんに、オーナーである拓さんは自分の客である沙羅さんをあてがいます。沙羅さんは18才でありながら「最も『高い』ホステス」で、「誰もがツバを飲み込む最高の女」だそうです。細部を見る限り、どうも沙羅さんは18才以前からホステスとして働いていた様子。法的には問題アリですが、Yoshiさんの才能は日本の法律には収まりきらないのでしょう。そういえばサブキャラの翔さんの年齢(17才)も普通に違法です。しかし、これこそが取材を元にリアリティを追求した結果なのでしょう。 流石です。




しかし、そんな沙羅さんが誘惑しても、義之さんは無言です。そこで、つぎのような会話が繰り広げられます(原文には義之さんの台詞は全て『』で記されています)。



「マジ?参るなぁ、童貞君か……ほら」

義之の手をとって自分の胸にさわらせた。

『……』

「もんでみて」

言われるまま、義之はぎこちなく手を動かす。

「やる気あんの?」

沙羅がイラツイて言った。

「うれしくないの?こんないい女だけて

『……』



沙羅さんの過剰な自信とはうらはらに反応を示さない義之さん。誘う言葉の2行後には「イラツイて」しまう短気な沙羅さんは、義之さんの「アレを握り」「顔をよせ、口の中に含」みます。すると…



「ング……」

くわえていた沙羅があわてて口から外した。

「苦しい!」

もう口に入りきらないほど、大きくなっていた。

「すごい!こんなでかいの初めてだよ

沙羅の眼が輝いた。



義之さんの巨根が発覚した途端、イラツイていたはずの沙羅さんもおもわず眼を輝かせて喜びます。沙羅さんは早速次の行で「上を脱ぎなよ」と義之さんを急かしだしました。やる気満々です。ところが、服を脱いだ義之さんの胸には「すさまじい傷跡」が。「アユ編」で問題となった、心臓手術の傷跡です。



「何、これ?」

『……手術です』

傷は縦に長く伸びている。白い肌のそこだけが紫色だ。ナイフで切り裂かれたような傷だった。

透き通った顔に似合わない冷めた眼。そしてこの傷跡……沙羅に興味が湧いた

「キスは、したことあるよね?」



傷跡にひく気配もみせない沙羅さんは、むしろこのあと義之さんにどんどん迫っていきます。chikiなら傷についてもう少し触れてしまいそうなものですが、余程巨根が気に入ったのか、ほとんど無視。もはや彼女の頭にはセックスしかないのでしょう、「そこを、舐めて!」「今度は吸って!」「そっと噛んで…」と矢継ぎ早に命令します。最後に沙羅さんが「入れて!」と命令すると、義之さんは動かなくなってしまいます。心配したのか、それともイラツイたのか、沙羅さんが尋ねます。



「どうしたの?」

『……』

そう、その眼はなにかを見つめていた。遠い昔、失ってしまった何かを……。

「イヤなの?」

『……』

「まさか、好きなコの……」

沙羅が言った瞬間! ――何かがキレたように、義之は沙羅の上にのしかかった。

「ああっ!」

義之のモノが、欲しがっている沙羅の穴に一気に入っていった。ズブ……。

「あん!」



突っ込みどころ満載で、どこから料理していいものやら困ります(笑)。




まず、その相変わらず説明的な文章に驚嘆ですが、「モノ」「穴」「ズブ…」等の表現の陳腐な分かりやすさは圧巻。この分かりやすさ、さすが1000万人を泣かせたYoshiさんだけあります。通俗的な言葉ばかりを使うことで一見頭が悪そうに見えますが、その代わり何を言いたいのかは分かりやすいです。童貞の義之さんが、いきなり一発で「穴」に「モノ」を入れることに成功するあたりは感動的です。ミラクル!




加えて沙羅さん、勘が鋭すぎです。もしかしたら『Deep Love アユ編』を愛読した、メタレベルのキャラクターなのかもしれません。




さて、こうして無事「女を知る」ことができた義之さんは、先輩ホストに連れられ、キャッチに出かけます。同僚の隆さん、翔さんが失敗する中、義之さんは眼力を使って一発で成功、才能の差を見せ付けます。さすが主人公、その特別扱いぶりがたまりません。




こうして客引きにも成功した義之さんはホストへの道に「自ら落ちていく」と書かれたところで一章が終わります。この語り手の俗情に則った職業差別ぶりはすさまじいものがありますが、芥川賞を受賞した金原ひとみ『蛇にピアス』だって似たような俗情によって描かれている部分があったように思うので、そういう意味では芥川賞ものだとも言えます(笑)※。





さて、長くなりましたので、続きはまた明日。ちなみに、この小説は章が進むごとにオモシロくなってくるので、期待していてください。







※『蛇にピアス』には次のような一節があり、chikiは思わず失笑。

「アマ(主人公のパートナー)と出会うまではソープで体売るくらいの事はしてやるよ、と思っていた。(中略)今は、臭いオヤジとやるくらいだったら死んでいいかなと思う。一体どっちの方が健康的なんだろう。ソープで働いてでも生きてやるってのと、ソープで働くくらいだったら死んだ方がまし、ってのと。考え方としては後者の方が健康的だけど、本当に死んだら健康もクソもない」

……『蛇にピアス』を賛美するフェミニストも多いが、引用部から全くフェミ的ではないことは言うまでもなく、一体何を考えているものやら。



※「語り手」と「作者」は別だというのは常識ですので、本文中で「語り手」のことを「Yoshiさん」と呼んでいるのは少し問題がありますが、「作者が顔を出しまくる」という批判が妥当性を持つような作品だと思うので、べつにいいかな?と思っています。

今日のネタ

「「モーパサンからダイエット·コークまで」ポストモダンはモダンと同じぐらい古くて新しい問題である」

蓮實重彦氏の論文です。日本の標準フォントじゃないみたいで、多少読みにくいですが、密度はかなり高いです。


「2ちゃんねる 読書会スレッド」

2ちゃんねるの読書会スレ、まとめ。結構役立ちます。さすがマルチチュード(笑)


「ドラゴンボールRPG」

RPGツクールで作った、あの名作のようなゲームです。(・∀・)イイ!!


「万引きするとインターネットで画像が晒される店?」

まじですか(;゜д゜)


「ありえないシチュエーション」

ありえなさすぎます…_| ̄|○


「京都府警巡査、Winnyで個人情報流出まとめサイト」

詳細がまとめられてます。やはり「キンタマ」のせいでしょか?てか、winnyやってたの?


「食べたものを淡々と記録するよ」

とてもおいしそうです。料理の才能がおありなんですね。(゜д゜)ウマー


「女の言う”やさしさ”って何だ?」

殺伐としたスレです…。


「カルロス」

すごすぎて…( ゜Д゜)ポカーン


「インターネット電話のダークサイドを検証」

長所も短所もいっぱいありますから、検討しましょう。それでも導入したいchiki。


「首吊りAAスレッド−反省・鬱な時に−のガイドライン」

死にたい…。


「花粉症に効くメロディ」

「鼻腔の共鳴周波数は個人差もあるが、「男性で400〜500Hz」「女性は500〜600Hz」という実験結果が出ました」…まじですかΣ(゜Д゜;