本日のメインディッシュ

判官贔屓のふりをした反韓ゲームに反感を覚えますた、の巻。
最近ちょっと話題になったFLASHゲームがあります。その名も「逆転極東裁判」。タイトルで大体内容は伝わると思いますが、ちょっとした経緯があってプレイしてみることとなりました。



感想を述べさせていただく前に、プレイしたことがない方、プレイする気がない方のために、まずは以下に簡単に同ゲームの説明をさせていただきますね。




舞台は地球小学校の学級会。そこでは裁判のロールプレイをしているらしく、「運悪く」被告人役になったニホンちゃんという小学生の女子(本名は日ノ本さくら)は、主人公「なるほど君(成歩堂龍一)」に弁護してくれるように泣きながら頼みに来た。実際に訴えられた(ことになっている)のはニホンちゃんのおじいさんで既にお亡くなりになっているニッテイさんで、原告はカンコ君という小学生の男子。ニッテイさんの「やってもいない罪」を、ニホンちゃんに対して理不尽にも「謝罪と賠償」させるいじめっこカンコ君から守る、という設定で物語が進みます。ちなみにカンコ君というのはあだ名で本名はパク・リナムです(「パクリ」って言いたいんでしょうな)。当然、カンコ君の発言の最後には必ず「ニダ」がつきます。「ウリはニッテイの罪を暴くためにここにきたニダ」だそうな。いかにも意地悪で頭も悪そうな発言ですね(シナリオを書いた人が、って意味ですがね)。ちなみに、資料は実際のものを使ってる模様で、「偏向記事」たる朝日新聞とか、慰安婦の嘘証言とか、小林よしのり戦争論」とかでよく見かけるような批判材料がてんこもり。ゲームのルールはいたって簡単。カンコ君による「捏造された嘘」を指摘し、ニホンちゃんの「無罪」を獲得できればクリアです。果たして主人公は、数少ない証拠を元に、見事ニホンちゃんの「無罪」を勝ち取ることができるのか!? 


さて、このゲームを「今日のネタ」で紹介しようと思い、そのことをチャットしていた友人2名に言ってみた所、とても参考になる意見が聞けたので、お二人に許可を得て抜粋して掲載させていただきました。以下をもって、chikiの感想とかえさせていただきたいと思います。ひとつの意見として参照にしてみてくださいね。ちなみに、chikiがプレイすることとなった「ちょっとした経緯」は、以下のチャットに記されておりますです。







chiki:そういえば、「今日のネタ」で紹介しようと思っているんだけど、ちょっとした話題になっているFLASHゲームがあるんです。「逆転極東裁判」っていうんだけど。そのゲームは「慰安婦問題」を大人気ゲーム「逆転裁判」風に作り上げた、割によく出来たゲームなのね。タイトルや、参考にしているサイトや文献に「新しい教科書」系が多いって言えば、大体内容は想像つくと思うんだけど。東浩紀が販売しているDVDの中で小林よしのりを「サブカル化した右翼」って呼んでたけど、こういうものの力が今すんごく強いんだろうなぁってオモタ。製作の段階から気になったりしてたんだけど、完成したのをみて驚いたよ。


shfboo:どんな感じ?



chiki:攻略本代わりになっているこのサイトを観れば、だいたい内容が分かると思います。



pin:ゲームはやってみた? 



chiki:途中までやったんだけど、長そうだったからセーブしてやめた。せっかくだし、今プレイしてみようかな。今までプレイした感じでは、Ⅰ.描写のステレオタイプな差別と、Ⅱ.捏造された嘘を指摘できたら無罪というストーリー、Ⅲ.相手があらかじめ間違っていることが前提で話が進む、というのが気になったかな。ストーリー自体も、「運悪く誰も信じてくれない無実のニホンちゃん=萌え娘を正義感溢れる弁護士が擁護する」という設定で、さしあたり相手(韓国とサヨ)を批判し、それに成功したら自分たちは正当化される、というものになっていた。その描き方が本当にいやらしい(笑)。



shfboo:なるほど。たしかに僕はそれの真偽を判断できるほどの知識はないけれど、この手の騒ぎが嫌なのはその部分じゃないんだよね。結局、事実じゃないのに事実であるかのように騒ぐ奴が最悪といって在日を叩くなら、間違いなくちゃんと検討もせずに在日叩きをしているウヨ厨を同様に徹底的に叩かなきゃいけない。それが論理的に必然なのに、結局は公平な事実の認識を求めるよりも、ウヨ厨的差別を正当化したいだけだから、そっち(事実無根で差別をするウヨ厨)には何もいわないどころか、肯定する。もちろんサヨ厨も批判されなければならないけど、その卑しさ、いやらしさが駄目だと思う。相手をフェアに、ある程度相手の立場を想像して共感しながら、でもこれは、という形で反論すべきだよね。



pin:ほんと、そうだね。都合の悪いことは捏造だと騒ぎ立てなきゃ、自己を正当化できないほうがよっぽど「自虐史観」な気がする。まさに慰安婦が歴史的にずっと沈黙させられていたという経緯を無視している。こういうゲームがあること自体、私は嫌な気持ちになって沈黙を強制されている気分です。ネタとして取り上げるなら、「メインディッシュ」にして、論理的にきっちり批判して欲しいくらい。「今日のネタ」で面白半分にとられるのは避けたい。



chiki:りょーかいしました。ところで、相変わらず朝日新聞は好んでたたかれますね。確かに朝日新聞の社説とかは論理が破綻しているのもわんさかありますが、同様に産経や毎日や日経の社説にも論理的破綻なんてやまほどありますよ。その破綻の仕方にもそれぞれ個性があって面白いのですが、朝日しかたたかれないのは不思議ですねぇ。サヨ厨叩きだけで満足している人には、「他紙にもネタはたくさんありますよ」と言いたい(笑)。それから、もちろんchikiも歴史的事実云々さっぱり詳しくありません。ただ、分からないがしかしこの語り方には違和感がある。ところで、「慰安婦問題」を糾弾するサイト・人の多くが、同時に「反ジェンダーフリー」を掲げているのはなぜなのだろう。



pin:ジェンダーの公私分離なくして、ナショナリズムはないからでは? 生産と再生産の循環システムが戦争の基盤だから。男は兵士、女は兵士を産んで補充。



shfboo:従順に家を守り、子を育て、貧乏でも一家を存続させるやりくりする女性がいないと、というわけですね。いや、やっぱり変な知識の前に心と感情とそれに裏打ちされた礼儀をみんな学ぶべきだよ。



chiki:なるほどね。論理的正当性はあくまであるシステムの中でしか確保できないものだし、それを確保できたからといって倫理的問題はまた別のところにあるんですが、このゲームではすっぽり抜け落ちてますね。もちろん、これはあくまでプレイヤーに快楽を与えるご都合的なゲームで、内容もギャグだからこれを真に受ける人はいないだろうな、と思ったりもしたけど、いやいやどうして、こういう草の根的なものってあなどれないかなやっぱ。普段から触れている小さな文化的蓄積が大きな影響を持つと思うからね。まあ、ネットで「すごい」「おもしろい」と話題なのは、あくまで「2ちゃんねらーが集まってホンモノに限りなく近いクオリティにしあげた」からで、パロディとして消費しているわけで。これが本当に販売されたら「面白い」と言っている人こそ批判しだしそう(笑)。



pin:「おもしろい」って言う人は、「逆転裁判」的な、ひっくり返すおもしろさに対して言っているんだよね?



shfboo:いや差別を正当化したいってことだと思うなあ。差別の一番こわいところは、それが「面白い」ところなんだ。



chiki:おそらくね。ネット上にウヨ厨が多いといわれているが、サヨも一定数いるんだよ。ただ、自分をノンポリだと思っている浮動票が比較的傾きやすいのは、ウヨのほうだろうね。サヨってば基本的に「いい子ちゃん」で、差別がないから「面白くない」しね。



shfboo:やっぱ「顔しか見てない最低な人格の男!」より「ブス!」の方が口げんかで強かったりするからさあ。



chiki:「愛国/売国」などで分けられるウヨの図式なら、分かりやすく現状肯定と差別を与えてくれる。このゲームの面白さもある意味ではいじめの面白さに似てるんだろうけど、いじめの場合は浮動票=傍観しているだけの人も十分罪なわけですよ。だから、スケープゴート自体をなんとか解消させる努力をする必要があるし、それが一筋縄ではいかないんだけど、慎重に問題を解きほぐしていく必要が出てくるわけですね。ところが、このゲームの構造のすごいところは、カンコ君が典型的ないじめっこで、ニホンちゃんがいじめられっことして設定されているところなんだ。あくまでスケープゴートにあっているニホンちゃんを擁護するために戦う、というわけ。実際ネット上には反韓的コメントは山ほどあって、このゲームをプレイする人だって実際はカンコ君に対してスケープゴート化する視線を送りながらプレイしているわけで、このゲームにおけるスケープゴートの役割は本当はカンコ君なんだけど、巧妙に隠すことが出来るんだ。つまり、いじめ的な楽しみ方をしながらも、一方でそれを正当化し、あくまで理不尽なものへの擁護なんだと語っている。よくあるサイテーの言い訳「いじめられっこにも問題がある、だからこのいじめは問題ない」ならまだマシで、「いじめっこにこそ問題がある、だからいじめっこをいじめるのは問題ない」と、あくまで自分が正義の被害者側という形ですごく矛盾したバッシングをしてるのに気づかないのかな。慰安婦の問題にも、確かに感情的、あるいは論理的に理不尽に感じるものもあると思うし、怪しい証言だって存在すると思うよ。このゲームでのカンコ君は、本当にいやらしいほど理不尽な怒りを撒き散らしているように描かれているし。ただ、当然のことながら「怪しい証言」は、「日本側」の発言にだって多くあった。ところが、このゲーム自体がそうなんだけど、都合の悪い怪しい証言は特に問題にせず、相手の証言だけを批判して、それがすなわち自分たちの正しさを全面的に保障してくれるんだというところでエンディング=目的達成、というのはどうなの、って思うよ。国のプライドを大事にするウヨだったら、もっと視座の持ち方にもプライドもって欲しいものです。…ところで今、「明らかに証言が食い違っている慰安婦」が「矛盾」を指摘されることで証拠能力のなさを宣告され、怒り来るって「ファビョーン!!」と叫ぶところまでプレイした。ステージ1クリアですな。



shfboo:ふぁびょーん!!



chiki:慰安所は合法だったから問題ない」と論破して、次のステージ「中で何があったか」に進んだんだ。ここでは「中ではこんなひどいことがあった」という相手に対し、「それはあんたが金のためにやったんだろ」と批判して勝利して次のステージに進むんだろうか。



pin:慰安所は合法とされたことの矛盾や問題は無視ですかい。



chiki:がん無視ですな。「今だっていたるところに性サービスの場所はあるから、慰安婦という存在があったこと自体は問題ではない」(大意)だそうな。



pin:慰安婦の存在に、どういった構造的暴力の背景があるか無視ですかい。



chiki:がん無視ですな。今、「1944年に発令されたはずの条例が、1938年に通用しない」と指摘することで、「慰安所中で何があった」という問題はうやむやになり、とりあえず証人の発言が間違っていたので嘘つきだと分かり、またも「ファビョーン!!」と叫ばせ、ステージ2をクリアした。



shfboo:ふぁびょーん!!



pin:慰安所の中でうけた肉体的・精神的被害は無視ですかい。



chiki:がん無視ですな。このゲームでは、そんなものがあったのかどうか分からないけどとりあえず証言に嘘が合ったからお前は(・∀・)カエレ!!、ってことでクリア。まさかこんな力技で勝てるとは思わなかった(笑)。



pin:性被害の場合、証言が曖昧であることは多いとか、性被害事例から学習せずですかい。



chiki:曖昧というか、このゲームでは「嘘」っていう設定なんだよ。今ステージ2の後のインターバルで、主人公による「この子は昔の僕だ。無実なのにたたかれてる。僕はそんな人を守るために弁護士になったんだ」的な熱い独白が。



shfboo:いや、だってその弁護士ウヨ厨なんでしょう?



chiki:いや、この弁護士は本当のゲームと同じキャラでして、正義感に燃える男ってことになってる。ま、そのことによって、これがウヨ厨的な語り方であることが見事に隠されるわけですね。さすがだなぁ。



pin:その熱い弁護士はだれを守ってんの?



chiki:理不尽にも「謝罪と賠償」を求めているいじめっこカンコ君の魔の手から、祖父想いの無垢で優しいニホンちゃんを守っています。ちなみに今、「慰安婦制度があったとしても、軍の関与はよい方向にしようとしたものだから、別に問題ない」と逆転しようとしてます(驚)。



pin:何にとって「よい方向」なのだろうか?



chiki:ええと、「強制」は当時の文章にはどこにも記載されておらず、むしろ売春が無法で行われると秩序が悪くなるから、善導するために介入したことを示す文章があるらしい。つまり、業者に任せるとやばいことになるから、軍でやろうよってことだった、と。それは「女性を誘拐しているような業者から守れ」という文章なんだってさ。「強制連行しろ」と書いてないから強制連行やってない、あるいは「よい介入をしよう」と書いているからよい介入したんだ、ってところかな。おお! 今の論理で今のステージは勝てたみたいだ! すごいなぁ(笑)。



pin:反論やまほどあれど、眠いので寝ます。(退出)



shfboo:僕も寝る。がんばっておくれ。(退出)



chiki:はーい。この時点で深夜の5時をまわっております。それでは淡々と実況します。次のステージ。今、カンコ君が「自分や同胞がここにいるのが強制連行の証拠」と言ったことで主人公側が負けそうになるも、弟の日ノ本武士(たけし)がギリギリでかけつけ、証拠を持ってきた。かっこいいねぇ。見所だねぇ。召集を欠ける法は1944年に行なわれたものにもかかわらず、それ以前に「徴兵された」と発言してる人がいるが、それは嘘っぽくて怪しいからそれを差し引くと、日本に本当につれてこられたのは1・5%と少ない(から問題でない)、だって。それに対して「数の問題じゃないニダ!」と叫んだところ、なんと原告(カンコくん)側の弁護士が「甘ったれるな!」と糾弾し(ぉぃ、仕事はどうした)、「たとえそれが徴兵であったのなら、当時の日本人数百万人が日本を訴えられることになる。そんなばかばかしい話はないので付き合いきれない」というような話をし、完全クリア(まじで!?)。武士くんは「ウヨ」というあだ名らしいのだけど(笑)、最後に「ウヨ君格好よかったよ、」みたいなことを主人公が言っている。いやあ、すばらしいプロパガンダですね。製作に数年かけたとか。お疲れ様です。ちなみにこれはあくまで学級裁判という設定なんですが(ちなみにchikiは小学生の時にあった学級裁判的なものが大嫌いでした♪)、主人公側が「カンコ君かわいそうだね」などという憐憫の言葉をかけたあと、「まだこれで終わったわけじゃないニダ!」といきまく相変わらずのカンコ君をみて「よかった、これで一件落着かな」とのこと。最後は、陰であやつっているひとがいることをほのめかし、第2弾に続くかもしれないと予告されてゲーム終了。いやあ、すばらしいゲームですねこれは。( ゜∀゜)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \(退出)






というわけで感想終了。興味が沸いた方は、是非「逆転極東裁判」で遊んでみてくださいな。場合によっては癒されるかもしれませんよー。

今日のネタ

「イマニュエル・ウォーラーステイン コメンタリー」
ウォーラーステインの発言がたっぷり読めちゃいます。


「境界例と自己愛の障害からの回復」公式サイト」
かなり詳細に記されていて、勉強になるかもしれません。


「boid diary index」
青山真治さん、樋口泰人さんの日記が掲載されてます。映画撮影の裏話とかが読めます。


「女性金メダリストの股間からペニス発見、大問題に ジンバブエ」
「両性具有 - 半陰陽、あるいは第三の性」
コメント欄で、「実在するとは思わなかった」という発言があって逆に驚きました。


「シスタープリンプリン」
「ちっちゃなおっぱい夢いっぱい」
もっと聞きたい人は「笑える電波ソングを集めるガイドライン」へ。くぁwせdrftgyふじこlpl;