ブックファースト京都店にて「シノドスフェア」

おかげさまをもちまして好評発売中の『日本を変える「知」』ですが、その発売を記念して、このたびブックファースト京都店さんにて「シノドスフェア」を展開していただくことになりました。僕、芹沢一也さんに加えて、『知』に参加していただいた、飯田泰之さん、吉田徹さん、本田由紀さん、鈴木謙介さん、橋本努さんに、それぞれ自著の解説文章を寄せていただきました。 コメントは、各著書への思いいれを語っていただくもので、どれもアツくて面白いです。フェアの模様の写真をいただいたので、ご紹介。








ちなみにブックファースト京都店さんでは現在、「αシノドス」の内容を立ち読みすることが出来るようになっているとのこと。これを機会に、ぜひ「αシノドス」の方も読んでいただけると嬉しいなと。6月1日配信の前号と、昨日配信の今号では、僕もコラム書いています。


それから、セミナーのお知らせです。

ちょっとまじめに現代経済政策理論
セミナー概要:平成大停滞が深刻化した97年以降、そして昨年来の世界同時不況によってさらに、メディアでエコノミスト・経済評論家の発言に触れる機会が増えているかと思います。しかし、ほとんどの人が彼らの現状分析も政策提言はあまりにもバラバラだと感じられているのではないでしょうか。あまりにも雑多な「経済論」を私たちはどのように理解し、評価すればよいのでしょう。
エコノミストの発言は4つに分類することができます。
ひとつは基本的な経済原則・経済理論に反する「問題外」の主張です。エコノミストになるための資格審査はありません。そのため現在のメディアには少なからぬ「問題外の発言」が掲載されています。もう一つは基礎は押さえているものの依拠する理論があまりにも時代遅れだという場合です。もちろん一概に古い理論だから間違えだとはいえませんが、現代の経済学研究から考えるとかつての主流派理論には無視できない問題点があります(だからこそ新理論が登場するわけです)。さらに、現代的な経済理論に立脚した発言にも2つの種類があります。ひとつは論理的には整合性はあるが実証上の妥当性が低いもの、そして最後に残るのが現代の理論に立脚し、かつ実証的な妥当性が高い発言です。
数多くの入門書が、第一分類とその他の分類法、つまりは「問題外発言の識別法」について語っています。このような基本事項に関する啓蒙はしだいに実を結びつつあります。その意味で少なからぬ読者の次の興味は第二分類と第三・四分類の判別に移りつつあるのではないかと愚考します。
そこで、本セミナーでは半世紀にわたるマクロ経済政策の主流派理論を一息に解説していきます。
出発点として学部レベルの教科書で取り扱われる「新古典派総合ケインジアン」の経済政策論を解説します。つづいて70年代のフリードマン、ルーカスによる新古典派総合ケインジアン批判を題材に現代的な経済理論が「生まれざるを得なかった」理由に進みましょう。少なからぬエコノミストの経済学理解はこのフリードマン、ルーカスのケインジアン批判までで止まってしまっていますが、それでは現代の経済を十分に理解することはできません。80年代に登場したリアル・ビジネス・サイクル(RBC:実物的景気循環論)を理解しているか否かについてエコノミスト内部ですら大きな断絶があります。本セミナーではRBCの意義と限界を説明することを通じ、現在の主流モデルであるニューケインジアンモデルの特徴を論じたいと思います。
なお、今回のセミナーでは自分への約束として「数学は使わない」ことを肝に銘じたいと思います。経済学の専門論文で数学を用いるのは論理のスキップを防ぐための道具としてであり、数学から何かが導かれるわけではありません。最先端の経済理論においてもそのエッセンスは言葉で語ることが可能です。ただし……僕の力量の限界により当日はグラフだけはちょっと使わせてください(ゴメンナサイ)。
http://kazuyaserizawa.com/seminar/index.htm


飯田さん曰く、

「今回は授業をするぞ!」と考えたとき第一に思い浮かんだのが高3の夏休みに高校の先生がやってくれた「日本史インパール作戦」という夏期講習*4です.3日間6コマでとにかく近現代史をいっきにやる.どうかんがえても無理な講義計画だから題して「インパール作戦」というわけ.でも,これかなり役に立ったんですよ.ザッとだけど近現代史の表面が頭にイメージできてると細かい話も覚えられる.
中身の証明はさておいてとりあえずどんな前提でどんな結論を導いているのかをザザァーっと頭に入れてもらう.高校の日本史・世界史が歴史研究ではないように,本セミナーでお話するのは経済学研究の話ではありません.経済学がやってることの表面の表面ををただ解説していく「授業」です.表面だけでも現代の理論を知っておきたいという人には是非聞いていただきたい.そして,これから勉強してやろうって意気込む人にとっても「学んだ先に何が待ち構えているのか?」を知らずに作業を続けるのは難しい*5でしょうから楽しいガイドブックを準備して差し上げたいと思うわけです.
http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20090615#p1


てなわけで、ふるってご参加くださいまし。


日本を変える「知」 (SYNODOS READINGS)

日本を変える「知」 (SYNODOS READINGS)