東博の縄文展を再訪

14日の東京は曇り(場所によっては一時雨)の予報だった。お盆休みで電車も空いているから動きやすい。ということで上野の東博で開催中の「縄文」展を見に行った。7月2日の内覧会で一度見ているが、国宝指定の土偶が全部そろうのは8月からなので出直し。繰り返し見に行きたくなる展覧会は数年に1度ぐらいしか当たらない。

ところが都心のJR各線はかなり混んでいたし、天気予報も外れて上野はピッカピッカの晴天。いくらか風が吹いていたとはいえ、まばゆい日差しがきつい。東博には外人観光客がいっぱい来ていて、日本人のお客さんもどっさり。なるべく外を歩きたくないので本館1階のミュージアムショップを通り抜けて平成館につながる渡り廊下を通るルートを選んだら、ショップ内はレジ待ちの行列が出来ていた。平成館の展示室も大混雑でケースになかなか近づけない状態だった。

二度目の見学なので、私はお目当ての品を重点的に見て回った。まとめて一か所に展示してあった火焔型土器とかは、レセプションで初めて見た時には、造形のすばらしさに圧倒され、気にならなかった補修の多さが今回は目についた。現代人による欠損部分の補修は、巧妙にオリジナルの色に似せているため、ぱっと見は直しているとわからない。しかし、土肌の色味が微妙に違うのが気になり出して、どこがどう直されているかを観察することに。


こちらの火焔型土器には補修が多い。煮炊きに使った形跡があるらしいが、日用品として使ったのだろうか。壊れやすい形状だから、特別な日の特別な儀式用かも。



 国宝
唯一国宝に指定された火焔型土器は補修があるのかどうか、よくわからなかった。類品に比べて造形感覚が洗練され、上下のバランスのとり方が巧妙。

国宝室にならんだ土偶の大胆不敵なデフォルメの自在さにも感心するばかり。それに比べて、現代人は・・・日展の彫刻部門の画一性をちらっと思い浮かべる。

紀元前11000年〜1000年に出来た土器、土偶を見ていると、デザインのセンスとか、土をこねて作る造形力とかは、現代の作家も簡単に追いつかない卓越した力量を認めざるを得ない。どんな言葉をしゃべっていたのか知らないが、縄文人の感性は侮れない。調布市で出土した耳飾りの立体造形の複雑さには、相変わらず舌を巻く。

 調布市出土

東北地方北部から北海道にかかる地域で作られた土器にある「雲状文」と呼ばれる唐草風の曲線模様も面白かった。パターンの繰り返しを土肌に直接彫ったり、赤漆をかけたり。うねうねした曲線がからむ装飾はケルトにもあって、呪術的な意味があるらしい。縄文土器のそれはアイヌの文様に受け継がれているのだろうか。


                      青森県出土


 アイヌの文様

 ケルトの文様


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