自由と生存の家・茨城 毎日新聞で紹介されました

http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20110516ddlk08040074000c.html

自由と生存の家:失業者の駆け込み住居、土浦の地域労組が開設 /茨城
 ◇一軒家借り上げ、安く提供 東京に次ぎ全国2例目

 派遣切りなどで失業し、会社の寮から退去を命じられた人らの駆け込み住居を確保しようと、個人加盟の地域労組「茨城不安定労働組合」(土浦市、約15人)が、同市中(なか)に「自由と生存の家・茨城」を開設した。一軒家を借り上げ、困窮者に安く提供するもので、東京都に次いで全国で2例目。【福沢光一】

 委員長の加藤匡通(まさみち)さん(42)=つくばみらい市在住=は、東京都内の建設現場などで10年以上日雇い労働を続けてきた経験から日雇いの労働条件に疑問を抱くようになった。「個人で雇い主と交渉するのは限界がある」として09年、県内の仲間3人と茨城不安定労働組合を結成。派遣社員やパート、アルバイトなど非正規雇用労働者が失職し、仕事と同時に住居を失って困窮するケースが相次いだ。

 そこで加藤さんは、非正規労働者の若者を中心に組織する「フリーター全般労働組合」が新宿区四谷の木造アパートを借り上げ、労働者用の住居として開設した「自由と生存の家」に着目。土浦市郊外の築約30年の木造2階建て一軒家を借り上げ、2階の3部屋を、失職して住居も失った労働者3人に家賃月3万5000円以下で貸し出すことを決めた。1階は組合事務所兼用で風呂やトイレ、台所は共用になっている。

 入居第1号は、小美玉市に住んでいた50代の男性。3月に住居を失い、1カ月間、自分の車の中で寝泊まりするなどして仕事を探したが、見つからなかった。男性は「就職面接を受けても『住所がない人はどういう人か分からない』という理由で落とされた」と話す。そんな時、地元新聞で茨城不安定労組の活動を知り、同組合に連絡。「加藤さんや組合員の方々が親身になって世話してくれた」と言い、4月末に同家に入居後、約1週間で県内のサービス業の仕事が見つかったという。

 加藤さんは「東京で非正規雇用の労組の集会に参加しても、茨城に帰ってきたら労働環境の向上に取り組む人がいない。矛盾を感じ、自分たちの足元をどうにかしたいと思った」と話す。今後は県内で非正規雇用労働者を組織化し、労働環境改善に取り組む考えだ。

 同組合は今春から第2・4水曜の午後8〜10時、労働問題の相談を受けるホットライン(029・875・9289)も開設した。問い合わせは加藤さん(090・8441・1457)