山手線5時間半不通 線路隆起 新工法を過信?

福知山線脱線事故から1年

2月工事でもトラブル/カーブなら脱線も

 東京都新宿区のJR高田馬場駅付近で二十四日、埼京線と山手線の線路が約二十五メートルにわたり最大約五センチ盛り上がりレールが変形しているのが見つかり、山手線が約五時間半運休するなど都心の交通網が大混乱に陥った。JR東日本は、現場の線路下で行われた都道の拡幅工事が原因とみているが、二月にも山手線で、同じ工事による線路沈下のトラブルが起きたばかり。専門家は「現場がカーブであれば脱線する恐れもあった」と警鐘を鳴らす。大惨事となったJR福知山線脱線事故から二十五日で一年。鉄道事業者の安全意識が改めて問われる。

 線路の異常に気付いたのは、埼京線を通る湘南新宿ライン普通電車(大船発宇都宮行き、十五両)の運転士。午前十時半ごろ、異常な音と揺れを感じたと通報。JR東日本が点検したところ、高田馬場駅の南約六百メートル付近で隆起が見つかった。

 復旧工事のため、湘南新宿ラインは終日運休となり、山手線は午後四時十分まで全線ストップ、埼京線の池袋−大崎間も午後六時まで運行を見合わせた。運休は約四百本にのぼり、約三十二万人に影響。現場付近で立ち往生した山手線内回り電車(十一両編成)の乗客約二千人が高田馬場駅まで線路上を歩き、女性五人が「気分が悪い」と訴えた。

 二十五日も現場付近で徐行運転するため、ダイヤの乱れが続く。

 現場付近では、線路直下を交差して通る都道トンネルの拡幅工事が行われており、この日は午前八時半から、盛り土を横切って貫いた鋼材に約四十立方メートルのコンクリートを注入する作業が始められ、午前十時半ごろに終了する予定だった。

 JR東日本の中井雅彦・建設工事部次長は会見で、「コンクリート注入時に何らかの圧力がかかったと思われるが、流動性が高いため、(隆起するほど圧力がかからないよう)あふれ出るようになっていた」と説明。原因は不明としている。

 今年二月、東京都港区東新橋の山手線の新橋−浜松町間でも同様の工事が原因で、線路が沈み込むトラブルがあった。この現場では工事を中断し、原因を調査しているが、今回の現場については「作業の内容が違うため、工事は進められるとの判断だった」(中井次長)という。

 専門家によると、線路の隆起は数ミリなら安全上の問題はないが、二センチ以上だと補修が必要となり、高速区間やカーブで五センチの隆起は脱線を招く恐れもあるという。

 亜細亜大の佐藤信之講師(交通政策論)は「線路下の基礎工事などは本来、電車の走っていない夜間などに行うべきだ。運行を止めずにコンクリート注入を行う新工法は、数年前からJR東日本などで採用されているが、それ以前は運行を止めるのが一般的だった。JR東日本は新工法の安全性を見直すべきではないか」と指摘している。

 JR東日本によると、今回の現場を含めて現在、管内二十八カ所で同様の工事が計画・施工中だが、すべて中断して安全性を調べるという。

 本当に危ない所であった。尼崎の悲劇を思い出してしまった。今回は幸いな事に大きな被害にはならなかったが。

 安全は一番である。何よりも安全を優先すべきである。どうなろうと安全でなければならないのである。その為の時間の犠牲など安いものである。目先のものに囚われてはならないのである。

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