頭脳労働・知的生産の特徴

仕事には、頭を使って付加価値を出す部分がある。これを、頭脳労働とか知的生産と呼ぶならば、これらの特徴をおさえておくことは、どのような働き方が望ましいのかを考えるのに重要である。なぜならば、これはたとえばオペレーションにおける標準業務や定型化されたルーチンワークとは、付加価値の出し方についてまったく異なる特徴を持っているからである。


まず、事務作業やオペレーションにおけるルーチンワークについて考えてみよう。これは端的にいえば、作業量と生産量が比例するので、作業量=労働時間とするならば、働けば働くほどそれに比例して付加価値が生み出されるという関係であることがわかる。つまり、仕事をする時間と生み出されるアウトプットが正比例の関係にあるということである。


それに対して、頭脳労働や知的生産の特徴は、作業量とアウトプットが比例していないこと。たとえば、たくさん作業してもぜんぜんアウトプットがでない場合もあれば、一気にものすごい量のアウトプットが出る(つまり付加価値が生み出される)。後者の例がブレークスルーであり、困難な問題が解決されたり、劇的に業績がアップするということである。そして、頭脳労働や知的生産の場合は、この無限の可能性を秘めた劇的なアウトプットをいかに生み出すかというのが勝負になってくるのである。


極端な話、頭脳労働や知的生産の場合、外から見て遊んでいるようにしか見えなくても、あるいはしばらくのあいだ何の価値も生み出さないように見えても、結果として劇的なアプトプットが生まれればそれでいいのである。ここが、ルーチンワークと異なるところである。むしろ、遊びや何もしない時間、一見無駄に見える時間が、ひらめき、創造性、ブレークスルーを生むのに非常に重要であったりする。したがって、頭脳労働・知的生産のマネジメントは、伝統的なマネジメントや経営管理と根本的に異なることがわかるのである。


ぶらぶら歩きや散歩、ゲームなどの遊び、雑談、静かなところでの瞑想、人によって異なるが、アイデアを整理して、ひらめきを生むために必要なプロセスがある。たとえば、情報収集、整理、熟考、蓄積、熟成化、化学結合、ひらめき、アイデア化、アクションプラン、のようなプロセスである。これをいかにして劇的なアウトプットにつなげるか。これが頭脳労働、知的生産におけるマネジメントの要諦である。