宮沢賢治研究  近代文学合同研究会

和文学会の12月研究集会が学大で開催されたばかりなのに、またまた18日に都内の有力私大の院生らが集結した研究会の催しがあります。
宮沢賢治についての発表4本を中心に議論するようですから、こぞって参加して下さい。
ちなみに2人目の発表者の構クンは、東京学芸大学連合大学院(博士課程)の院生です。詳しくは以下の通りです。


第16回シンポジウム「宮沢賢治――〈農〉という視座」開催のお知らせ
下記の通りシンポジウムを開催いたします。
どなたでもご来聴いただけます(予約不要・参加費無料)。ふるってご参加ください。

近代文学合同研究会 第16回シンポジウム「宮沢賢治――〈農〉という視座」
12月18日(日) 13:00-18:00
会場:東京学芸大学W棟201教室 【下記ポスター内の案内図をご覧ください】
※当日は、日曜日になるので国分寺駅からのバス停(北門)は入れません。国分寺より徒歩、あるいは武蔵小金井よりバスで学芸大学正門(小平車庫行き)、あるいは学芸大東門(中央循環)で御降車ください。

シンポジウム趣旨

宮沢賢治」が、多様な接合/劈開面を具備したダイナミックな運動体であることは、従来の賢治研究のみならず、文明以後の感性や神話的思考、「近代」の制度性や歴史性を論じる様々な場で検証されてきた。文学の領域では小説/童話/詩/短歌/歌謡等のジャンル的差異、日本語の口語/文語、標準語/方言、英語/エスペラント等の文体・言語的差異の境界を越境、往還し、絵画/音楽/映画/演劇等の表現の場、そして化学や地学、農学、宗教や歴史、思想の領域にも自らの感性の可触性を拡張した存在であった。その雑多で貪欲な賢治のカオス的主体とテクストの全体像は、文学研究からの単独的アプローチでは検証不能であろう。これからの賢治研究はその困難を超えていかねばならない。今回のシンポジウムは、若手気鋭の賢治研究者を中心に、多様な側面からそのテクストや思想、同時代言説や社会との交錯の様相にアプローチするものであり、そこでは〈農〉という視座を共通テーマとする。とは言え、〈農〉は賢治研究において決して目新しいテーマではなく、その農学者としてのあり方やテクスト内のイメージ、その思想性、宗教性の問題は従来検証されてきた。しかし、〈農〉という領域は、農業の実践の場と農学的学問の空間にこぢんまりと収まるものではない。それは生命をめぐる放恣な想像力=ファンタジーを喚起し、閉塞した「近代」をめぐるオルタナティブの幻想を生成し、農本主義アナーキズム等の思想の場と連結し、翼賛体制下の食や資源、軍事や経済、植民地主義の問題と結びつくものである。賢治という現象体において〈農〉は、個的存在の限定性を超えて、新たな位相にその表現と意識を拓く、一種の開放口であったのではないか。賢治と〈農〉の問題を追究し続ける研究者である大島丈志氏をディスカッサントに迎えた今回のシンポジウムを、賢治研究のみならず、文学研究の方法論的越境と言葉の交錯の契機としたい。
副田賢二(防衛大学校



プログラム 

中村晋吾(横浜薬科大学非常勤講師)
 「これから」の世界へ ―「グスコーブドリの伝記」における「美しさ」と自己犠牲

構大樹(東京学芸大学院生)
 宮沢賢治における〈農聖〉イメージ ―松田甚次郎の役割―

牧千夏(名古屋大学院生)
 作家の見た産業組合 ―賀川豊彦宮沢賢治・農民文学―

村山龍(慶応義塾大学非常勤講師)
 詩的アナキズムの文脈への布置 ―宮澤賢治1920年代―

ディスカッサント:大島丈志(文教大学
司会:相澤芳亮(立正大学院生)・服部徹也(慶應義塾大学院生)