埴谷雄高「闇のなかの黒い馬」  龍胆寺雄「L・盆地の汽車」

急遽レポーターの1人に指名された鄭双君がキチンと発表できたのはリッパ。
日本人にも理解困難なテクストを、留学生が取り組むこと自体に無理があるところを、埴谷の名を知っていただけの程度で指名されてしまったのだから、タイヘンなこと。
発表内容はともあれ、鄭君の日本語の発音の聞き取り良さは稀なレベルで驚いた。

本命の関口君の発表は、テクストに閉じて論じようとしながらも、なかなかそのシバリから逸脱気味にならざるをえなかったのは、テクストの難しさだろう。
他の作品や作家を引き合いに出して論じるのは簡単だけれど、禁欲的にテクストだけで論じ切るのはタイヘンだろう。
個人的には発表時から楽しめない作品だったけれど、今どきの学生である関口君がこんなものに取り組む意欲には敬意を表したいし、相変わらずよく調べてあるのも貴重。
お得意の石川淳などを起点にして外側から(?)埴谷テクストにアプローチして行こうとする姿勢・立ち位置が面白くて楽しみ。
今回の発表を契機に充実した論にまとまめてくれることを期待したい。
難しいテクストながら、レジュメを元に質疑応答ができていたので楽しめた。


来週は龍胆寺雄「L・盆地の汽車」で、発表は杉本君とテイミンさん。
今どき龍胆寺雄に関心を持てる杉本君に期待。