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蝉コロン このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2010-02-08

新型インフルエンザにあんまりひどいめにあわずに済んだ理由


ウイルスv.s.免疫機構は、ウイルス表面の抗原を認識できる抗体があるかないかの勝負になる。ウイルスは自分の情報を書き換え続け、免疫ウイルス情報をアップデートし続ける。


今回の新型インフルエンザはH1N1。これまでH1N1で流行したのはスペインかぜとソ連かぜ。スペインかぜは1918-1919年だが、ウイルス自体は1957年くらいまであった*1。今はもういない。ソ連ウイルスは1977年に出現して現在まで季節性として流行。今でもいる。


H1N1についてヒト集団の持っている抗原情報は50年前のスペインかぜウイルスのと、30年前から現在まで繰り返しアップデートされているソ連ウイルスの。ヒトは感染して免疫を持つ大人が集団の中に何十年も蓄積されていくので、ウイルスも変化し続けないと拡がれない。


ブタは育つ頃には食べられちゃって集団として免疫の壁ができないので、ブタのH1N1ウイルスはそれほど変化する必要が無い。だからブタから出てきたばかりの新型H1N1は抗原情報が古く、スペインかぜH1N1ウイルスに似ている。年寄りはこれに対する抗体を持っているのでかかりにくい。


若者は最近の情報しか持っていないから、新型H1N1の感染を防ぎきれずパンデミックになるまで拡がった。が、ソ連型と同じH1N1亜型なので、結局は抗原情報の簡単なアップデートで逆襲をくらってしまった。ワクチン一回接種でブーストされるし。新型ウイルスはこれまでヒトの免疫の洗礼を受けてこなかったので意外にあっさりやられる。

ものすごい新人が現れたけど、蓋を開けてみたら経験値の差で成績が振るわなかった、みたいな。


今後この新型はどうなるんだろう。これまで流行していたアジア型、香港型に取って代わると言う話もある。このウイルスが季節性になり、セレクションを繰り返したら強いウイルス株が出現するかもしれない。新型H1N1には少し心配な特徴がある。季節性H1N1は通常、上気道の細胞感染するのだが、新型H1N1は重篤な症例の組織では肺胞にまで深く侵入することが観察されている。これは鳥インフルエンザウイルスH5N1の特徴に似ているという。


実は今回はじめて人類は、ワクチン、抗インフルエンザ薬、公衆衛生上の対策によって、パンデミックに対抗した。スペインかぜの時代はもちろん、アジアかぜや香港インフルエンザのときにもできなかった対抗策が打てた(ワクチンは以前もあるにはあったけど)。日本のやりすぎだと言われてた対策も良かったんじゃないかなと思ってる。一方で「封じ込め」とか全然現実的じゃなかったなという反省点もある。


新型たいしたことないから感染しても大丈夫とたかをくくってると、季節性になったとき、ひどい逆襲にあうかもしれない。逆に季節性も含めて綺麗さっぱりいなくなってしまうといいのだけれど。

それではお体に気をつけて。ごめんください。

*1アジアかぜのインフルエンザウイルス(H2N2)にとって変わられた

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