Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

早川義夫と熊坂るつこの世界 池袋 鈴ん小屋


 何か祈りのようなものを込めて「生きていく音楽」というタイトルのライブに申込みを入れたものの、佐久間さんの逝去で中止になりました。あれから約4カ月。自分の中では、物語が終わっていないような感覚が残っていたので、このライブへの参加は必然でした。

 佐久間さんの想い出話を織り交ぜながら曲を紹介して演奏していく、いつもよりトークが多めのそんな構成は映画を見ているかのようでした。詩の情景の中に佐久間さんを見つけたり、曲そのものが佐久間さんに捧げているように感じられたり、2人で演奏しているけれど3人のステージでした。

 休憩明けの第二部にはHONZIのことにも何度も触れて、亡くなられたお二人の盟友を悼んでいるようでしたが、それでもトークの内容は笑い話ばかりで追悼公演といった湿っぽい雰囲気は全く感じられず。時に頬を紅潮させて熱唱する早川さんの迫力は天に想いを届けるかのようで、軽妙なトークとのコントラストが際立っていました。

 生と死の狭間にいるのではなく、生の延長にある死との境界が曖昧に感じられる空間でした。盟友を送り出した側にいる早川さんも一歩づつ死に近づいていることに違いなく、そんな凄みが歌からは滲み出しているのですが、それに反してトークは照れ隠しのような冗談ばかりで、その振れ幅にすっかり心を射抜かれてしまいました。

 可愛いTシャツを来て、細い目を露にして観客を笑わせる現在の姿は、はじめてライブを見た当時を考えると全く想像ができません。NHKのドキュメンタリーでプロデューサーとしての佐久間さんの功績を再認識して、この早川さんの「進化」には、間接的にでも佐久間さんの影響があったのではないかと感じてしまいました。これからの新たな出逢いで早川さんがどう変化いくのか、とても楽しみです。