Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

早川義夫ピアノ弾き語り 〜生きがいは愛しあうことだけ〜

2014/10/13 (月) 神保町 試聴室

 佐久間さんが亡くなってから、生で聴くのはこれがはじめて。

 数日前の早川さんの日記。HONZI追悼ライブの後、彼女のアコーディオンをご主人からもらったそうです。ご主人は「早川さんにアコーディオンをあげて」という夢を見たとか。

 台風で帰りの電車を心配しながら、新品のレインブーツを下ろして出掛けました。今夜はソロライブだけれど、きっと伴奏が聞こえてくるんだろう。
 

 早川さんが登場して、1曲目からすごい気迫。ちょっとペース配分が心配になるくらいの熱唱が続いて、3曲目が終わった頃には荒い息遣いをマイクが拾っていました。

「グッバイ」のラスト、バイバイ・・・のところで声が詰まってしまった早川さん。これまで死を目前にした佐久間さんとの共演でも淡々と唄う姿しか見てこなかっただけに、演奏が終わって涙を拭っていたのは衝撃的でした。
 この曲は男女の別れを唄ったものだけれど(そう思い込んでいたけれど)あらゆる形の腐れ縁、愛の終わりに置き換えても詩に違和感がないことに気づいて、何とも切ない気持ちになりました。

「躁と鬱の間で」のラスト、トゥトゥトゥ・・・と口ずさむところはかなり大胆にアレンジされ・・・いや、アレンジなんてものじゃなく、なにか憑依したように声を空間に撒き散らして、あっちの世界と自由に交信しているかのようで・・・すごい、この人はまた進化してしまった。才能と言ってしまえばそれまでだけれど、自分のつくった曲と現実が重なり合う、そんな宿命のようなものを背負って芸が深みを増していくとは。なんと残酷な、そして嘘のない世界でしょうか。

 終始、頬を紅潮させたまま、途中で上着を脱ぎ、シャツを脱ぎ、Tシャツ1枚になり。チャボの「MY R&R」のコピーでは、1番を「佐久間正英〜」2番を「I LOVE YOU, HONZI〜」と唄って休憩に。

 圧倒されました。(・・・休憩って言うから、奥に引っ込むのかと思ったら、ずっと脇でサインしてましたけどwww)
 
 第2部は、どういうわけか、好きな曲のオンパレード。もうこっちがあっちの世界に行ってしまって、ただ心地良く目を閉じて音の世界に浸っていました。全体的に走っていたというか、曲のテンポが早かった気がしましたが、それが何か大きなうねりのように感じられて、揺さぶられるままに身を委ねていると、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

 唄が心に沁みたのか、自分が唄に溶け込んだのか、不思議な一体感に包まれていたのでアンコールが終わっても席を立つのが名残惜しかったです。外は強めの雨が降っていましたが、風はほとんど吹いておらず。アンコールの1曲が「嵐のキッス」だったので、これで嵐だったら完璧だったのに。

 演奏を終えた早川さんが戸口に立って、帰る人ひとりひとりと握手をしてお見送り。つい先ほどまで、あっちの世界にいた人がそこで握手をしている・・・という距離感に戸惑ってしまい、誰かがサインをねだっている隙に逃げるように出てきてしまいました。
 早川さんは一期一会と思っているかもしれないけれど、こっちはまだまだ何度も足を運びますからね。そうはさせないぞ、と・・・(謎)。

I LOVE HONZI

I LOVE HONZI