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仙芳丸航海日誌 RSSフィード

漁師の家に生まれて,建築デザインをしています。
どちらも昔からある仕事ですが,
昔のエッセンスを今に活かすと刺激的です。
山口晋作 
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February 05(Sun), 2012

土間 is not equal 土足

先日、新しい住宅の為に、またまた、「土間」を提案してみた。普通は、土のイメージがある土間を、ぼくは、モルタルでつくることにしている。例外的に木も使うけど、木だと掃除に気を使うし、家全体に亘って、木材がふんだんに使われているので、あえて、別の素材を使った方が、メリハリが利いていて、好きだ。

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箱木千年家の土間)

ところで、日本の住宅の床が、床が地面から高く上がりきったのは、そんなに昔の話ではなくて、戦前の東北では、竪穴式の住宅がいくつもあったようだ。そもそも、床を高く上げていたのは、古い技術を以て、雨、湿気、小動物等の侵入者、等に対抗する為に、「楽だから」という理由で、地面から床を上げていたのだ。カマドで火を使う、井戸から水を汲む、という作業が、現代では、無くなったので、「土間」である理由は益々無くなって、地面から600ミリくらい高くするのが、今の日本の住宅の基準ということになっている、ようだ。だが、さらに、もっと、技術が進んだ現代では、もう一度地面に下りて行くというのもいいではないかと、考えてみる。

そのむかし、土間の効用については、いくつか書いた覚えがあるので、「土間で検索」などして、その思想の一端を感じてもらうとして、ここに来て、土間状態にするけれども、玄関で敷物などを敷いたところで、靴は脱いでもらって、高さは変わらないけれど、そこからは、スリッパなどの室内履きでの生活にしてもらうことを考えている。「ドソクの素材感」等と書いておきながら、自分でもどうかと思うが、これからも試行錯誤を重ねてきたい。そうだな、土間、という言葉ではなくて、別の言葉を考える必要もある。

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(児島聖約キリスト教会の旧座敷)

November 14(Mon), 2011

箱木千年家

日本最古の住宅として有名な、箱木千年家に行ってきた。


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 箱木という珍しい名前を持つお家だが、見学後、その箱木さんと30分くらい歓談した。ダムで家が移転になることで、大きな予算がついて、通常の文化庁だけのお金では出来ないことも出来たこと。昔の家に住んでいた時には、既に有名だったこともあり、見ず知らずの見学者が勝手に家の中に入り、ずいぶん迷惑をしたこと。なかには、家の中の私物を指して、なんだこれは?!と暴言を吐いた者もいたこと。昔と今とは経済状況が違うので、いくら偉い人から、「大事ですから残してください」といわれても、維持するだけで大変なこと。神戸市では、小学3年生でこの家のことを勉強するので、たくさんの小さい子供が来て、うれしいこと。などなど、書けないことも含めて、たくさんのことをお話ししてくださいました。

 帰り際には、他の家には無い姿がこの家にはあるので、私のような者にはあるだけで大変有難いと、頭を下げて心から感謝したことでした。幸いに跡取りはおられるとのことで、もう50年くらいは、千年家を見ることは出来そうです。「千年家」とは、屋号でして、とても古い家だから、ということで、そう呼ばれているそうです。室町前期の姿を留める箱木家は、神戸市北区にあります。「箱木家住宅」、とか、「箱木千年家」とかで調べればすぐに出てきます。

 児島からだと、片道1時間半くらいの程よいドライブです。高速降り口から20分くらいで着けます。下手な美術館に行くよりも、価値があります。この写真を下に色々論じることは出来ますが、ひとまずこの姿を目に納めておきたいと思います。

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January 01(Thu), 2009

野生の家

7年前の春に学業を終えて入社した会社は、楢村徹設計室といって,古民家再生と後に言われる特異な分野を開拓した楢村さんの事務所でした。

日本の住宅は,竪穴式住居を経て,室町から始まり,江戸期に成熟して、明治、大正、戦前と続いてきたそれぞれの地域地域に根ざした様式を持ったものでした。それが戦争によってプツリと途切れて、今日のような風景が出来上がっているのです。「古民家再生」というのはどういうことかというと、あたかもそういった不毛とも言える断絶がなかったものとして,日本の伝統建築が、今の時代まで続いていたとしたら、きっとこのような姿に成っていただろう,成っていてほしい、と求めながら、個々の設計者が努力しているものなんです。

室町時代の住宅の一例としては、神戸市箱木千年家を挙げておきます。このころに日本の住宅の基本様式が各地域でできつつありました。

http://www.city.kobe.jp/cityoffice/57/032/bunkazai/syokai/hakogi.html

このような日本の伝統建築の流れを受け継ぐ住宅のことを、野生の家とここで呼んでみることにします。家というのは人間が意図して作ったものなので,自然とか野生という言葉は当てはめてはいけない人工物ですが,戦後期の数十年でできてしまった住宅生産の仕組みによって次々と建てられる建物とは明らかに違うものとして、捉え直すためにあえて「野生」と言っています。時間とお金がない、資材もないという混乱した状況でどんどん住宅を作る必要があった時代と、今日とは違うはずです。「持ち家政策」を未だに前提にしている国の方針にはほとほと嫌気がさします。

それは、庭に例えれば、こういうことです。自然な庭を造ろうと一生懸命に考えて巧みに作庭することではなく,風や鳥が運んできた種子がそのまま成長し、その地域地域に自生した庭があって、管理する側としては各々の性格に応じて面倒を見て,整えていく、調整していくことが主な仕事となります。古民家再生とは現代まで生き延びている野生の家を整えていくことですし、現代の感覚に照らし合わせて調整していくことです。

新しい年が始まりました。クリスマスやお正月といった華やいだ時は過ぎて、日常が戻ろうとしています。僕にとっては大事な年になりそうです。この日誌を読む皆さんの歩みが祝福されますようお祈りします。