2012/02/06
川勝正幸に星野源が贈る言葉
先週金曜日のTBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」から「Dig」は、5時間ぶっとおしで川勝正幸特集が組まれ、様々な人のコメントが流れていました。それぞれコメントを寄せた人たちはとっても濃厚で、なおかつ自分が好きな人達ばかり。改めて川勝さんの絶大な影響力を知ることとなりました。
さて、2月1日の水曜日24時。J-WAVEでは星野源の「RADIPEDIA」が生放送されました。川勝正幸さんと星野リーダーは、TVブロスでの細野晴臣との対談連載の構成担当であり、SAKEROCK「songs of instrumental」、ソロ「ばかのうた」のライナーノーツを担当と、要所要所でお仕事をされていました。また、プライベートでも旅行に行ったり、川勝さんのご両親と食事の席を一緒にしたそうな。そんなリーダー、今回の川勝さんの件についてどのようにコメントするのかとても気になっていました。
冒頭、いつもどおり元気にバカバカしく進行していくリーダーですが、「ちょっと今回のテーマとは関係ないですけど…」と言って川勝さんの件について話し出します。しんみりしつつも、昨日散々落ち込んだので今日は明るく行こう!と言い、「川勝さん…おっちょこちょいだなぁ!マジで…」と川勝さんに向けて話していたのが印象的でした*1。その後は通常通りコーナーを進行していったのですが、放送終了間近に再度川勝さんについて触れます。その内容が恐らくリーダーの「献花」のようでしたので、その言葉を書き起こしました。
今回のニュースが出たときに、紹介の記事とかで「サブカルチャーを紹介した編集者・ライター」って書いてあったんですけど、なんか僕ちょっと違うなぁって思ってて。僕、元々「サブカルチャー」ってなんなんだろうってずっと思ってて。ないんじゃないかと僕、思うんですよね。昔は「カウンターカルチャー」って言葉がありましたけど、「サブカル」って言葉がなんかどんどんひとり歩きしてよくわからないようになってる気がします。こういうネット社会になって、「サブ」ってものが存在しないんじゃないかと思ってます。
で、川勝さんの文章にはですね、「サブカルチャー」って言葉はほとんど出てきません。どんな無名な、どんな小さいものでも、必ず「ポップカルチャー」と、とても自分の好きなものとして挙げていました。その姿勢が僕は本当に大好きで、どんなものにでも面白いものがあるんだと、知らないものがたくさんあるんだと僕は学ばせていただきました。なので、本当に「ポップカルチャー」というですね、「面白いものはなんでもポップカルチャーなんだ!」と、その面白がり方を教えてくれた川勝さん、本当にありがとうございました。
またですね、「ポップウイルス」なんて川勝さんが言ってますけど、多分川勝さんは、ウイルスになってしまったんではないかと。川勝さんのウイルスは多分僕たちの中にですね、ずっと蔓延していくのではないかと思ってます。今回のリアクションが本当に大きいのも、そのウイルスに侵された人たちがみんな反応してるんだろうなって思ってます。川勝さん、本当にありがとうございました!
なお、この日は川勝さんが関わった、または川勝さんから教わった曲を選曲してかけていましたが、それがこちら。
- いとうせいこう「Message」*2
- オリジナル・ラヴ「JUMPIN' JACK JIVE featuring 吾妻光良
」
- DOOPEES「DOOPEE TIME」
- スチャダラパー「彼方からの手紙」
その他「今週のリリシスト」という歌詞を深く掘るコーナーでは、クレイジーケンバンドの「あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。」を取り上げ、最後には自らの曲「予想」をかけていました。ちなみに「予想」という曲は、不意に死んでしまった人の目線で歌ったもので、奇しくも今回の件とピッタリ重なってしまう。せいこうさんやスチャの曲も、すべてが贈る言葉。素晴らしい選曲でした。
2012/02/03
ハイバイ「ある女」@こまばアゴラ劇場
作・演出:岩井秀人
出演:岩井秀人、上田遥、坂口辰平、永井若葉、平原テツ、吉田亮 (以上ハイバイ)、小河原康二 (青年団)、猪股俊明
コメディっぽいんだけど、どんどん救いがなくなってきてしまうお話でした。
主人公である28歳のOLを演じるのは男でありアラフォーの岩井さん。この時点で奇妙で面白いのだけど、だからこそ悲惨さに適度なフィルターがかかっていたんだと思います。
物語は、恋人にフラれて上司と関係を持ったら、後にそれが不倫であったことに気がついたところから始まります。最近では会うたびに物やお金をもらうようになったことに対して引っかかりつつもずるずると関係を続けてしまう主人公。ある日、セックス教室の講師と名乗る男と出会い、そこから流されるままに…しかし、というお話。
この演劇を見てからいろいろと記事を読んだところ、実際に不倫している人の話を聞いて何人かのエピソードを一人の女性の話にまとめ上げた作品だったそうです。とまどいながらもなんとなく受け入れていくことは、もしかして特別なことではないのかもしれない。不倫、とか、セックス、とかも、全部意識的に行動しているのではなくて無意識。その無意識の行動がいつの間にか後には引けないところにたどり着いてしまうのが恐ろしかった。
最終的には救いがないお話になってしまうのだけど、随所に笑いの要素が介入してきて、途中までは笑いながら見ていられた。ド頭から使用される映像も、性描写の表現も、会話の内容も、奇妙で面白かった。だからこそ振り幅が大きくて、最終的に「えええ…」となるのだけど。
定食屋の娘役の上田遥さんとセックス教室のセイヤ役だった坂口辰平さんがとても個性的で、一挙手一投足、目が離せなかったです。
2012/02/02
ストリートスナップにピース又吉がいる件
先日、Twitterにてこのようなツイートがタイムラインに流れてきた。
雑誌のストリートスナップにNaokiって人が写ってるんやけどこれ又吉じゃね笑 URL
なにそれ?と思い、早速書店に行って確かめると…本当に又吉でした。「NAOKI(31)」って、どっからどう見ても又吉。これは編集部は知っててやってるのか知らずにやっているのか。とっても気になるところです。
ちなみにその雑誌とは、「WARP MAGAZINE JAPAN」です。皆さんも是非見てみてください。
2012/02/01
TOWER RECORDS PRESENTS “higefunkgyaban”@渋谷O-WEST(1/25)
髭と在日ファンクのスプリットシングル「We are HiGE! / におい将軍」発売を記念して開催されたライブ。この2組に加えてゲストにモーモールルギャバンが来るって言うんで見に行って来ました。
1番目が自分の目当てであるモーモールルギャバン。ゲストだから当然の出順なのだけど、しょっぱなから飛ばしまくりで主役の2組を飲み込まん勢い。だって、こんなセットリストだったんですよ。
- 1.ユキちゃんの遺伝子
- 2.POP!烏龍ハイ
- 3.美沙子に捧げるラブソング
- 4.細胞9
- 5.Hello!! Mr.Coke-High
- 6.ユキちゃん
- 7.サイケな恋人
全てがキラーチューン。そんな勢いで臨んだモーモーさんたち、とにかく暴れ倒してました。特にユコさんはノリノリでダンス。近くにセッティングされているものとは別のキーボードが縦に立てかけてあるのが見えてずっと疑問だったのですが、最後の最後、『サイケな恋人』のアウトロのときにおもむろにその鍵盤を持ち上げ暴れ弾くユコさん。やっぱりこの人が一番狂ってる!最高!
そういえばメンバーみんな衣装のような色彩豊かなかっこよいタイツやらをお召しになられていたのだけど、いつもどおりパンティコールのときにゲイリーがタイツとパンツを脱いだ時にその脱いだタイツとパンツを客席に放り込んでいました。あれ、衣装じゃないの?客席に投げてよかったんだろうか。いや、そもそもあんなの誰が欲しがるんだ、汗だくのパンツ。
2番目は在日ファンク。最近すっかり人気者になった在日ファンクですが、そういえば自分は見るのが2年くらい振り。以前は高円寺で開催された福島ピート幹夫伊藤大地企画イベントカッコイイナイト3のときで、その前はハマケンロックフェスティバル。ゴセッキー加入は愚か、伊藤大地がドラムだった時代だ。
「SAKEROCKを知っていると在日ファンクのハマケンを見ると笑ってしまう」という現象は多くの人が経験しているのではないかと思うんです。これはもう仕方ない。「いやいやwwwハマケンなにカッコつけてんのwwww」という感覚はもう二度と拭い去ることはできない。だって、あまりにSAKEROCKでのポジションと違うので。演奏は当然のようにタイトでスマートだし、特に『爆弾こわい』なんて本当にかっこいい曲だと思うのだけど…どうにもこの先入観は消えない。これはもう、自分がSAKEROCKが好きすぎるせいなのだと思う。そういうのナシだったら素直にカッコイイと思えたのだろうから、もったいない。あとトロンボーンの久保田さんっていつの間にあんなことになってたんですか。まぁ、昔からあーでライブを重ねるごとにどんどん発揮していったのかもしれないけど。
ちなみに「在日ファンクを先に知り、後にSAKEROCKを知ると『ハマケンってトロンボーンも吹けるんだ!』となる」という仮説はいかがでしょうか。Twitterで見てると案外合っていると思うんだけどなー。
ラストは髭。ずっとテンションの高い須藤を中心に狂乱の宴が繰り広げられていった。「それではみなさん良い旅を!」って今から始まる時に言って『それではみなさん良い旅を!』演奏するの、なんかいいですね。3組とも定形に収まらないバンドなのだけど、特に髭はいろいろ異質。ドラムが2人にギターが3人もいるってのがすでに過剰。そして独特の歌詞、ひねくれた曲、須藤のMCも加わって大変。アイゴンもいるし。そんなまるで民族祭礼、宗教祭礼のようなライブに客席は熱狂。
アンコール後にステージ上で写真撮影を行おうとすると「今日の出演者も来たらいいんじゃない?」とのことで、モーモーはレコーディング作業のため中座していたものの、二階席で見ていた在日ファンクが私服でステージに登場。さっきまで客席を煽っていた姿から素に戻ったメンバーが若干恐縮していたのがなんとも微笑ましかったです。
今回出演した3組のバンドですが、見事に3組とも異質で過剰。モーモーはとにかくぶっ千切ったライブアクションだし、在日ファンクはJBマナーとハマケンの元来のキャラクターとの融合が笑えてかっこいいし、髭は編成も煽りも特殊。音楽ジャンルはバラバラなのだけど、それぞれが突出しているのが共通点という対バンイベントでした。
2012/01/31
ポップカルチャーの指標が消えてしまった
⇒朝日新聞デジタル:編集者兼ライターの川勝正幸さん死亡 自宅から出火 - 社会
⇒フリー編集者の川勝正幸さんが火災で死亡 サブカルチャーの著作多数 - MSN産経ニュース
久しぶりに心の底から衝撃を受けたニュースだった。ちょっとこの結末はやりきれない。
川勝さんのお名前を知ったのは恥ずかしながら遅く、2006年頃に「ポップ・カルチャー年鑑2006」を本屋で偶然手に取ったのがきっかけ。「こんなマニアックなものが評価されてる!そしてなんだか知らない世界がいっぱい載ってる!」と衝撃を受けているうちに、いつの間にかSAKEROCKのアルバム「songs of instrumental」の解説を書かれることになって。そうこうしているうちに星野リーダーは川勝さんと仲良くなって「第2の父」と慕うようになって。そうこうしているうちにテレビブロスで始まった細野晴臣×星野源「地平線の相談」では文化デリックとして構成を担当されて。
ポップカルチャー年鑑にいろいろ教えてもらった私は上京後、念願の高円寺円盤にて開催されていた「POP寄席」に足を運び、川勝さんと下井草さん、そしてゲストの宇多丸さんのトークを楽しみました。それからも様々な場面でお目にかかっていた川勝さん。ナンシー関の大ハンコ展で汗だくな姿をお見かけしたり、とあるライブでニコニコしている姿をお見かけしたり。最後に動いている川勝さんを見たのはいつだろう。DOMMUNEでドラマ版「モテキ」第1話を再放送しているときだったか、たまたま点けたテレ東の「シネ通」だったか。
川勝さんの、自分が好きなモノを楽しそうに書いていらっしゃる文章が大好きでした。以前、とある方から「川勝さんや下井草さん、松永良平さんのような文章を目指してください」とアドバイスをいただいたことがあり、とても憧れの文章でした。川勝さんのことを知るのはあまりに遅かったため、私の中では晩年のイメージの好々爺的存在だったのですが、それでも、いろいろなことを知ることが出来ました。
単なるミーハーから、半歩…いや、1/4歩くらい進むことができたのは、この方の言うものに触れてきたからです。心よりご冥福をお祈りいたします。





