「Loser's Parade」

for さえない日々

ダイアログ・イン・ザ・ダーク

この連休に、巷で噂の「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」に行ってみた。
ダイアログ・イン・ザ・ダーク


※この映像は2006年のもので、今年の会場とは別です。
全くの暗闇の中での生活を体験するイベントで、完全に光が遮断された空間の中を、その場で出会った8名1チームが案内人(視覚障害者)を頼りに進んでいくのですが、目が慣れるような暗闇でなく完全な闇のため、視覚以外の感覚をフル活用しないといけない。「目が見えない」というものがこんなにも人を不安にさせるのか、と感じた。それと同時に、ここでは声のコミュニケーションが非常に重要な役割を果たすため、人見知りで…などとは全く言ってられない。会話をしないこと=存在しないことになってしまうからだ。頼りになるのは音と匂い、触覚。暗闇に入る前に白杖をもらえるのだが、これが歩くのにとっても役に立つ。逆になかったら暗闇の中、前へ出ることが非常に怖い。いろいろと普段味わえない体験ができた。
1時間という時間もあっという間だったのだが、印象に残っていることはやはり視覚障害者の方々についてだ。ここでは普段と立場が入れ替わり、健常者が視覚障害者の介助を必要としている世界。ちょっとネタバレをすると、暗闇の中にバーまであり、なんとそこではアテンドとは別の店員がおり、お酒まで出してくれた。しかも音を聞くと洗いものまでしている様子。彼らにとってはこの状態が日常なのである。体験終了後にアテンドの方と話す機会があったのだが、その方は普通に一人暮らしをし、ごく普通の生活をしている。料理だってするし洗濯だってする。「日常生活で困ることは?」と聞くと『書類を落とした時に音がしないから探すのがめんどくさいことかなー』という回答。暗闇を体験した後の我々の感覚は、視覚を奪われて困ることと言ったら、それはそれはもう山積みのような困難が襲いかかるが、彼らにはそんな感覚は元々持っていない。それが普通なのだから。いや、別に視覚を奪われても普通に生活はできるのだ。それがとても印象に残った。
今年の第1期は6月下旬まで東京の外苑前で開催しているので、少しでも興味を持った方は是非とも参加してみることをお勧めします。1時間も視覚が遮断される機会なんてそうそうないと思うので。