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2001-07-15

『おたんこナース』佐々木倫子


淡白なギャグに挿入される感動


 漫画である。連載中から愛読していた。前々から思っていたのだが、佐々木作品には見事な淡白さがある。今回読んで初めて知ったのだが、北海道の人だったのね。納得。私を筆頭とする北海道人は淡白なのである。なぜか? 歴史が浅いからだ。つまり先祖伝来の怨念みたいなものは、まーーーったく無いし、地境の争いごとも聞いたことがない。なんてったって広いもんねー。湿気が少ない気候の影響も少なからずあるだろう。ただ、私の場合、食い物に対する執念の深さは内地の人間を軽く凌駕するものがある。


 主人公・似鳥(にたとり)ユキエは新米ナース。その上、大呆け野郎である。ポーズだけは実に勇ましいのだが、やることなすことが上手くゆかない。更に、喜怒哀楽が激しく、喧嘩っ早い。そんな似鳥がナースとして成長してゆく様が一話完結で描かれる。


 お笑い系なのだが時折、ハッとさせられるドラマがある。似鳥が涙するシーンなどもあるにはあるが、数カットで変わる場面展開が鮮やか。どこかしら『浮ぐれ雲』(ジョージ秋山)に似た深さすら漂っている。同じようなストーリーの繰り返しもなく、長さも適度。ナースの技術・労働環境・患者との人間模様、それらに人情の機微を絡めた絶妙なバランス感覚は、往年のミル・マスカラスを思わせるほどだ。


 最近、映画を思わせる画風が多い中で、コマの一つひとつで勝負する姿勢が好ましい。まあ“四コマ魂”といってよいだろう。漫画でしか表現し得ない世界がここにはある。


おたんこナース

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