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2003-03-26

『風貌』土門拳


 土門拳による肖像写真とエッセイ。現場風景が描かれることによって写真の凄味がぐっと増している。後書きで書かれている「梅原龍三郎を怒らせた話」が面白い。


 写真嫌いの梅原に対して土門が色んなポーズを要求する。土門は「僕の邪推によれば、写真というものを軽蔑している人」という。6枚目の撮影になった時、「念入りにピントを合わせているうちに、梅原さんの一文字に結んだ特徴ある口が、わなわなと震えているのに気付いた。膝に置いた左手も、木炭を掴んだまま、ブルブル震えているのに気付いた。怒りに震えるという言葉の実際を、僕は目(ま)の当たりに見たのである。僕に対する憎悪(ぞうお)と反発、それは到底長い時間そのままではいられない爆発寸前の状態だった」。


 撮影を終えた土門は、「腹の中で『ざまあ、見やがれ』と叫んだ」。こうした元気の好い姿勢が写真にある種の迫力を与えているように思う。


 私は写真鑑賞をよく知る者ではないが、時代の寵児達の風貌に現われている何かに心惹かれてやまない。


風貌|私の美学―土門拳エッセイ選 (講談社文芸文庫 とE 1)

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