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2004-12-30

『オールド・ボーイ』

 初雪の降る中、新宿まで『オールド・ボーイ』を観に行った。前田有一氏のレビューで興味を覚えた直後、井筒監督がテレビで絶賛していたため。


 ウーーーン、微妙(笑)。フィルムが回っている間の迫力が、席を立った途端、どこかへ行ってしまっている。チグハグな印象が否めない。多分、結末から構成されたからだと想像する。


 チェ・ミンシクの変貌振りは、『レイジング・ブル』のデ・ニーロを思わせるほど。復讐に駆り立てられた男の情念が、顔の陰影で見事に表現されていた。更に見逃せないのは、音楽が実にいいこと。ワルツが奏でる3拍子は、三者で踊る愛憎劇。大どんでん返しのストーリーも、よく練られている。「役に立つのか?」――「立った」「立たなかった」という台詞もチャンドラーのように秀逸。


 この作品を面白く感じないのは多分、私の性格に起因している。私は気が短いので、素早い果断を信条としている。


 チャンスはいくつもあったはずだ。主人公は、最初に敵と出会った場面で、相手を殺すべきだった。また、彼女へのプレゼントを開けないよう電話で指示した後にも、その好機があったはずだ。自分が監禁された理由なんぞは、どうでもいい。やるべきことを速やかにやってのけてこそ、後悔とは無縁の人生を歩めるのだから。そうであれば、自分を監禁していた人物を拷問した後も、きっちり始末しておくべきなのだ。


 チェ・ミンシクの演技は素晴らしいのだが、立ち回りシーンでの力不足は誤魔化しようがない。大体、あの腕の振り方は何なんだ? 頭の後ろで拳を振りかざす様は、まるで子供の喧嘩だ。そもそも、あれだけの人数を相手にして勝てるはずがないのだ。


 そして、敵方の罠を支えていたのが催眠術だとわかった途端、「何でもありかよ?」という疑念を払拭できなくなる。人が何人死んでも、警察が出てこないのもリアリティに欠け過ぎ。


 この映画は、儒教の国でタブーに挑戦したエンタテイメントである。韓国人であれば相当、ショックを受けるに違いない。日本でいえば、『極道の妻たち』と同じ世界で、動物的な本能に衝き動かされた生きざまが、観客の灰色でチマチマした生活を炙(あぶ)り出している。点数は低いが、今まで見た韓国映画の中では、文句なくナンバーワンだ。


オールド・ボーイ プレミアム・エディション


D

2004-12-09

似た者同士


 初めてそれを知った時、信じられない思いがした。騙(だま)されているんじゃないかと思ったほどだ。ダブルユーの二人が双子じゃなかったとは!


 私は一人暮らしを始めた23歳の時から30歳を越えるまでテレビを持ってなかった。元々、高校の頃からテレビは殆ど見てない。だから、必要も感じなかった。時折、よその家でテレビのタレントを見ては、「随分と、大人っぽくなったなー」とか、「いつの間に、これほど人相が悪くなったのだ?」と声を上げた。


 TOKIOの城島を初めて見た時は、狩人の弟の方だと思い込んでたし、TOKIOの山口達也と、ココリコの遠藤はいまだに見分けがつかない。


 香港映画でレスリー・チャンを見た時は、太川陽介かと思った。


『24 TWENTY FOUR シーズンIII』に至っては、トニー・アルメイダ=平井堅、キンバリー・バウアー=田中麗奈、チェイス・エドモンズ=若き松平健と、勝手に似た者同士を想像しては一人、ほくそ笑んでいる(笑)。

2004-12-06

またしてもテレビ朝日


 昨日、テレビ朝日の「ザ・スクープ」という報道番組を見た。まあ、朝日系列らしい番組で、噴飯物の見本ともいうべき内容だった。

 15人の犠牲者を出した新潟集中豪雨が人災であることを検証しようとしたもので、何としても三条市市長を魔女狩りしなければ気が済まないようだ。


 番組では「誰も聞いていない避難勧告」の謎を徹底検証、大災害の背後にある行政ミスとその隠ぺい疑惑に迫る。


 などと正義感を振りかざしているが、何のことはない。予期せぬ災害によって、役所の機能が混乱したという程度のことである。実際に問題があったにせよ、災害という特殊な状況下においては、責めを問われるべきような代物ではないだろう。


 やはり以前、テレビで大雨の際に避難勧告が聞こえるかどうかを実験していたが、雨量が多いと、全く聞こえない状況となることが明らかにされていた。


 ところがどっこい、朝日側としてはそれで収まっていちゃ、視聴率を稼げない。市長にカメラを突きつけ、小生意気なプロデューサーが暴力的な接触を試み、「我々は取材を申し込んでいるだけですよ!」と既に用意済みの科白を口にする。もう、馬鹿丸出しといってよい。


 昨今のメディア関係者の増長振りは目を覆いたくなるほどで、カメラは完全に凶器と化し、物珍しい絵を撮りたくて、あこぎな演出に余念がない。


 番組の構成があまりにも拙劣なため、画面に登場する弁護士や市民の大半が共産党員に見えて仕方がない。


 そもそも、鳥越俊太郎なんぞを使って、まともな報道番組をやろうってえのがおかしな話。鳥越は女性ウケするマスクらしいが、元雑誌編集長とは到底、思えないほどの貧しいボキャブラリーで、説得力に欠けるため、しょっちゅう、声が大きくなる。意味のある発言は全く見られず、長い相槌を打っているようにしか見えない。


 一緒に並んでいる女性アナも、一介のサラリーマンとは思えないほど生意気な顔つき。テレビ朝日の女性アナは、小宮悦子を筆頭に殆どが土井孝子を想像させる話し方をする。


 テレビの影響力は大きい。テレビ朝日は極めて政治的意図の濃い報道が多く、小規模なメディア・テロと思えなくもない。