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2006-09-22

『エンプティー・チェア』ジェフリー・ディーヴァー/池田真紀子訳


 慎重に本を開くべきだ。間違っても寝しなに読んではいけない。私は夕方の6:00過ぎから読み始め、やらねばならぬことを済ませて深夜1:30に本を閉じた。


 強烈なナックルボールである。最初に大きく曲がった後で右に左に揺れながら、最後はストンと落ちる。バッターボックスに立たされた読者は手も足も出ない。それでいて魔球に魅了される。


 後半からは好き嫌いが分かれることだろう。何しろ変化が激し過ぎるのだ。


 孤独な昆虫少年と、急遽リンカーン・ライムの助手を務める羽目になった大学生のキャラクターが秀逸。


 エンプティー・チェアとは「空の椅子」のことでゲシュタルト療法の一つ。

 容疑者にこの療法が行われるが、本当のエンプティー・チェアはライムの四肢麻痺の再生手術をするベッドだった。男と女の身勝手な願いと愛情が擦れ違い、交錯する。ライムとアメリアの関係を知らない方は、やはり『ボーン・コレクター』から読むべきだろう。


 猟奇的と思われた誘拐事件が全く異なった様相を呈する。アメリア・サックスが罪を犯す。もはやライムの頭脳をもってしても及ばない。だがそれでもライムはあきらめようとはしなかった。


 富士急ハイランドに例えれば、「フジヤマ」ではなく「ええじゃないか」の醍醐味がある。そう断言しておこう。どちらも乗ったことはないけれど。

エンプティー・チェア エンプティー・チェア〈上〉 (文春文庫) エンプティー・チェア〈下〉 (文春文庫)

((※左が単行本、右2冊が文庫本))

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