17歳の力士が死亡した事件。リンチの痕が生々しく残っていたにもかかわらず、司法解剖が行われなかったという。時津風親方は解雇される模様。人のよさそうな父親は記者会見で、遠慮がちに「真相を知りたい」と語った。事件の残酷さが一層際立った。
誰もがダブルスタンダード(二重基準)の中で生きている。否、立場の数だけ基準があるといってもよかろう。サラリーマンであれば、人権を無視されるような場面が必ずあるものだ。特に成績を問われる営業マンは、人間扱いされてないのが実態だろう。
私は高校で運動部に所属していたが、男子校ということもあり、1年生の時は365日、ヤキを入れられた。“教育”という名目で殴る蹴るの暴行を加えられた。これが悪しき伝統となっていた。
家で母親にそれを伝えたところ、「ざまあみろ。あんたみたいのは、もっとやられればいいんだ」と笑いながら言った。母は太陽ではなく、ただの鬼ババアだった(笑)。仕方がないから、外で喧嘩を売りまくったよ。
暴力が許される社会では、いくらでも暴力が振るわれる。特にスポーツの世界は暴力に甘い。プロ野球でも日常的に殴りかかるシーンが見られるが、絶対に刑事事件にならないのだ。あれを見た子供達は、野球の時なら他人を殴っていいことを学ぶことだろう。
惜しむらくは、死亡者が出る前に内部告発をする者がいなかったことだ。あるいは、告発したが無視されたのかも知れない。ここで相撲部屋の体質を問題にするのは筋違いである。体質なんかどうでもいい。暴力を振るって相手に傷を負わせたら、直ちに刑事事件にすればいいのだ。
もう一つ。私は傲岸不遜な北の湖理事長は大っ嫌いだが、彼の責任問題にするのもおかしな話だ。誰が理事長を務めていたにせよ、死亡を防ぐことは出来なかったと思うからだ。
「相手」を「撲(なぐ)る」と書いて、相撲とは申すなり。そろそろ、国技を名乗るのはやめたらどうだ、と言いたい。