メディアは梯子(はしご)をかけて、亀田一家を持ち上げておきながら、今度は梯子を外して一斉に叩いている。掌(てのひら)を返すスピードは、マジシャンも青くなるほどだ。
メディアによる個人攻撃は、日本のストレス社会を象徴しているように感じる。皆、はけ口を求めているのだろう。
亀田一家の言動やパフォーマンスに対して批判が集中しているが、それまで彼等に直接、注意をした人物はいなかった。漫画家のやくみつる氏がバトルをしただけである。「何を今更――」と思わざるを得ない。
仏典に「慈無くして詐(いつわ)り親しむは即ち是れ彼が怨(あだ)なり、彼が為に悪を除くは即ち彼が親なり」とある。現代社会は“詐親の時代”といえる。亀田兄弟が不幸だったのは、父親が「悪を助長する存在だった」ことに尽きる。
亀田パパは、以前から暴力団との黒い人脈が報じられてきたが、やくざ者の論理をスポーツの世界に持ち込んだのが、そもそもの誤りだった。