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2008-01-04

『筆跡鑑定ハンドブック』魚住和晃


 もう半世紀以上も前、カナダの医師ペンフィールドによって、大脳部位に運動野という人体の運動機能に関する命令系統の存在が指摘され、「体部位局存性」という分布図が示された。それによると、手に対する領域が他を圧倒し、とりわけ親指の領域が大きい。これに次ぐのが口の領域で、足についてはずいぶん小さい。

 人は高齢になって足が衰えても、手はほとんど衰えない。耳が遠くなっても、口は最後まで機能する。これらの現象は、手や口の運動野分布に、相当量の余力があらかじめ与えられていることを裏づけよう。文字をしっかり書き続けることはこれにかない、手や口を活発に動かす人は、年をとっても達者である。本来的に備わった運動野の機能を、よく刺激し活性化してきたたまものなのだろう。

 あるいは、文字に書くと記憶がしっかりする。これは書く行為が頭脳の思考を深め集中力を高めることによるが、同時にこの集中力は見る力によって促されている。文字を書くために動く手指を、目でコントロールすることによって、その集中力は形成されるといってもよい。ここにも、書くことと頭脳との密接な関係が表れている。


【『筆跡鑑定ハンドブック』魚住和晃(三省堂、2007年)】


 写真が豊富で読みやすい。「鑑定」よりも、「筆跡」に重きを置いているので、石川九楊が好きな人にはおすすめできる。


筆跡鑑定ハンドブック

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