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2008-09-18

感動は身体性を伴う/『子供の「脳」は肌にある』山口創


 感動は抑えることができない。無表情の感動なんてあり得ない。


 ピアジェの観察からもわかるように、知識というものは、それが本当に生きた知識として身につくときには、必ず何らかの具体的で情緒的な事物の操作を通じての感覚・感動を伴うものである。目の前でおこった事実を通じて「そうなんだ!」と喜びで瞳を輝かせ、「おもしろい!」と興味が湧いて胸をときめかせ、「へぇー!」と息をのんで納得する。そのようなリアルな感情や感覚を伴って得た知識というのは、頭の中で単なる記号として蓄積されるのと違って、一生忘れることはないし、また生きた知識としていつでも引き出すことができる。


【『子供の「脳」は肌にある』山口創光文社新書、2004年)】


 著者は幼児期における皮膚感覚の重要性を説いている。幼い子供を見ていると驚きに満ちていることがわかる。驚いた分だけ世界が広がっているのだろう。次々と新しい発見をする彼等は、まるで冒険者のようだ。


 昨今の若い親御さんは、子供の将来のためと称して習い事をさせる傾向が顕著だ。まだ日本語も満足に話せない年頃から、英語を習わせたりしている。子供が好きでやっているようにも見えない。親が勝手にレールを敷いているのだろう。目指すは「明るい未来」という名の駅だ。ま、10年ほど経てば脱線するだろうが……。


 ついでに書いておくと、身体性という点ではテキスト入力もその一つだ。以前から本を読むたびに、気に入ったテキストをせっせと入力しているが、読んでいる時には気づかなかったことが見えてくるから不思議である。きっと、ノートにペンで書き写せば、もっと感じることがあることと思う。


 特に本書である。面白い内容なんだよ。十分お薦めできる。ただ、著者が若いせいもあるのだろうが、論理構成が危うい箇所が散見される。つまり、主張の根拠が薄弱であったり、曖昧であったり、なかったりしているのだ。そのため、ややもすると単なる思い込みを述べているように感じる部分があった。だが、読んでいる時にはさほど気にならない。全体的には優れた内容だ。


 生活の中に感動がある人は幸せだ。テレビを見ている時しか、泣いたり笑ったりすることがないような人が最も不幸だ。

子供の「脳」は肌にある (光文社新書)

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