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2008-10-24

ジェフリー・ディーヴァー


 1冊読了。


12番目のカードジェフリー・ディーヴァー/リンカーン・ライム・シリーズの第6作目。案の定、長くは持たなかった。3日で読み終えてしまったよ。だって、523ページしかないんだもの。本の重さすら気にならないよ。これは、「家族の物語」だ。3分の2くらいのところで少々失速するのも、そのせいだ。16歳の少女ジェニーヴァと、彼女を付け狙う殺し屋。複雑なのは、双方の家族が二層構造となっているためだ。それがわかると、物語は突然、深みを増す。理想と現実、虚像と実像とが入り乱れる。欲を言えば、冒頭部分で「家族の物語」であることを強く示唆すべきであったと思う。

羽生善治の集中力/『決断力』羽生善治


 明晰な頭脳を窺わせる文章で読みやすい。プロ棋士の仕事が「先の手を読むこと」とすれば、彼等に政治を担ってもらったほうが、この国はよくなりそうな気もする。


 で、羽生善治の集中力はこうだ――


 私が深く集中するときは、スキンダイビングで海に潜っていく感覚と似ている。

 一気に深い集中力には到達できない。海には水圧がある。潜るときにはゆっくりと、水圧に体を慣らしながら潜るように、集中力もだんだんと深めていかなければならない。そのステップを省略すると、深い集中の域に達することはできない。焦ると浅瀬でばたばたするだけで、どうもがいてもそれ以上に深く潜っていけなくなってしまう。逆に、段階をうまく踏むことができたときには、非常に深く集中できる。

 これ以上集中すると「もう元に戻れなくなってしまうのでは」と、ゾッとするような恐怖感に襲われることもある。


【『決断力』羽生善治(角川oneテーマ21、2005年)】


 凄いよね。虫眼鏡で光を集めるよりも凄い。「集中力」とは全意識を一点に定めることであろう。とすると、余計な情報を「捨てる」ことでもある。本当に集中していれば、周囲の景色や音も消える。その意味で、ダイビングの例えは上手い。


 また、「戻れなくなってしまうのでは」という言葉は、時間が無限に長くなってゆくことを意味していると思う。つまり、意識のスピードが光速に近づいているに違いない。ということは、通常だと100m/秒のスピードとされるニューロンが、羽生善治の頭脳では30万km/秒の速度で駆け巡っているのだろう。たとえ、将棋の駒から煙が出たとしても私は驚かないぞ。


決断力 (角川oneテーマ21)