古本屋の覚え書き このページをアンテナに追加 RSSフィード


WWW を検索 古本屋の覚え書きを検索

2008-12-16

小田嶋隆


 1冊読了。


かくかく私価時価 無資本主義商品論 1997‐2003小田嶋隆/『無資本主義商品論 金満大国の貧しきココロ』の続編。まあ、下ネタ駄洒落パワー全開。雑誌『噂の真相』に連載した記事を編んだもの。今となっては古いネタばかりではあるが、それで価値が下がるかといえば、そうでもないんだよね。前作よりは、やや軽め。

逆境が試す人間の真価/『生きること 学ぶこと』広中平祐


 広中平祐といえばフィールズ賞である。彼の受賞によって、私はフィールズ賞なるものの存在を知ったくらいだ。ノーベル賞って数学がなかったんだね。創始者のノーベルと某数学者の不仲が影響しているとも囁かれている。


 功成り名を遂げたからといって、道徳を説く視覚があるかどうかは別であろう。功績が大きいほど言葉に重みが増すのは確かだが、思考のトレースである文章はそんな簡単なもんじゃないと思うね。


 この本を読んだのは、二十歳(はたち)の頃だと思うが、内容は完全に失念。今となっては買ったのか借りたのかすらも覚えていない。それでも、感動したことだけは記憶に残っている。


 本当に人間の真価が問われるのは、こうした逆境にある時、言葉をかえていえば、不遇の時代にどう対処したかである。古今東西で度量や器量をそなえた人間は、必ずといっていいほど不遇な時代をもち、そのマイナスの時期をプラスに転じて、陽のあたる場所にでてくるのである。


【『生きること 学ぶこと』広中平祐(集英社文庫)】


 さすがフィールズ賞受賞者。「度量」や「器量」という言葉は中々出るもんじゃない。数学界の裏も表も知ればこそ、こんな言葉が顔を出したことと想像する。しかもこの人、兜町でも名の通った投資家でもある。


生きること学ぶこと (集英社文庫)

天才とは――/『ナポレオン言行録』オクターブ・オブリ編


 言行録の極めつけといえば本書。言葉の端々に純然たる栄光と名誉がほとばしっている。満々たる自信なのか、はたまた単なる傲慢なのか。紙一重の相違ではあるが、ナポレオンの言葉には男の心を震撼させる響きがある。言動とは信じ難いほどの、「見事な文体」だ。


 天才とはおのが世紀を照らすために燃えるべく運命づけられた流星である。


【『ナポレオン言行録』オクターブ・オブリ編/大塚幸男訳(岩波文庫、1983年)】


 ナポレオンこそは、まさに「巨大な流星」であった。近代への扉を押し広げ、一敗地(いっぱいち)に塗(まみ)れた後、再び光を放ち、19世紀という時代の中で消えて行った。

ナポレオン言行録 (岩波文庫 青 435-1)