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2008-12-27

怨霊の祟り/『霊はあるか 科学の視点から』安斎育郎


 科学の視点から霊の存在を検証している。まず冒頭で、霊視詐欺商法や心霊手術に騙された人々の被害状況が述べられている。霊の存在を信じる人達は、金がかかってしようがないね。まったくご苦労なこって。


 一番興味深かったのは『医事新報』に掲載されたという医師の体験談。往診を依頼された医師が、愛車のダッジで見通しのよい直線道路を走っていた。途中、急に霧が立ち込め、10メートル先しか見えない状態となった。速度を落として目的地へ向かった。翌日、医師のもとへ刑事が訪れた。ひき逃げ死亡事故があったという。車を確認したところ、何と車体は大きく凹んでおり、生々しい血痕が付着していた。


 医師が調べてみると、このダッジ、実は前の所有者も日光街道で同様のひき逃げ死亡事故を起こしていた。更に、最初の持ち主だったアメリカ人も米国内で死亡事故を起こしていた。


 ダッジは怨霊に祟(たた)られていた。霊は運転手から意識を奪い、記憶を消し去ったのだった。


 真相はこうだ――


 まことに気分のいい早朝。広い道路、見渡しのいい澄んだ空気。体はまだ「睡眠」のリズムから「覚醒」のリズムに完全に切り替わっていない。運転席はふかふかで、ゆったりとリラックスできる。真っすぐな道は、ハンドル操作もほとんどない状態だ。だんだん意識水準が低下し、感覚遮断現象に陥って、いわゆる「二度寝入り」を起こし易い状況だ。上まぶたと下まぶたが仲良くなって視界が狭まってくるのだが、それを本人は「霧が出た」と感じる。K先生の場合も、霧が出たと言っているのは本人だけで、田の草取りをしていたお百姓たちは、揃いも揃って霧なんて全くありませんでしたと証言している。

 こうした高速道路催眠現象は、高速道路の国とも言うべきアメリカで気付かれた現象だ。


【『霊はあるか 科学の視点から』安斎育郎〈あんざい・いくろう〉(講談社ブルーバックス、2002年)】


「高速道路催眠現象」というのは初耳だ。人間というのは、単調な情報にさらされると確かに眠くなる傾向がある。一定のスピード、変わらぬ風景、同じ姿勢といった要素が絡み合って、何らかのサブリミナル効果となることは十分考えられる。


 大体、霊がいるとすれば大変な事態となる。人類200万年の歴史において亡くなった人々の数を想像してみるがいい。もうね、「霊の満員電車」状態がそこここに現出するはずだ。また、昆虫の霊や植物の霊がいないのもおかしな話だ。


 霊がいるとすれば、それは霊を恐れる人の心に存在するのだ。

霊はあるか―科学の視点から (ブルーバックス)

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