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2009-01-04

バッハはリズム、モーツァルトはメロディ、ワーグナーはハーモニー/『J・S・バッハ』礒山雅


 私が持っているクラシックのCDは『マタイ受難曲』(カール・リヒター指揮、1958年盤)だけである。だが私は、このたった一つのクラシック作品を、他のポピュラーミュージックよりもはるかに多く聴いている。そう。りんけんバンドルー・リードよりもだ。ここには、キリスト教世界の華麗なまでの荘厳さがある。


 バッハ入門としてはうってつけの一書である。これも「贅沢な新書」の部類に入る。


 リズム、メロディ、ハーモニーを音楽の三要素という。リズムは音楽の時間を構成するもの、ハーモニー(和声)は音楽の空間を構成するもの、メロディ(旋律)は、両者の接点に生れる、音楽の「顔」のごときものである。ごく単純化していえば、リズムは音楽の生命力を、旋律は音楽の美しさを、ハーモニーは音楽の深さを表現する。一般には旋律に関心が寄せられるが、音楽に対してもっとも根本的なものはリズムであり、これがなければ、音楽は成立し得ない。

 天才の音楽は三要素のいずれもが卓越しているものであるが、あえていえば、バッハの音楽でとくに際立っているのは、リズムだろう(バッハのとるテンポが生き生きと速かったという、同時代の証言もある)。これに対し、モーツァルトでは旋律が、ワーグナーではハーモニーが傑出していると思う。バッハがとりわけリズミックに感じられる理由のひとつは、通奏低音と呼ばれるバス声部が、たえず「下から」動きを続けているためだろう。


【『J・S・バッハ』礒山雅〈いそやま・ただし〉(講談社現代新書、1990年)】


 バッハがリズムであることは、ジャズ・プレイヤーによって演奏していることからも理解できる。本当のところは、よくわからんが……。だって、1曲しか知らないんだからねえ。


 リズム、メロディ、ハーモニーという視点は、「人の話し方」にも当てはまりそうで面白い。

J・S・バッハ (講談社現代新書)

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