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2009-02-15

山際素男


 1冊読了。


 25冊目『不可触民 もうひとつのインド』山際素男〈やまぎわ・もとお〉(三一書房、1981年/知恵の森文庫、2000年)/仏教発祥の地インドは長らく私にとって憧れの国だった。だが、本書を読み進むうちにインドは嫌悪の対象に降格することとなった。後発の仏教も結局、ヒンドゥーイズムを打破することはできなかった。インド哲学なんぞに至っては犬のクソ同然だ。カースト制度はインドの大地の奥深くに根を張り巡らし、差別を“正しい価値”としてインド人を洗脳し続けている。不可触民にとってはガンジーも偽善者だった。ガンジーはカースト制度を維持したままで、差別だけをなくそうとした。彼等の味方はただ一人、アンベードカルだけだった。不可触民はカースト外に置かれていた(アウトカースト)。不可触民(アンタッチャブル)とは「穢(けが)れ」を意味する。インドのバラモン階級は、大の大人であっても本当に彼等をばい菌扱いしているのだ。1億3000万人もの不可触民が水も自由に飲むことができず、ありとあらゆる暴力がまかり通っている。女性は強姦され、男性は斧で首を斬り取られ、火あぶりにされ、射殺される。それでも警察は動こうともしない。私の怒りはどんどん膨れ上がり、やがてその矛先は不可触民に向けられた。「なぜ、立ち上がらないのか!」と。やられたら、やり返すのが当たり前だ。インドにチェ・ゲバラのような男が現れることを祈るのみだ。

日本人、中国死刑囚の臓器を不法移植


 日本人が中国国内法を破って中国人死刑囚の臓器を密かに移植していた事実が明らかになった。

 人民日報は8日「少なくても17人の日本人が2007年から中国で不法に臓器移植手術を受けた」と東京発で報道した。

 同紙によると日本の臓器移植関連非営利団体幹部は最近「50〜65歳の日本人17人が、2007年から北京五輪時まで広東省広州のある病院で腎臓と肝臓の移植手術を受けた」と日本メディアに暴露した。日本人たちは旅行客を装って広州を訪れ、20日ほど滞在しながら手術を受けた。当時、日本人患者たちの身分が明らかになることを防ぐため、中国式名を使ったと事件を暴露した日本人が主張した。移植手術と旅行費用の名目で日本人たちは1人当たり59万5000元(約801万円)を支払った。

 臓器移植手術をした中国の病院は、臓器寄贈者が死刑囚という理由で臓器提供者に補償をしていないものと伝えられた。日本の共同通信は、国際社会の死刑囚人権侵害批判を懸念し、北京五輪以後には日本人の中国内臓器移植がほとんど行われていないと報道した。


中央日報 2009-02-09】

焼身の瞬間/『焼身』宮内勝典


 ティック・クアン・ドゥックが死ぬ瞬間を宮内勝典はこう記す――


 黒こげの焼死体から、うっすらと湯気がたち昇っていく。血や、体液が気化しかかっているのだ。今朝いよいよ発つという、まぎわまで読みつづけていた法花経も、万巻の書物も、父母も、友も、幼なじみも、自分らしさを裏打ちするはずの日々の記憶も、あっけなく消えていくだけなのか。燃えあがる図書館のようにすべてが滅び、炭酸カルシウムが残るだけか。蜜と灰か。ほんとうに、それだけなのかと私はまた、性懲りもなく自問する。脳裡に浮上した思いや、これだけは疑いようなく、ぎりぎりあると思える意識のさざ波が、いつか人類の阿頼耶識(あらやしき)となりうるのか。


【『焼身』宮内勝典〈みやうち・かつすけ〉(集英社、2005年)】


 そして「人類の阿頼耶識」とはなり得なかった。アメリカの基幹産業は軍産複合体であり、10年に一度は大きな戦争をする必要性が生じる。そう。在庫生理のためだ。ベトナム戦争の後も、湾岸戦争・イラク戦争と戦火が止む気配はない。


 正義を叫ぶ声は小さくて弱い。そもそも、正確な情報すら我々は知ることができない。世界がどのような状況に置かれているのか、どの国の人々が犠牲を強いられているのかすらわからない。


 世界を動かしているのは邪悪な権力者達だ。彼等にとっては、焼身自殺の抗議すら無駄な抵抗に過ぎない。

焼身

少年兵は流れ作業のように手足を切り落とした/『ダイヤモンドより平和がほしい 子ども兵士・ムリアの告白』後藤健二

 ユニセフは少年兵の数を25万人と想定している。では子供達が戦場でどのような攻撃をしているのか――


 子どもたちのなかには養女がいます。メムナちゃんといいます。妻エリザベスさんの姉の娘です。

 3歳になるメムナちゃんですが、彼女もまた、反政府軍によって右手を切り落とされていました。

(こんなに小さな子が逆らうはずもないのに、なぜ? 兵士たちは狂っている…)

 わたしはこの時、自分の腕がじーんと痛くなるのを感じました。

 メムナちゃんがおそわれたのは、1年前のこと。

 勢いにのった反政府軍が、地方から首都フリータウンへ攻め入ってきた時のことです。

 反政府軍の残酷なやり方はこれまでよりも激しくなっていました。無差別に銃を乱射し、家に火をつけ、逃げまどう市民たちをつかまえては、列にならばせました。そしてまるで流れ作業のように手や足を切り落としていったといいます。(中略)

 エリザベスさんはその時のことを話してくれました。

 自分たちをおそった反政府軍の兵士は、10歳前後の子どもたちのグループだったといいます。

「そのグループはジョンダとよばれていました。リーダーは12歳と聞きました。」

 私は一瞬、自分の耳を疑いました。

「子どもの兵士だったのですか?」

「銃を持っていたのはほとんどが10歳前後の子どもたちでした。

 最初、わたしたちはメムナの家族といっしょにモスクにかくれていたんです。

 でも、ジョンダ・グループの子ども兵士たちに見つかって、わたしたち全員が建物の外に出されて、ならばされました。

 小さな体なのに大きな銃を持った子ども兵士たちは、わたしたちの列に向かっていきなり銃を撃ち始めました。

 その時、メムナは泣いていて、母親がかばおうとしました。すると、彼らは母親を撃ち、メムナを連れて、その場を笑いながら去っていったのです。」(3日後に右手が切断されたメムナちゃんが発見される)


【『ダイヤモンドより平和がほしい 子ども兵士・ムリアの告白』後藤健二(汐文社、2005年)】


 本書で紹介されている少年兵は、襲撃した村からさらってきた子供達であり、麻薬漬けにされている。表紙の拡大画面を見て欲しい。左目の下にある三日月の傷痕は、カミソリで切られて麻薬を埋め込まれたものだ。


 シエラレオネは世界一平均寿命が短い国である。アフリカ諸国は欧米に利用されるだけ利用され、踏みつけられるだけ踏みつけられてきた歴史がある。ルワンダもそうだ。欧米に共通するのはキリスト教という価値観であり、そこに差別的な発想があるとしか思えない。ノアの箱舟に乗れるのは自分達だけで、それ以外の有色人種はどうなろうと構わないのだろう。彼等がイエスを信じた時から、多分神は死んでいたはずだ。


 元少年兵を社会が受け入れ、苦悩し続けるシエラレオネ。殺した者と殺された者とが手を取り合おうと呻吟(しんぎん)するシエラレオネ。明るい未来を思わずにはいられない。

ダイヤモンドより平和がほしい―子ども兵士・ムリアの告白


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