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2009-02-18

ダナンジャイ・キール


 1冊読了。


 26冊目『不可触民の父 アンベードカルの生涯』ダナンジャイ・キール/山際素男訳(三一書房、1983年)/伝記や評伝の類いは大抵の場合、面白味に欠けがちである。ある人物の人生全体を描くために、長い履歴書みたいな展開になってしまうからだ。本書もそれを免れていない。だが、この本は広く読まれるべきだ。アンベードカルは生涯にわたって、カースト制度という差別と闘った。アンベードカルの存在によって、ガンディーという男の老獪とスタンドプレーが炙(あぶ)り出される。ガンディーは徹してカースト制度を守ろうとした。彼は不可触民(アウトカースト)をカースト内に組み込もうとしただけだった。アンベードカルの足を引っ張るために、わざわざ断食をしたほどだ。結局、バラモン階級という立場で偽善を繰り返していただけの人物だった。アンベードカルの晩年の件(くだり)を読んでいて涙が溢れた。歴史の嘘と真実を知るためにも、本書はもっと読まれるべきである。

ブロンド美人ご用心…欧州委「スパイかも」


 欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は11日、「諜報活動の脅威が日増しに拡大している」として、機密情報の流出に警鐘を鳴らす文書を職員に配布したことを明らかにした。

 欧州委報道官は同日の記者会見で、報道関係者やロビイストを装うスパイがEUの機密を狙っていると指摘し、「(スパイは)金髪でスタイルのいい美形の研修生の可能性もある」と述べ、オフィス内外で警戒を強める考えを示した。

 EUの機密情報をめぐっては、昨年9月、コソボ独立支援などに関するEUや北大西洋条約機構NATO)の機密情報を、ロシアの諜報機関員に漏らしたとして、エストニア国防省幹部がスパイ容疑で逮捕される事件が起きている。

 欧州委のドイツ人幹部が、中国企業関係者を装った英紙記者の「おとり取材」に引っかかり、中国製品への関税にかかわる非公開情報を漏らしたとされる不祥事もあった。


【読売新聞 2009-02-12】

最も卑しい感情/『蝿の苦しみ 断想』エリアス・カネッティ


 私の知っている中で最も卑しい感情は、弾圧される人々への嫌悪である。そういった感情のせいでわれわれは、弾圧される人々の特徴を理由にして、弾圧を正当化しうるように思うのだ。きわめて高貴で公正である哲学者さえ、こういう感情をまぬがれていない。


【『蝿の苦しみ 断想』エリアス・カネッティ/青木隆嘉訳(法政大学出版局、1993年)】


 人々は意識するとしないとにかかわらず国家という体制内で生きている。最も影響を被るのは教育であろう。有無も言わさずに価値観を押し付けられる。権力者にとって都合のいい善悪だ。まず、勤勉であることが奨励される。そう。未来の労働力。


 カネッティの言葉は、ハンセン病の人々を想起させる。当初、「伝染する」と思い込んでいたため完全に隔離され、亡き者として扱われた。そうやって、みんなが安心していた。医学的真実の解明など誰一人考えていなかった。この社会で優先される価値は世間体なのだ。


「寄らば大樹の陰」「長い物には巻かれろ」という国民性。「出る杭は打たれる」という消極性。まったく反吐(へど)が出そうになるよ。体制に従順な人々は、弱い者を平然といじめ、踏みつけている。日本人の70%はジャイアンに従うスネ夫タイプだろう。

蝿の苦しみ 断想

「裸の王様上司」は「ヒラメ部下」によってつくられる


「偉い」ことと「偉そう」なことは意味が違うのに、まつり上げられて、ダメなリーダーになっている上司は多い。だが、上司がダメなのは、実は部下のせいでもあるという……。上司と部下。互いの幸せのため、何を心掛ければいいのか。


【ピープル・ファクター・コンサルティング代表高橋俊介=談

 たかはし・しゅんすけ●1954年生まれ。ワトソンワイアット社代表取締役等を経て独立。個人主導のキャリア開発の第一人者として知られている】


上司がダメなのは半分は部下のせい?


 日本の、特に古い大企業では、部長になり役員になりと、役職が上がれば上がるほど、自分が偉くなったように錯覚して偉そうな行動を取ってしまう人が多い。つまり「偉い」ことと「偉そう」とはまったく意味が違うのに、自分自身がスポイルされ、まつり上げられてダメなリーダーになっていくのである。これは上司本人にも問題があるが、半分は部下のせいでもある。

 では、どのようにすれば、ダメな部下を見抜けるのだろうか。偉そうな上司をつくり上げてしまう部下の典型には、二つのタイプがある。その一つを、テレビのお笑い番組になぞらえてAD(アシスタント・ディレクター)型の部下と呼ぼう。テレビに登場する芸人は、大して面白くなくても、スタジオの観客には受けている。隣でADが手を振って合図をしているからだ。しかし視聴者、つまり顧客からの距離は遠くなるばかりである。

 もう一つのタイプに、ヒラメ型の部下がいる。ヒラメは目が上にしかついていない。だが、実はそればかりでなく、表と裏では色が違う。つまり、自分の利益のために、上司に対する態度を180度変えるのである。

 このような部下に取り囲まれていると、最後には上司は裸の王様にされてしまう。とりわけヒラメ型は、裏で何をするかわからず非常に危険な存在である。なかなか見抜けない点も問題だ。そのため、上司としては、自分に心地よいことばかりを言う部下を集めるのではなく、常に表裏のある人間を見抜く訓練を重ねなくてはならない。


ビジョンを発信すればよい部下が集まる


 逆に、よい部下とは、表裏がなく、自分に気づきを与えてくれる部下、言い換えれば自分を映す「鏡」のように、自分の足りない部分や問題のある部分を跳ね返してくれる部下である。こういう部下を集めることができれば、裸の王様にならずに済む。そのためには、上司ははっきりとしたビジョンを持ち、そのビジョンを周囲に向けて発信することだ。そうすれば、ビジョンに共感する鏡のような部下が一人、また一人と集まってくる。

 また、このときに大切なのは、チームの健全性を保つためには、タイプの異なる部下を組み合わせることである。パーソナリティーの明暗という側面にも注意しなくてはならない。例えば支配欲、影響欲という動機が強い人の場合、それがポジティブに表れれば非常にうまくチームをまとめてくれるが、ネガティブな面が強く出ると、自分の言うことを聞かせるために周囲を怒鳴り散らしたりして、チームの雰囲気を壊してしまう恐れがあるからだ。

 一方、部下の側でいえば、出世するためにはどうすればいいかばかり考えて、上司からの評価を気にしているようではダメである。上司に評価されようとして、評価された人はいない。天職を先に決め、逆算して行動するのではなく、ポリシーを持って自発的に仕事をした人が、その結果として天職にたどりつくものなのだ。

 さらに言えば、もし今の上司が自分を評価してくれないからといって、その上司に迎合してしまったら、本当に自分を評価してくれる上司とは永久に巡り合えなくなってしまう。大きな組織がよいのは、捨てる神あれば拾う神ありという点である。今の神が合わなくても、別の神がいると思って自分のポリシーを貫けば、最後には、そちらのほうが勝ち組になるはずだ。


【『プレジデント』2003年11月3日号】