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2009-02-21

片麻痺〜利き手でない手で文字を書く/『リハビリテーション 新しい生き方を創る医学』上田敏


 脳梗塞など脳血管障害によって片麻痺になる人は多い。以下は、利き腕の側が麻痺になった場合、どのように反対の手で文字を書くかという具体的な手法。これは覚えておいて損はない――


 ただ、利き手でない手で字を書くには訓練の順序がある。字を書くときは筆圧が必要で、ボールペンにしろ鉛筆にしろ、手に力を入れて書かなくてはならない。ところが右利きの人は左手で字を書いた経験がないので、書いても初めは力が入らず、うすい弱々しい線しか引くことができない。強く書こうとすると、今度は力が入りすぎて真っすぐな線にならないし、必要以上に線が伸びてしまったりする。

 そこで筆圧を強めるために、まず「塗りつぶし訓練」をする。これは塗り絵のようなもので、たとえば四角や三角、丸、あるいは大きな白抜きの文字の中をきれいに塗りつぶす訓練である。この訓練をすると一定の長さの直線を、一定の強さで引けるようになる。この訓練は次の段階に入ってからも続けていく必要がある。

 次に、子どもが字を習い始めるときと同じように、丸やバツ、三角、四角のような簡単な形を、初めは大きな枠の中に書く訓練をする。その枠をだんだん小さくしていって、最後は普通の原稿用紙の枠内に形がうまくおさまり、きれいに書けるようにもっていく。これも大切な基礎訓練の一つである。

 この二つの基礎訓練をしばらく行ってから、字を書く練習を始める。


【『リハビリテーション 新しい生き方を創る医学』上田敏(講談社ブルーバックス、1996年)】


 言語野がダメージを受けると失語症という高次脳機能障害となる。様々な症状があるのだが、話せなくなるケースも多い。こうなった場合、文字を書けるか否かが非常に重要となる。


 五十音を表記した文字盤を指で差したり、質問を繰り返して相手に挙手してもらう方法もあるが、障害を負った方が生き生きと人生を送るためには、より積極的なコミュニケーションをとる方法を確保しておくことが望ましい。


 私は50代になったら、片麻痺に備えて左手で箸を持ち、文字を書く練習をするつもりだ。備えあれば憂(うれ)いなし。

リハビリテーション―新しい生き方を創る医学 (ブルーバックス)

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