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2009-03-19

記録の様相/『DNAがわかる本』中内光昭


 昨年読んだが、紹介するのを忘れていた。全体的には底が浅い印象を受けた。ま、DNA入門といってよい。


 DNAは記録である。では記録とは何か。その様相を著者はこう綴る――


 従来、人間世界で使われるシナリオは紙にインクなどで書かれてきました。今ではフロッピーディスクに電子の言葉で書いてあるシナリオもあるでしょう。一般に、情報を記録する場合、“違い”を利用して記録するのが普通です。白紙がもっている情報は少ないですが、インクなどにより部分的に色が違ってくると(字や絵が書かれると)、さまざまな情報を記録することができます。レコードやCDの場合は、溝の変化や凹凸という“違い”を利用して情報を記録しています。利用する“違い”はいろいろでも、紙や合成樹脂といった何かを基盤にして、それに情報を記録する点では共通です。では、生物はどのような基盤物質に情報を記録しているのでしょうか?

 シナリオが核の中にあるとすれば、核には膨大なシナリオを記録するため、用紙(基盤)のはたらきをする物質が多量に存在するはずです。調べてみると、核の主要成分は、生物の種類を問わず、「蛋白質」と「核酸」とよばれる二つの物質であることがわかりました。基盤物質は蛋白質か、核酸か、またはその両者か、ということになります。


【『DNAがわかる本』中内光昭(岩波ジュニア新書、1997年)】


 これは卓見。違いの肯定。違いが多様性を生む。そして豊かな多様性は、ある共通性に貫かれている。多種多様な動物の種類はDNAの記述が異なっている。しかしながら、DNAを持つという点では共通している。


 DNAは「生命のシナリオ」と言われるが、そこにはあらかじめ運命が記録されているわけではなく、「蛋白質のつくり方に関する情報」が記されている。DNAは、人生という物語の台本ではない。

DNAがわかる本 (岩波ジュニア新書)

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