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2009-09-28

ヒトラーに抗議したドイツの学生達/『「白バラ」尋問調書 『白バラの祈り』資料集』フレート・ブライナースドルファー編


 映画『白バラの祈り』の資料集。映画のためのタイアップ作品ではなくして、映画制作の過程で調査された内容を元にして新たな解釈を試みる労作である。白バラ入門としては相応しいものではない。それにしても、未來社の活字は読みにくい。講談社文庫よりもダメだな。


 ゲーテはドイツ人をユダヤ人やギリシャ人と同様に悲劇の民と呼んでいるが、今やドイツ人はあたかも浅薄で意思を持たない追従者の群れのようだ。内面の奥底から骨の髄まで吸い取られ、自分自身の核となるものを奪われて、甘んじて破滅へと追い立てられゆく群れだ。見かけはそうだが、実は違う。実は、偽りの姿をとってゆっくりと忍び寄る組織的な暴力に無理強いされ、一人一人が精神の独房に閉じ込められてしまった。そして、そこに縛り上げられて横たわった時初めて、おのれの身の破滅に気づいたのだ。(※白バラのビラI)


【『「白バラ」尋問調書 『白バラの祈り』資料集』フレート・ブライナースドルファー編/石田勇治、田中美由紀訳(未來社、2007年)】


 ショル兄妹は若かった。若いがゆえに清らかであった。若いがゆえに拙かった。彼等はきっと焦ったのだろう。逮捕された経緯や、自宅に証拠物件を残していた事実から、そう思わざるを得ない。


 白バラのメンバーはギロチンの露と消えた。ドイツには白バラがいた。戦時中、我が国の学生はどのように振る舞ったのであろうか。青年はいつの時代も抵抗の象徴ではあるが、時代が悪に加担する時、激烈の度を増す。


 彼等はヒトラーに抗議した。そして、ヒトラーを支持する国民をも弾劾した。彼等の英知は「偽りの姿をとってゆっくりと忍び寄る組織的な暴力」を見抜いていた。


 暴走する国家にブレーキを掛けようと試みた学生達の姿は、ドイツの底力を示してあまりある。

「白バラ」尋問調書―『白バラの祈り』資料集

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