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2009-11-11

アーサー・S・デモス財団/パワー・フォー・リビング


 2002年1月18日付の『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』によれば、アーサー・S・デモス財団には5億6300万ドル(当時の為替で約740億円)にものぼる莫大な資産があります。同財団は1955年、米国の生命保険会社ナショナル・リパブリティ・コーポレーションの社長だったアーサー・S・デモス氏の資産を元手に設立されています。フロリダ州ウェスト・パーム・ビーチに拠点を置き、世界各国で"Power For Living"を無料配布する活動を繰り広げている団体です。デモス財団を財務面から見ても、違和感は増すばかりです。公開されている2003年と2004年の財務諸表を見ると、次のことがわかります。

 2003年の財団時価総額は約4億ドル、当時の1ドル=110円で440億円であり、これをファンド運用した運用益が、約3600万ドル(約40億円)となっています。年利9%の運用で、財団運用としては、日本の常識からするとかなりの高金利であり、「さすが米国のファンド」というレベルの運用を毎年継続しています。これに対して、2004年度分の納税額は、なんとたったの20万ドル(2200万円)です。40億円稼いで2000万円程度の納税、そのからくりは、寄付金による税の免除です。この寄付金の内訳は、次のとおり。


 "Power For Living"へ 約470万ドル

 その他活動へ 約530万ドル

 キリスト教右派、タカ派政治団体へ 約1900万ドル

 合計約2900万ドル(32億円)


 このように、米国の寄付金による税の減免措置を利用して時価総額が毎年1割近く増大している効率的な巨大ファンドというのがデモス財団の実態です。この中でいわゆるキリスト教原理主義への活動援助と、タカ派ロビイストへの寄付金となっているのです。アメリカでは、宗教団体の税務免除を利用して、極右勢力が巨額の資金を集めて活動している事に対して、「クリスチャン・マフィア」という用語で警戒が高まっていますが、こういった活動である可能性も否定できません。また、慈善事業の名目を利用した税金逃れの可能性も指摘されています。たとえばボストンの名門紙『ボストン・グローブ』は、デモス財団が慈善事業に寄付したとする多額の資金が、高額の旅行費用や贅沢品の購入に使われていると批判しており、例として2001年にプライベートジェット機を40億円で買うなどしたことをあげています。可能性としては、巨大なポートフォリオのリストの中にトンネル企業をいくつか入れておき、そこで何らかの活動資金や贅沢品の購入資金を作っていることもありうる話です。


【『スピリチュアリズム苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(にんげん出版、2007年)】

スピリチュアリズム

宮崎哲弥


 1冊挫折。


 挫折88『新書365冊』宮崎哲弥(朝日新書、2006年)/mm(ミリメートル)で褒めていたので読んでみた。パラパラとページをめくり、気になる書名を探し、ところどころを飛ばし読みして本を置いた。ウーーーム、微妙(笑)。ちなみに今まで宮崎の著作は読んだことがない。宮崎の知的興味に傾き過ぎているというのが私の見解だ。ま、評論家なんだから仕方がないか。ただ、もう少し宮崎の人としての顔を出してもいいんじゃないか? 「人間・宮崎」が全く見えてこないのだ。だから、この人は説明能力は高いのだが翻訳能力に欠けているように感じた。知性とは、難解な真理をわかりやすい喩えに変換する力であるというのが私の持論だ。面白いのは、幼児期から少年期における特異な体験くらいか。岡本浩一の『権威主義の正体』を「Better」と評価するのは噴飯物だ。また、熊木徹夫の『精神科医になる 患者を〈わかる〉ということ』は一読に値する本ではあるが、エリオット・S・ヴァレンスタインの『精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の化学と虚構』を読めば吹き飛ばされてしまうようなレベルに過ぎない。宮崎哲弥は常々仏教徒である旨を語り、ナーガールジュナ(龍樹、竜樹)に入れ込んでいるが、仏教に対しても信仰という次元ではなく知的アプローチに傾斜していることが見て取れる。松山俊太郎の『蓮と法華経 その精神と形成史を語る』を宮崎に薦めておこう。