古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

堀米庸三


 1冊挫折。


 挫折89『正統と異端 ヨーロッパ精神の底流堀米庸三〈ほりごめ・ようぞう〉(中公新書、1964年)/湯浅治久絶賛の一冊。最初は滅法面白かったのだが、中盤からわけがわからなくなり、後半はお経を読んでいるような感覚に捉われた。160ページほどで完敗。古典的名作のようだが、史実がてんこ盛りでドラマ性や意味性を欠いているように感じた。もちろん、私の知識が不足しているためであろう。まるで歯が立たなかった。ただ、前半だけでも一読の価値はある。

手足を縛る安静看護vs手足を無理矢理動かすリハビリ

 老人が動かないよう手足を縛る安静看護。それが誤りだといって出現してきたリハビリテーションが、こんどは老人を無理矢理動かしている。やれやれ、と私はため息まじりに思う。安静看護にせよ、リハビリにせよ、老人は専門性を押しつけられる対象でしかないじゃないか、と。ちっとも、老人が主体として登場していないのだ。


【『老人介護 じいさん・ばあさんの愛しかた』三好春樹法研、1998年、『じいさん・ばあさんの愛しかた “介護の職人”があかす老いを輝かせる生活術』改題/新潮文庫、2007年)】


じいさん・ばあさんの愛しかた―“介護の職人”があかす老いを輝かせる生活術 老人介護じいさん・ばあさんの愛しかた (新潮文庫 み 37-2)
(※左が単行本、右が文庫本)