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2009-12-15

負け組投資家に共通する心理/『マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣』ジャック・D・シュワッガー


 既に古典となった感のあるトレーダーの教科書。名立たるビッグプレイヤーのインタビュー集である。シュワッガーの投げ掛ける具体的な質問が、彼等の相場哲学を巧みに引き出している。読むのは二度目だが、わかりやすい言葉の奥に光を湛(たた)えた鉱物が隠されている。ヒントが答えとなり、答えがヒントに転じる。相場師が真実を語ることは少ない。そもそも魔術師に種明かしを期待する方がどうかしている。


Q●それらの要因を考慮した上で、儲けることのできないトレーダーにはどんな特徴があるのでしょう。


Dr.バン・K・タープ●儲けることのできないトレーダーは、次に述べるようないろいろな側面を持っています。非常に強い緊張を強いられておりリラックスできない、悲観的な人生観を持っていていつも最悪の事態を想定してしまう、心の中にたくさんの矛盾を持っている、物事がうまくいかなくなったときに他人のせいにするなどといったものです。そのような人は何事においても優柔油断であり、常に周りの行動に左右されてしまうのです。また、彼らは計画的ではありませんし、忍耐強くもありません。すぐに行動しようとしてしまいます。しかし、儲けることのできないトレーダーの多くが、今述べたような悪い面を全て持っているわけではありません。一部分を持っているに過ぎないのです。


【『マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣』ジャック・D・シュワッガー/横山直樹訳(パンローリング、2001年)】


 バン・K・タープは投資家の心理マネジメントを生業(なりわい)とする人物である。マーケットは万人の欲望が剥(む)き出しになっている世界である。過酷なまでに平等な世界は厳しい損益でもって評価される。そこでは1円の誤魔化しもインチキも通用しない。リスクをコントロールできなければ、含み益はあっという間にマイナスとなり、損切り・追証という仕打ちが待っている。


 建玉・決済の判断はいつだって微妙にして繊細なものだ。一瞬の心の揺れ――そこに投資家の人生が凝縮されている。過去の僥倖(ぎょうこう)にしがみつき、心の中で「たられば」を繰り返し、自分に自分で言いわけをしながら損に損を重ねているのが一般投資家の実態であろう。これをタープは「緊張と矛盾の露呈」と指摘している。つまり、ストレスと嘘があるわけだ。


 しかしながら、タープの心理的アプローチそのものが「投影」を前提としており、科学的な根拠や因果関係を証明しているわけではない。かようなタイプが多いという程度の話だ。


 何かを鵜呑みにする人はコントロールされやすい人物である。タープの発言はひょっとするとポジショントークかもしれない(笑)。「だからあなたは、私にカウンセリングを受けるべきなのだ」と。


 情報は「使う」ものだ。情報が教条と化す時、一般投資家はマーケットから弾き飛ばされることだろう。自ら学ぶことなくして、この世界で幸福を勝ち取ることはできない。

マーケットの魔術師 − 米トップトレーダーが語る成功の秘訣

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