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2009-12-17

カルト教団のリーダーvsキネシクス/『スリーピング・ドール』ジェフリー・ディーヴァー


 キネシクスなる言葉は知らなかった。ボディランゲージによる心理分析のこと。最初は「サイコキネシス」かと思ったよ(笑)。キャサリン・ダンスという女性捜査官が新シリーズのヒロインだ。


 相手が嘘をついているかどうかを見きわめようとするときに注目すべき要素は三つある。非言語行動(ボディランゲージ、またはキネシクス)、言語の様態(声の高さや話す速度の変化、答える前にためらうといった反応)、言語の内容(発言の中身)。先の二つは、嘘やごまかしの判断指標として、最後の一つよりはるかに信頼度が高い。“何を言うか”は思いどおりに変えることができる。しかし、“【どう】言うか”をコントロールするのは困難だ。また、その際にボディランゲージとして表れる反応も、意識的にコントロールするのは難しい。


【『スリーピング・ドール』ジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳(文藝春秋、2008年/文春文庫、2011年)】


 ジェフリー・ディーヴァーの作品は粗方(あらかた)読んでいるが、それぞれに何らかのテーマがあり、何となく高村薫と似た印象を受ける。とはいうものの、自家薬籠中の物にするのはディーヴァーの方が上手(うわて)だ。


 脱獄したカルト教団のリーダーを追うストーリーなのだが、まあいつにも増して二転三転ぶりが凄い。二十転くらいしているかもね。終盤に至っては、ややサービス過剰といったところ。才気が勝ち過ぎて胸焼けしそうなほど。


 カルトのリーダーは明らかに境界性人格障害で善悪という概念を欠いている。この男は過去に一家の惨殺に手を染めていた。その際、一人の少女が眠っていたために難を逃れた。奇蹟的に助かった少女は「スリーピング・ドール」と呼ばれた。


 しかしながら、本当の「スリーピング・ドール」は教祖に操られる女性メンバーだったってわけだよ。絶妙なタイトルセンスだ。


 540ページで上下二段という大冊だが、三日もあれば読めてしまう。

スリーピング・ドール〈上〉 (文春文庫) スリーピング・ドール〈下〉 (文春文庫)

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