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2010-03-08

北方領土ビジネス/『北方領土 特命交渉』鈴木宗男、佐藤優


 怨念のこもった一冊。一矢(いっし)報いようとする二人の執念は、外務省幹部の実名を挙げ、顔写真まで入れて指弾している。北方領土を取り巻く日ロ交渉の舞台裏が描かれており、テレビや新聞の流すニュースがどれほど不毛であるかがよく理解できる。しかし残念ながら、本書の情報を読者は確認することができない。


 塀の中から出てきた二人は義憤に駆られていた。国策捜査が北方領土返還を頓挫させた。いずれにせよ、外務省内の権力闘争であったことは確かだろう。法廷も権力者の味方をする以上、真実が明らかになるとは到底思えない。


 官僚と強力なタッグを組む御用学者も断罪されている。その筆頭が青山学院大学の袴田茂樹教授だ──


佐藤●ここで一部からの反発をあえて覚悟してこれまで誰も踏み込まなかった問題に言及したいと思います。じつは、「北方領土ビジネス」なるものが存在します。そんなビジネスをやっている連中にとっては、ビジネスがいつまでも続くことが個別利益に適います。たとえば、北方領土問題対策協会(北対協)にはいくらくらい金が出ているのでしょうか。


鈴木●北対協のホームページによれば、2006(平成18)年度予算は10億17000(ママ)万円ということです。

 ほかにも、外務省系として北方領土復帰期成同盟(北方同盟)がありますが、ここは2000(平成12)年10月に2100万円の使途不明金問題が発覚しています。また、北方領土対策本部という部署もありますが、どこも億単位の予算がついている。


佐藤●そうした団体には北海道庁から役人が天下り、研究会と称したことをやっていますが、どこまで役に立っているかわかりません。


鈴木●北方領土ビジネスというのは、領土問題が解決しないほうが都合がいいのです。自分たちの立場ば(ママ)守られますからね。返還運動に関わっている北方領土返還要求運動連絡協議会(北連協)の事務局長である児玉泰子(こだま・やすこ)さんや、すでに何度も名前のあがっている青山学院大学の袴田茂樹教授も同じです。

 はっきりいいますが、彼らは国民の税金を食い物にしているのです。


佐藤●児玉さんや袴田さんの運動によって、北方領土交渉が前進したことがあるのでしょうか。


鈴木●何ひとつありません。彼らにとって、自分たちの仕事が続くためには、北方領土問題が解決してもらっては困るのです。

 したがって、ことあるごとに問題を起こして交渉の妨害を企てる。トラブルメーカーのようなものですね。


【『北方領土 特命交渉』鈴木宗男、佐藤優(講談社、2006年/講談社+α文庫、2007年)】


 鈴木宗男の公式サイトには、袴田からの抗議文がアップされている──

 鈴木、佐藤の指摘が正しいとすれば、とんでもない話だ。学識を利用した詐欺といっていいだろう。青山学院大学の学生諸君は立ち上がって真実を糾弾すべきである。


 二人が語る北方領土返還の道筋は具体性があり説得力に富んでいる。二島返還の先行をロシア側が承認しているのだから、残された二島については更なる協議を続けていけばよい。既に半世紀以上も返ってきていないのだから、これ以上長期間に及んでしまえば、ロシアの領土であることが歴史上の事実と化してしまう。


 事実として北方領土返還は何の進展もない以上、二人を葬った外務省側に膠着(こうちゃく)状態を打開せしむる力量を持つ人物はいないと見て構わないだろう。であれば、アイディアも人脈もある鈴木宗男に賭けたくなるのが道産子の心情だ。


 ロシア語通訳の米原万里は、佐藤優の『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』を次のように評した──


 外務省は、途轍(とてつ)もなく優秀な情報分析官を失った。おかげで読書界は類(たぐ)い希(まれ)なる作家を得た。退官した外交官がよく出すノー天気な自画自賛本が100冊かかっても敵(かな)わない密度の濃さと面白さ。(「日暮れて途遠し」より借用)


 その意味では何がどう転ぶか決してわかったものではない。鈴木宗男と佐藤優は甦(よみがえ)った。人間の本質というものは、そう簡単に変わるものではない。彼等が獄中で何を見つめ、何を思い、そしてどのような焔(ほのお)が心に灯されたのか──それは自ずから今後の行動に現れることだろう。

北方領土「特命交渉」 北方領土 特命交渉 (講談社+α文庫)

(※左が単行本、右が文庫本)

タリバンが少女をむち打ち パキスタン


 パキスタン北西辺境州のスワト地区で、17歳の少女が、義父と性的関係をもったとして、イスラム原理主義勢力タリバンのメンバーからむち打ちを受ける場面がテレビで放映され、パキスタン国内で衝撃が広がっている。スワト地区は治安回復を望む州政府が武装勢力の主張を受け入れ、3月中旬からイスラム法が導入されている。

 映像では、大勢の男性が取り巻くなか、2人の男性に上半身と下半身を押さえられた少女が、もう1人の男性からむち打ちを受け、「やめて」と懇願する様子などが映し出されている。

 タリバン側はこの映像の存在を認めたうえで、「少女は夫以外の男性と家から出てきたから、罰を受けなければならない」として、むち打ちは妥当だと述べた。一方、地元タリバンの司令官が少女に求婚したが、少女の父親が拒否したための報復との説もある。

 一部の報道によると、映像は住民の携帯電話で広がり、テレビでも繰り返し放映された。特に事件が起きたのがイスラム法が導入されたスワト地区だけに衝撃は大きく、中央政府は事実関係の調査を指示した。スワト地区を管轄する州政府側は「映像はイスラム法が導入される前の1月の出来事だ。政府と武装勢力の合意を妨害しようとする勢力の仕業だ」と反発している。


産経ニュース 2009-04-06


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タリバンの40%は外国兵


 タリバーンは、反タリバーン地域を制圧すると、家と畑を焼き、男たちを連れ去ったと難民が訴えていた。娘や妻にガソリンをかけ家族の目の前で殺し、人々に恐怖感を植えつけて村に戻れないようにしたともいう。人が集まる市の立つ日を狙って爆撃を加えることもあった。「アフガン人なら、こんな残酷なことはできない」と住民は怒りを募らせた。マスードは「タリバーンの40%はパキスタン、アラブなど世界各国からの外国兵だ」と話していたが、アフガニスタンに世界の原理主義者たちが集うにようになったきっかけはソ連軍の侵攻だった。イスラムの聖戦に加わった各国の義勇兵の中で、原理主義組織のネットワーク作りが進んでいった。その中に、オサマ・ビンラディンもいた。


【『マスードの戦い』長倉洋海〈ながくら・ひろみ〉(河出文庫、1992年/『峡谷の獅子 司令官マスードとアフガンの戦士たち』朝日新聞社、1984年に一部加筆)】

マスードの戦い (河出文庫)