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2010-04-02

大英帝国の発展を支えたのは奴隷だった/『砂糖の世界史』川北稔


 貿易の二大スターは織物と砂糖だそうだ。万人が欲するヒット商品が現れた時、世界はどのように動くかがわかりやすく描かれている。こういう本が学校の教科書であれば、学習は「強いて勉める」必要はなくなることだろう。さしずめ現代であれば、石油や兵器が砂糖同様に世界を席巻しているはずだ。


 砂糖は当初、薬としても利用されていたという──


 じっさいのところ、砂糖には、驚くほど多くの用途や「意味」がありました。ルネサンス以前の世界では、イスラムの科学の水準がヨーロッパのそれなどよりはるかに高かったのですが、そのイスラムの医学では、砂糖はもっともよく使われる薬のひとつでした。中世のヨーロッパでも、事情は同じです。砂糖が本格的に使われはじめた16〜17世紀には、砂糖には、結核の治療など10種類以上の効能が期待されていました。


【『砂糖の世界史』川北稔(岩波ジュニア新書、1996年)以下同】


 当時はまだ食欲が満たされるような生活ではなかったであろうから、カロリーが高く、真っ白い砂糖が薬として使用されることに全く不思議はない。初めて味わった人であれば、ドラッグを服用したような感覚に捉われたことだろう。


 インドを支配したことによって、イギリスでは紅茶がもてはやされるようになる。そして紅茶に砂糖を入れる習慣が上流階級の間で生まれた。イギリス大衆はこうした嗜好(しこう)に憧れを抱いて真似るようになる。砂糖をもっと生産する必要があった。そして、そのための労働力も確保しなければならなかった──


 砂糖と奴隷制度の悪名高い結びつきは、こうしてすでにイスラム教徒が世界の砂糖生産を握っていた時代から、はじまりました。(8世紀)


 16世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパ人が大西洋をこえて、カリブ海やブラジル、アメリカ合衆国などに運んだ黒人奴隷は、最低でも1000万人以上と推計されています。なかでも、ポルトガル人とイギリス人、フランス人がこの非人道的な商業を熱心に展開したのです。

 いつの時代も平和に暮らす人々が暴力にさらされた。平和は暴力に対してあまりにも無力だった。イギリスの豊かな生活を支えるために、黒人は鞭を振るわれながら働かされた。


 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という一神教の正義は、独善となって異民族に襲い掛かる。戦争を始めるのは必ず彼等である。神の名を借りた暴力は手加減することを知らない。神の僕(しもべ)以外は虫けら同然だ。人種差別も同様で、差別する側は常に白人である。そして元はといえばアブラハムの宗教であるにもかかわらず争いが絶えることがない。


 人類最大の詐欺こそは「神」であると私は思っている。人間は神の似姿として造られたなんて、まことしやかに伝えられているがそれは逆だ。人間を投影したものが神なのだ。大体、いるのであれば、もっと頻繁に顔を出せって話になるわな。氷河期の時も、戦争の時も神様は一度だって姿を現した例(ためし)がないよ。神が存在するなら、これほどの怠け者は他に見当たらない。きっと神隠しにでもあったのだろう。


 奴隷の労働によって生み出された価値は、そっくりイギリスに持ってゆかれた──


 産業革命がまずイギリスに起こったのも、奴隷や砂糖の商人たちの富の力によるのだ、と主張する意見もあるくらいです。


 つまりイギリスという名前の大泥棒がいたってことだ。泥棒野郎はいまだにでかい顔をしてのさばっている。これがジェントルマンの国の正体だ。


 人類の癌はキリスト教、白人、欧米、ナショナリズムである。これに替わる新たな文明の台頭が待たれる。

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

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