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2010-04-06

米軍ヘリが記者を銃撃、当時の映像がネットで公開に


 イラクで2007年、ロイター通信のフォトジャーナリスト2人が米軍のヘリコプターに銃撃される場面を映したとされる映像が5日、インターネットで公開された。2人のうち1人は、救出されてワゴン車に乗せられるところで再度銃撃され、死亡したとみられる。

 この事件は07年7月、イラクの首都バグダッドで米陸軍ヘリがロイター通信のフォトジャーナリストを武装集団だと思い込み、この2人を含む12〜15人を射殺したとされる。

 今回の映像は上空から撮影されたもので、匿名で提供された文書や映像などの資料を公表しているウェブサイト「WikiLeaks」に掲載された。地上にいる数人が機関銃で撃たれ、フォトジャーナリストとみられる1人が死亡。また、負傷した様子で路上に横たわっていたもう1人のフォトジャーナリストとみられる男性が、数人に助けられてワゴン車に運び込まれるところを再度銃撃を浴びる様子も映っていた。

 米国は当時の調査で、ヘリコプターの兵士がフォトジャーナリストの持っていたカメラを武器と勘違いして射撃したと結論付けている。陸軍広報は5日に出した声明で改めて「部隊は2人の記者がいることに気付かなかった」と釈明、「罪のない命が失われたことは遺憾だが、この件については直ちに調査がなされ、事実を隠蔽しようとしたこともない」と述べた。

 非営利組織(NPO)のジャーナリスト保護委員会によると、イラクの戦争では7年間でジャーナリスト139人が死亡し、そのうち約120人をイラク人記者が占めている。


CNN 2010-04-06

D

六道輪廻する世界/『英知の探求 人生問題の根源的知覚』J・クリシュナムーティー


三界(さんがい)は安きことなく、なお火宅のごとし」(『法華経』譬喩品〈ひゆぼん〉)と。そして人類は六道輪廻(ろくどうりんね)のスパイラルから抜け出すことができない。


 1970年にスイスのザーネンで行われた講話と討論会が収められている。クリシュナムルティはミステリ以外の本を読むことがなかったが、世界の現状と動向を卓越した表現で鮮やかに切り取ってみせる──


 この世の中は混乱と暴力ですさまじいものになっていて、「社会改革」、「異なる真実性」、「人間の偉大な自由」などを求めてさまざまな反乱が起きています。あらゆる国、あらゆる地方で平和の旗のもとに暴力がふるわれ、真理の名のもとに暴君と貧困があり、多くの人びとが飢えています。そしてその暴政のもとに抑圧と社会不正が行なわれ、戦争、徴兵、懲役拒否などがあり、憎しみは正当化され、あらゆる現実逃避が生活の標準として認められています。これらすべてに気づくと、人は、その行動、思考、遊びに混乱を感じ、迷います。「どうしたらよいのだろうか? 活動家の仲間に入るべきか。精神的孤独の中に逃げ込むべきか。古い宗教観念に戻るべきか。新しい組織をつくるべきか。個人的な先入観や好みを維持し続けるべきか」と考え、いかにしたら別の人生を送れるかを知りたがるのです。(1970年7月16日)


【『英知の探求 人生問題の根源的知覚』J・クリシュナムーティー/勝又俊明訳(たま出版、1980年)以下同】


 原稿なしでこれほどの言葉が溢れ出るのだから凄い。去る土曜日にDVDを観たが、何かに衝き動かされるように話す姿が忘れようにも忘れられない。クリシュナムルティは講話の際に自分のことを「話し手」(speaker)と呼ぶ。彼の声帯と身体は文字通りスピーカーと化して、真理の共鳴音を発している。そしてそこには「完全なる対話」が存在した。


 改革とは、伝統の上に装飾される変更のことである。ケーキのスポンジはそのままで、クリームの色や果物の種類を変える程度の変化に過ぎない。すなわち古い伝統は維持される。つまり改革が本質的な変化を促すことはないのだ。


 特に我々日本人は極端な変化を嫌う民族性がある。徳川300年の名残りなのかもしれぬ。天下泰平、ぬるま湯、日向ぼっこ……。


 そしてクリシュナムルティは常に両極端を提示することで、聴衆を全体的な視野へと誘(いざな)う。例えば「戦争、徴兵、懲役拒否」だ。反戦の立場を選択したとしても、社会に取り込まれている場合がある。反戦運動は国民のガス抜きとなる。革命の懸念が生じないうちは、権力者も反戦運動を容認する。民主主義に反対意見は不可欠であるからだ。


 大体、多くの反戦運動はムードだけである。運動の実効性よりは、参加することに意義があるような節も窺える。口先だけの平和が、戦地で殺される人々の耳に届くことは決してないだろう。


 この問いかけは普遍性をはらんでいる。いかなる時代、どんな国家に住んでいようと、同じ不安、同じ迷い、同じ恐怖を感じる人々がいるはずだ。


 なぜ人類はいつまでも同じことを繰り返すのであろうか? それは我々が条件づけに支配されているからだ──


 問題は、人間の頭脳はまるで同じ曲を何度も流しているレコードのように、古い習慣の中で働き続けているということです。その雑音(習慣)が鳴り続けている間は、何も新しい曲を聴くことができません。頭脳は今日まで、一定の方法で考えたり、その文化、伝統、教育に従って反応するように条件づけられてきました。ですから、その頭脳が新しいものを聞こうとしても無理なのです。そこがわたしたちにとって難しいところです。テープに録音されたものは、消して新たに録音することができますが、頭脳というテープに長いあいだ記録されたものを消して新たに録音することは、とても難しいことなのです。わたしたちは、同じ形式、同じ理想、同じ物理的習慣を何度も何度もくり返しているので、何ひとつ新鮮なものがつかめないのです。

 しかし、人間はその古いテープ、古い思考方法、感覚方法、反応方法、無数の習慣を払いのけることができることを私は保証します。本当に注意を払えばそれができるのです。とてもまじめに聞いていれば、聞くことに夢中になり、その真の鑑賞行為が古いものを払いのけます。試してごらんなさい。いや、そうしなさい。(1970年7月16日)


 これこそが六道輪廻の原因なのだ。人類は戦争とバブル(好況)を繰り返す。つまり暴力と金だ。これこそが資本主義を支えているルールである。


 教育は条件づけの最たるものであり、洗脳といってよい。我々は長ずるに従って、教えられ、与えられた価値観に束縛される。そもそも社会で生きること自体が、社会のルールに額(ぬか)づいていることになる。


 であるがゆえに、我々は絶対に「魂の自由を目指せ」とは教育されない。我慢し、努力し、周囲の役に立つよう誘導される。「働く」とは「はた(傍)にいる人々を楽にすることである」ってなもんだ。アウシュヴィッツ強制収容所の門には「働けば自由になれる」と書かれていた。


 クリシュナムルティは「古いテープを払いのけることができる」と断言している。自分の思考を観察するには、思考から離れる必要がある。なぜなら観察するには距離が必要なためだ。これは「欲望から離れよ」と説いたブッダと完全に一致している。


 分断された心が世界の混乱となって現れている。とすれば、火宅(かたく)は私の内側に存在するのだ。観察と傾聴によって心が統合された時、我々は「生の全体性」を初めて知ることができる。

英知の探求 人生問題の根源的知覚

J・クリシュナムルティ


 1冊読了。


 50冊目『瞑想と自然』J・クリシュナムルティ/大野純一訳(春秋社、1993年)/クリシュナムルティ28冊目の読了。抄録と思われるが実に読みやすかった。違和感を覚える翻訳も見受けられない。何と『学校への手紙』の第2巻(日本語未訳)から二つのテキストが掲載されている。いくら何でも200ページ余りで2060円というのは高すぎる。出版社は最初っから売れないと思っていたのだろうか。

灰色の雰囲気


 奇妙なことだが、一人の人物が生命力と興奮で室内を満たすことがある。そしてその反対の人物もいて、このご婦人もそうだった。エネルギーや楽しさを消し去り、喜びを干上がらせたあげく、そこから何も吸収しないのだ。こうした人々は周囲に灰色の雰囲気をたちこめさせる。


【『チャーリーとの旅』ジョン・スタインベック竹内真訳(ポプラ社、2007年/大前正臣訳、弘文堂、1964年)】

チャーリーとの旅