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2010-04-09

会話は支配する側に同調する


 人間の集団でも、いちばん自信たっぷりに振るまい、ほかのみんなの視線や同意を集める人はすぐわかる。そういう人は議論になることを少しもいとわないし、立場を明解にして意見を述べる。話す声は静かだが、全員がじっと耳を傾けること(さらにジョークに大笑いすることも!)を期待する。これらはわかりやすい手がかりだが、もっと微妙なものもある。人間の声は500ヘルツより低い周波数の部分は意味のない雑音と見なされていた。フィルターでそれより高い周波数の音をカットすると、言葉はすべて失われ、ハミングのような低い音しか聞こえないからだ。ところがその後の研究で、この低いハミング音は、無意識レベルで人間関係に影響していることがわかった。ハミング音の高さは人によってまちまちだが、会話をしているうちに、全員が同じ高さに落ちつくのである。しかもかならず、支配される側が、支配する側のハミング音に合わせるという。このことは、テレビのトークショー《ラリー・キング・ライブ》の分析から判明した。ホストのラリー・キングが、ジャーナリストのマイク・ウォレスや、女優のエリザベス・テイラーといった超大物と話すときは、キングのほうがハミング音を一致させた。反対にそれほどでもないゲストのときは、ゲストがキングに声を合わせたのである。キングの声に同調したのが明らかで、自信のなさがはっきりわかったのは、副大統領だったダン・クエールである。


【『あなたのなかのサル 霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源』フランス・ドゥ・ヴァール/藤井留美訳(早川書房、2005年)】

あなたのなかのサル―霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源

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